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Beggig for Change
-The welfare of Japan's captive bears

＜目次＞

第１章　序　
・背景　 ・飼育下にある野生動物の福祉　　 ・クマの生態　　 ・森林タイプの飼育場

第２章　クマ牧場の問題点
・シェルター　 ・スペース　 ・給餌　 ・ 床と衛生　 ・設備　 ・エンリッチメント　 ・隠れ処　 ・繁殖
　 ・教育　 ・サーカス・ショー　 ・クマ由来の製品販売　 ・来園者による餌やり　 ・教育的資料の不足

第３章　クマ牧場における飼育の影響
・常同行動　 ・高い攻撃性

第４章　日本における法律と基準
・結論　 ・勧告

付録１　日本のクマ牧場に関するデータ
付録２　野生動物の飼育に関する国際的な基準の要約

＜本レポートの要約＞

●１９５８年に最初のクマ牧場が北海道、登別で開園された。それ以来、日本におけるクマの展示は非常に人気を博し現在８つの牧場において全体で８００頭 以上のクマを飼育している。クマ牧場では多様な種類のクマを飼育しているが、飼育環境やエサの面で適切な状況にある牧場は一つも存在しない。

●１９９１年と１９９７年、ＷＳＰＡ（世界動物保護協会）と日本のＮＧＯ、ＡＬＩＶＥが日本のクマ牧場を調査、レポートを発表し牧場における緊急な状況改善、クマへの非常に不適切な取り扱いの終止を訴えた。

この当時、主な関心事として以下が挙げられた。
　・日光と雨を避けるシェルターの不足
　・飼育舎内での過密状態
　・来場者によるクマへのエサやり
　・クマの繁殖
　・クマが受けるべき刺激の完全な欠如
　・来場者や他のクマによる攻撃から身を避けることが不可能である事
　・エサの種類と量
　・治療されずに放置された負傷と獣医師によるケアの不足
　・異常行動とクマ同士の高い攻撃性

●このレポートはＷＳＰＡとＡＬＩＶＥによる最新調査の結果、クマ牧場における状況に変化は見られなかったことを示すものである。

●クマ牧場における状況は依然として悲惨なままであり、日本政府とが策定した法律、日本動物園水族館協会が策定した基準に違反している。

●ほとんどのクマ牧場において獣医師による基本的なケアは行われていない（登別クマ牧場、阿蘇クマ牧場のみに獣医師が勤務）。

●ほとんどの飼育舎が日光と雨をよけるシェルターを十分に設置していない。十分なシェルターの設置は動物を飼育する上で基本的な要素である。

●ほとんどのクマに対してスペースは十分に与えられていない。クマ牧場における密集状態にあっては、クマは種特有の本来の行動を発露することが不可能である。

●全てのクマ牧場において飼育舎の床はコンクリートである （１部の子グマ広場を除く）。コンクリートの床では動物は本来の行動を発露させることができず、健康にも障害をきたしまた衛生上の問題も引き起こされる。

●クマを適度に刺激し自然な行動の発露を促すような環境エンリッチメントが施されている飼育舎は皆無である。

●来場者の視線や他のクマとの衝突から身を遠ざける機会をクマに与えている牧場は皆無である。この点は動物福祉上、重大な問題である。

●クマをサーカスショウに出したり、クマ由来の製品を販売したり一般向けの教育的な資料が不足していたりといったことは、牧場が来場者に対してほとんど教育的なメッセージ発信していないということである。クマ牧場は、来場者が感覚、知覚を備えた野性生物としてのクマに愛情と敬意を抱くように努力するべきである。

●異常行動は全てのクマ牧場において観察される。このことは、クマが本来の種特有の行動を発露する環境下で育ったり、現在暮らしていないことを意味する。

●クマ同士の間で非常に高い攻撃性が観察され、２０％以上のクマに負傷が認められた。このことはクマが非常にストレスの高い状況で飼育されていることを示している。

●クマ牧場におけるこうした状況を根本から改善するため緊急の処置が施されるべきである。そして改善がされない牧場は永久に閉鎖されるべきでもある。