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help RSS 偽落語「青菜もどき」−奈良の酒の巻−

<<   作成日時 : 2010/02/13 17:21   >>

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「植木屋さん、ごしゅはお好きかな?」
「ごしゅってえと、酒でやすか。でー好きで」
「ちょうど親類が奈良の酒を送ってくれたんでな。やって
みるかい?」
「へー、もう酒と聞いたら断れねー性分で」
「奈良の酒は飲んだことがあるかな?」
「いえー、あっしら、特に産地は気にしねえんで。酒なら
なんでもいただきやす。黄桜でもけっこうでやすよ」

「黄桜は勧めないな。これは<梅の宿・紅梅>といって、
なかなかいい酒ですよ。寒い中を朝から働いてくれていた
から、体が冷えておるだろう。燗をして飲んでいただこうかな。
さっ、燗もついた。まあお飲み」

「旦那さんにお酌をしていただくなんて、もったいねーですが、
じゃあ、遠慮なく頂戴しやす。クイー、クイー、クイ。旦那、
こりゃあいい酒ですね。あっしらが普段飲んでいる酒とは
わけが違う。あっしらが飲むのは<直雨(じきさめ)>ってえ
酒で」

「なんですかな、その直雨ってのは」
「へえ、飲むはしから醒めていくんで<じきさめ>。もう少し
いい酒が<軒雨(のきさめ)>ってんで」
「ほう、それは?」
「飲んで、軒を出る頃に醒める」
「それじゃあ、飲まないほうがましだな」
「それに比べりゃ、こりゃあ本物だ。体の隅々に酒がしみこんで
いくのがわかりやすね」

「そういっていただくと、勧め甲斐があるというものだ。奈良の
酒はけっこうなものでしょう?たくさんありますから遠慮なく
やってくださいよ。それを全部飲んでも、まだ<往馬>という
のが一樽ありますからな」

「それも奈良の酒で?旦那さんのところはけっこうですね。
こんないい御酒を毎日やれて。ウチなんぞ、<直雨>飲むんでも
カカアがうるさくて。こんなけっこうな酒をゆっくり飲むなんざ、
何年ぶりか」

「奈良には他にも<睡龍>とか<風の森>とか、いい酒があります。
それらが手に入ったら、また飲んでいただきましょう。
もっとも<風の森>はいつになるやらわかりませんがな。」
「へえー、ありがてーことで」

「ときに植木屋さん、青菜はお好きかな?」
「青菜ときたら目がねーんで」
「そうかい。これ奥や」
「はい、旦那様」
「あー、奥や、植木屋さんに青菜を出してお上げ」
「あのー旦那様。鞍馬から牛若丸が出でまして、その名を九郎判官」
「そうか、金剛にしておけ」

「旦那、それを言うなら<義経にしておけ>、じゃありませんか?」
「はっはっは、奈良だけに今度(金剛力士)にしておけ」
「ひえ、唐招提寺」
「・・・?それは何ですかな?」
「どうしょうもない、のシャレで」
「・・・・・・せんとクンも呆れて、どこかに行ってしまったようだな」

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