日馬富士(右)が寄り切りで栃ノ心を下す=両国国技館で
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◇秋場所<5日目>
(13日・両国国技館)
3度目の綱とりに挑む大関日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は危なげなく小結栃ノ心を寄り切り、5連勝とした。3場所ぶりの優勝を目指す横綱白鵬(27)=宮城野=も新小結碧山を突き落として無敗を守った。
他の大関陣は、稀勢の里が臥牙丸を寄りで退けて5連勝。鶴竜は阿覧を寄り切って1敗を守った。琴欧洲は豊ノ島のすくい投げに倒れて黒星先行となった。
全勝は隠岐の海ら平幕3人を加えた6人。1敗は新入幕の旭日松ら6人。
◇
無傷の5連勝と綱とりへ最高のスタートを切った日馬富士。しかしこの日国技館に陣取った横綱審議委員の評価は“激辛”だった。
鶴田卓彦委員長(85)が指摘したのは立ち合い。少し左へ動いて上手をつかみ、栃ノ心の態勢を崩してからの寄り切りに「きょう(の変化)はぎりぎりだろう。あれ以上横へ動いたらダメ。がっちり受け止めないようでは横綱は無理」。注目される2場所連続優勝にも「優勝は白鵬でしょう。日馬富士は厳しいと思うね。相撲はうまいが、力がもう一つ」と酷評した。
前日に把瑠都、琴奨菊の2大関が休場。この日も琴欧洲が豊ノ島との一番で右肩を痛打し、6日目からは3大関休場の可能性も出てきた。
場所前に鏡山審判部長(元関脇多賀竜)は日馬富士昇進の目安を「13勝以上」と話したが、対戦相手が有利になったことで澤村田之助委員(80)は「とんでもない」と話す。
「14勝か15勝してくれなければダメでしょう。大関が3人も休めば当然と思う」。そして昇進の条件には「優勝が絶対条件ですね」と大きくハードルを上げた。
一方、そんな横綱審議委員らの来場を「知らなかった」と日馬富士。前日の1秒4に続いて1秒8と2日連続で身上の速攻相撲を披露して「体が良く動いているし、相手も良く見えている。結果は後から付いてくる」。取組後はいつものように淡々と振り返った。
6日目は今場所2大関を撃破している豊真将が相手。「楽しみだね」と日馬富士。好調力士を力でねじ伏せ、綱とり大関の貫禄を見せつけたい。 (竹尾和久)
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