東電:避難での障害悪化、賠償増額せず
毎日新聞 2012年09月14日 02時40分(最終更新 09月14日 02時55分)
しかし今年2月の東電の回答は、この分の請求を退けた。政府の原子力損害賠償紛争解決センターの基準では精神的苦痛が大きい障害者や要介護の人は慰謝料を増額できるが、東電の担当者は父親に「うちにも医師がいるので聞いたら(増額の対象に)該当しなかった」と説明したという。
障害者の賠償請求を支援する槙裕康弁護士は「東電は訴える側に立証責任があるとの姿勢でなく、一定の証拠が出れば歩み寄り、解決へ努力するのが企業としての責任ではないか」と指摘。父親は「診断書では避難の影響は明らか。取り返しがつかない事態を招いた自覚が東電に感じられない」と話している。
東電広報部は「請求者の提出した医師の診断書だけでなく、こちらの医師や弁護士などの意見も聞き総合的に判断している。個別の判断については答えられない」としている。【野倉恵】