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【社説】

自民党総裁選 反省を忘れていないか

 きょう告示される自民党総裁選は、五候補による戦いとなる。次期衆院選後に首相になる可能性がある総裁選びだ。理念・政策を競い合うのは当然だが、政権転落の反省を忘れてもらっては困る。

 三年ぶりとなる総裁選は、再選を目指していた谷垣禎一総裁(67)の立候補断念を受け、五候補が名乗りを上げた。野田佳彦首相(55)の再選が有力視される民主党代表選と比べ、乱戦模様だ。

 立候補を表明したのは町村信孝元官房長官(67)、石破茂前政調会長(55)、石原伸晃幹事長(55)、安倍晋三元首相(57)、林芳正政調会長代理(51)。

 候補者全員が大臣経験者の父親を持つ世襲議員だという。

 任期満了に伴う今回は民主党代表選同様、国会議員に加え、党員らも参加する本格的な総裁選だ。

 内輪の選挙とはいえ、国民注視の中で行われる。二〇〇九年の衆院選惨敗で国会議員の数が減り、党員票の占める割合が大きい。永田町や派閥の論理ではなく、国民が生活を営む地域により近い感覚で選ばれることを期待したい。

 二十六日の投開票まで、候補者による記者会見や討論会、全国各地で演説会が開かれる。今は野党の党首選だが、次期衆院選後の首相就任も想定した責任ある議論を各候補に望みたい。

 その際、忘れてはならないのは〇九年の前回衆院選で政権から転落した反省に立つことである。

 政権奪還の可能性が出てきたのは、自民党自身による党再生の努力が評価されたからではなく、民主党のマニフェスト破りや政権運営の稚拙さが嫌われたためだ。

 民主党が政権交代後に直面している困難な課題は自民党政権時代の「負の遺産」がほとんどだ。

 日本経済の長期低迷、国と地方合わせて一千兆円に上る膨大な財政赤字、原発事故を招いた厳格さを欠く原子力行政、天下りに代表される政官業癒着と強固な官僚主導政治。沖縄に過重な基地負担を押し付けることで成り立つ日米安全保障体制、などなど。

 三代にわたる民主党政権を擁護する必要はないが、かつての自民党政治に対する自省抜きで、いくら政策を訴えても空疎に響く。

 各候補は、理念・政策を語ると同時に、自民党政治の何を引き継ぎ、何を変えるのかを明確にすべきだ。自らの所業を棚に上げて、おごり高ぶるのなら、政権復帰は一時的に終わり、国民に再び「ノー」を突き付けられるだろう。

 

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