反米デモ:引き金の映画製作に謎深まる 監督の正体不明
毎日新聞 2012年09月14日 11時33分(最終更新 09月14日 13時44分)
【ワシントン白戸圭一】イスラム世界における反米デモの引き金となった米映画「イノセンス・オブ・ムスリムズ(イスラム教徒の無邪気さ)」の製作過程を巡る謎が深まっている。監督の正体すら判然とせず、米メディアの報道が過熱している。
今年7月、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に登場した約14分のダイジェスト版映像は「サム・バシル」の名で投稿された。今月11日に米紙ウォールストリート・ジャーナルの電話取材に応じた「サム・バシル」は「イスラエル生まれで、米カリフォルニア州在住の不動産業者」と自己紹介し、「100人のユダヤ人から500万ドルの寄付を集めて映画を監督・製作した」と主張した。
だが、イスラエル外務省報道官は米紙ニューヨーク・タイムズに「彼を知る者は誰もいない」と述べ、イスラエルと映画の関係を全面否定。多くの米メディアは「サム・バシル」の自己紹介の信ぴょう性を疑問視し、監督の正体を巡る報道合戦に拍車がかかった。