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2011年10月28日 (金)

谷洋一先生のご葬儀など

 石破 茂 です。

 昨日27日は、私が当選以前から大変お世話になった元農林水産大臣 谷洋一先生のご葬儀で兵庫県香美町に行って参りました。
 昭和60年夏、初めて集会らしい集会を鳥取市で開いた時、弁士としてお越しいただいたのが、隣の兵庫県旧第五区選出の谷洋一建設政務次官でした。
 お陰様で今でこそ来援弁士なしで二千人規模の集会が開けるようになりましたが、当時は五百人の動員が精一杯で、弁士としてお越し頂けるだけで本当に有り難かったことをよく覚えています。
 以来、農林水産分野や過疎対策で随分とお教えを頂き、平成12年森内閣で先生が農林水産大臣になられた際は総括政務次官(今の副大臣)としてお仕えし、雪印乳業事件や中海干拓中止問題などで随分とご指導をいただきました。私が農水大臣の時、事故米問題を何とか処理できたのは、この時の教訓が大きく役立ちました。
 新進党を離党し、無所属を経て自民党に復党し、失意と挫折感に苛まれていた時、一緒にミャンマーの視察に行かないか、とお声を掛けて下さったのも谷先生でした。一週間ほど、先生と二人でミャンマーの農業や植林を中心として各地を視察したことはとても懐かしい思い出です。
 順風で調子のいい時は多くの人が寄ってきてくださいますが、失意の時はその何十分の一の人しか気に掛けてはくれません。本当に有り難く思ったことでした。

 昨日は多くの方が弔辞を述べられましたが、中でも豊岡市長の弔辞は本当に先生の人間性が心から偲ばれるとても素晴らしいものでした。
 過疎関係者や農林水産関係者にこそ広く知られているものの、派手な活動をされて全国的に有名だったわけでは必ずしもありませんが、政治家のひとつの理想像であったように思います。ご冥福を心よりお祈りいたしますとともに、立派な後継者である御子息、谷公一衆院議員と共に因幡・但馬地区の発展にも微力を尽くしたいと思います。

 今週も予算委員会の運営を巡っての各党協議や地方講演、対談の原稿直しなどに追われて、何も勉強らしい勉強もしないままにあっという間に一週間が過ぎてしまいました。
 TPPについて私は「外交交渉に見識や能力の乏しい民主党政府が進める交渉には反対する」という立場であり、内閣の専権事項であるTPP参加交渉そのものを全面否定する立場には立っておりません。
 少しでも肯定的な発言をすると嵐のようなご批判が来ることは十分に承知しており、コメント欄にお寄せ頂いたご意見にも全て目を通しております。
 この問題については政府と議会との憲法に定められた権能の違いも踏まえたうえでメリット、デメリット双方をよく比較対照し、農業のみならず各分野にわたって論じたいと思っております。いましばらく時間的な猶予を賜りますようお願い致します。

 私が野党筆頭理事を務めます衆院予算委員会の開催日程を巡って与野党協議が難航しています。
 与党側の岡田克也筆頭理事の主張は、11月の7日、8日の2日間で第三次補正予算案を衆議院で通過させ、9日、10日の二日間で参議院において可決・成立させて貰いたい、というものですが、これだけ大規模の補正予算、特に財源確保のあり方を巡って国論が大きく分かれているものをたった四日で仕上げるなどということ自体、極めて不見識と考えております。
 このままでは「予算は通ったが財源確保法案が通らず、執行できない」という事態にもなりかねません。
 政治と資金、TPP交渉参加、普天間問題など予算委員会で審議すべき案件は山積しており、それらについて何らの見通しも示さないまま「総理をはじめとする閣僚の外遊日程が立て込んでいるので予算審議は簡単に済ませたい」というのでは本末転倒も甚だしい。APECをはじめとする外交日程は随分と以前から決まっていたのであり、今更外交日程を国会審議簡略化の理由とするのも不見識です。
 そもそも前の国会を中途半端なままに閉会したからこのようなことが起こるのであって、政府・与党はもっと責任感を持って国会に臨んで貰いたいと思わずにはいられません。きちんと必要な審議し、成立させるべきものを早期に成立させる確たる見通しを示すべきです。

 今週末は本日衆議院本会議の後、鶴保庸介参議院議院運営委員長の関西後援会で講演(午後六時・スイスホテル南海大阪・大阪市中央区難波)、関係者と懇談した後、大阪泊。
 二十九日土曜日は自民党北海道政経セミナーで講演(午後一時・札幌パークホテル・札幌市中央区南)、羽田経由で帰鳥。
 三十日日曜日は天皇皇后両陛下ご臨席のもと開催されます第三十一回全国豊かな海づくり大会(午前十時・とりぎん文化会館)に参列の後、関西八頭町会に出席(午後三時・東天紅・大阪市中央区大手前)、という日程になっております。

 もう十月も終わりです。朝夕は寒さを感じるようになりました。
 皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2011年10月21日 (金)

臨時国会開会

 石破 茂 です。

 臨時国会が始まりました。
 第三次補正予算に加えて復興庁設置法案、復興特区法案、復興財源関連法案、公務員制度関連法案、一票の格差是正法案等など、処理せねばならない予算・法案は膨大なもので、これに加えてTPP交渉参加、沖縄・普天間移設問題、小沢元代表の国会における説明責任問題など、議論せねばならない課題も山積しています。
 それにも拘らず会期は休日を入れて51日間、総理はじめ閣僚の外遊も目白押しで、一体これはどうなるのか、現時点では皆目見当がつきません。
 選挙を念頭において、増税反対だのTPP交渉に参加すること自体反対だの言っていてもどうにもなりません。賛成、反対両勢力とも、その主張を共有・理解する人ばかりが集まって気勢を上げるばかりで、議論は全く交わらない。これほど不幸なことはありません。
 
 TPP交渉に反対の立場のコメントを多く頂いていることは十分に承知しており、私もただ参加すればよいとの立場ではありませんが、農政に長く携わってきた者として、今までの政策の歪を強く実感しているのも事実です。
 初当選したばかりの昭和六十一年の夏、初めての「米価闘争」(政府がコメを全量買い入れ、価格も決める食管制度の下ではこんな闘争がありました)において、我々国会議員は鉢巻きを締めて「コメは一粒たりとも輸入させない、食管制度は絶対に堅持する、減反はこれ以上の拡大を阻止する」という三つの約束をしたものです。この三つは悉く守られることは無く、農業・農村は持続可能性を失い、衰退の一途を辿ったことはご承知の通りですが、誰一人としてその責任を負った者はいませんでした。
 改革を唱えれば「農民の敵!」と罵られ、票を失うことが怖くて本音を語ってこなかったことに痛烈な反省と贖罪の念を持っております。
 農水相時代にかなり思い切った改革案を提示したのですが、自民党内から「あんな最低の農相は早く辞めさせろ」との大合唱が起こったことも苦い思い出です。
 
 今週はやたらと出張や地方講演が多く、当欄を書く時間が取れませんでしたので、これらのテーマについては来週にでもまたきちんと論じたいと思います。どうかご容赦くださいませ。
 前国会終了から結局一日も休まなかったのにどうしてこうなるのか、「やりくり下手」「断る力と勇気の不足」を痛感しています。

 いずれにせよ、我が国は戦後維持し続けた「発展途上国モデル」から脱却しなくてはなりません。
 先週の日曜日に、大阪における木材関係の会で講演した時にも感じたのですが、例えばバラック建築規制を目的とした建築基準法に代表されるように、「質」よりも「量」に偏重した政策が続き、我が国はそれなりに均質的に発展した国家を実現させました。しかし今後はこれを改め、真の豊かさが実感でき、持続可能性を担保する政策へと大転換を図る必要があります。
 その意味でも、住宅政策と森林・林業政策をマクロの視点で大きく見直さなくてはなりません。同じことは社会保障政策全般についても言えることです。

 週末は二十二日土曜日が八カ所で埼玉県所沢市長選挙街頭演説会。
 夜行列車で地元へ帰り、日曜日はいくつかの大会やイベントを廻る他、何組かの陳情のお客様のお話を聞き、最終便で上京。
 月曜日は都内と横浜で講演(どちらもクローズの講演です)、その他夜遅くまで諸会合が続きます。

 朝夕は寒さを感じるようになりました。体調にお気をつけて週末をお過ごしくださいませ。

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2011年10月14日 (金)

政治システム

 石破 茂 です。

 国会は休会中で、党の役職も降りたのに、何だか毎日バタバタと慌ただしくて少しも落ち着きません。
 妻と久々にどこかへ行きたいな、との思いもまだ実現しておらず、焦りを感じるここ数日です。うかうかしていると臨時国会が始まってしまいますし、今度拝命した予算委員会筆頭理事の立場は国会論戦最前線の責任者ですからこれも相当に忙しく、片時たりとも息の抜けない日々が続くことになるのは必至です。日程を相当に「選択と集中」しなければ結局無為に日々が過ぎていくことになってしまいます。これではいけない、何とかしなくては…。

 久々に役職を離れてみて改めてつくづく思うのですが、ここ数年の政治の停滞と劣化の原因はやはり今の政治システムに根本的な原因があると言わざるを得ません。
 民主、自民という二大政党が形の上では存在しているのですが、思想的、政策的に保守から革新、右から左まであらゆる価値観の持ち主が混在しています。その傾向は特に民主党において顕著であり、共通しているのは「非自民」「政権維持」「自分の議席確保」と言っても過言ではないと思われますが、自民党においてもその傾向が全くないわけではありません。
 しかし自民党と民主党の最大の相違は、自民党には昭和三十年の結党以来、自主憲法の制定をはじめとする、党の果たすべき使命を明確にした党綱領が存在し、随時改訂を行ってきたのに対し、民主党にはそれが無く、それに代わる「党の基本理念」もその内容が抽象的・空想的であるのみならず、掲げられた項目が相互に背反するような代物であることです。
 自民党は綱領に忠実に従った政策を立案・提示し、民主党と対峙しなくてはなりません。
 
 小泉総理以降の歴代政権が一年という短命に終わった最大の原因は、「誰を党の顔に据えれば選挙に勝てるか」という政党や議員の自己都合で党首を選んできたことにあるのではないでしょうか。
 政策につき徹底した議論を避け、「何をやるか」ではなく「誰がやるか」に重点が置かれてきたために、政策による政界再編も起こらず、混迷した政治が続いてしまっているのだと私は思います。
 選挙制度の改正も、定数の削減と併せて、議員や政党の利害を離れ、早急に行うべきです。
 
 一部に私が同志とともに勉強会を立ち上げ、これを来年の総裁選の足場にするのではないかと報道されましたが、「誰がやるか」ではなく「何をやるか」を明確にする集団は今こそ絶対に必要なのだと思っております。
 数を集めるのでも、ポストや資金を配分するのでもない、純粋な集団を国家のために立ち上げることが出来ればと願っております。

 週末は十五日土曜日がHBC北海道放送ラジオ電話生出演(午前七時)、自衛隊殉職隊員追悼式(午前十時・防衛省)、自民党福井県第二選挙区支部研修会にて講演(午後三時・花咲福井農協・あわら市国影)。
 十六日日曜日が東京鳥取県人会(正午・ホテルグランドパレス)、関西木材産業後援会にて講演・懇親会(午後三時半・リーガロイヤルホテル大阪)、という日程になっております。

 夏がやっと終わったと思ったら、秋らしい日がほとんどないままに初冬になりそうな感じです。今年こそ晩夏の伊豆や、初秋の北海道に行ってみたかった…これもまた叶わぬ夢に終わりそうです。
 皆様、お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2011年10月 7日 (金)

石破茂セミナー2011後期 のお知らせ

 事務局です。
 いつも当欄をご覧いただき、誠にありがとうございます。

 さて、本年2月21日に開催させて頂いたセミナーの続きといたしまして、石破茂セミナー2011後期を下記要領にて開催させて頂きたいと思います。
 参加希望の方は、g00505@shugiin.go.jpまで、お名前、ご住所、お電話番号、ご職業を明記の上、ご連絡下さいませ。
 お電話でご連絡いただける場合は、03-3508-7525までお願い申し上げます。

日時 平成23年10月31日(月)
    1800 開場
    1800~1830 軽食(カレーライス→石破茂オリジナルレシピ)
    1830~1930 講演
    1930~2000 質疑
場所 自由民主党本部 9階 901号室
    東京都千代田区永田町1-11-23
    03-3581-6211
テーマ 「震災後の日本」
会費 10000円

 なお、この催しは、政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティです。

 

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派閥など

 石破 茂 です。

 政務調査会長を退任して一週間。あまり暇にならないな…というのが実感です。
 在任中からお引き受けしていた雑誌の対談やインタビュー、地方講演などに加えて「政調会長在任中は何かと忙しいだろうと思って控えていたが、退任したのだからもういいだろう」との理由で新たなお申し込みも数多く、大変有り難いことなのですが、思っていた様子とは相当に違う展開にやや戸惑いを感じています。
 折角お声を掛けて下さるのだから出来る限りお応えしたいと思っておりますが、機械でも一定期間使用後にメンテナンスをしなければ不具合を起こして結局ユーザーにご迷惑をおかけすることになるように、我々も心身共に点検は必要のようです。要はお断りする度胸や勇気が無いだけの話ではないかと反省いたしております。

 自民党の新人事を巡ってあれこれ取り沙汰されておりますが、人事は総裁の専権事項であり、あれこれ言うべきではありません。要は結果をどう示せるかです。
 派閥に配慮、というならそのメリットを最大限に生かすべきなのであって、これが単なる党内融和を目指したものならあまりに勿体ないことですし、民主党人事を批判する資格もありません。派閥が「政策集団」であるのなら派閥における政策論議を活発化させるべきでしょうし、同時に「選挙マシン」でもあるなら、早期の解散総選挙を主張しているのですから北海道から沖縄まで、それぞれの派閥が擁している候補者の選挙準備の進捗状況を徹底的に掌握・報告させ、早期の選挙態勢の確立を目指すべきでしょう。
 私はかつて渡辺美智雄先生が主宰される政策集団「温知会」に所属していましたが、渡辺先生や、事務局長であった伊吹文明先生から政策や選挙の手法について随分とご指導を頂いたものです。三十人ぐらいの比較的小さなグループでしたが、「どうでもいい奴が百人、二百人いても世の中は変わらないが、確信犯が三十人いれば世の中を動かせる。そういう集団を目指したい」との渡辺先生の志に忠実な集まりであったように思います。 
 政策勉強は本当に厳しく、選挙指導も徹底したものでした。そして皆が「いつの日か渡辺先生を総理にしたい」との共通の思いを持っておりました。中選挙区制下のことで今とは事情が異なりますが、本質はそう変わらないと思うのです。
 政策も練磨せず、選挙は候補者任せで、ただポストの獲得にのみ汲々としている印象(あくまで印象ですが)を国民に与えてしまっているから批判されるのであって、派閥の持つ弊害を極力除去し、メリット面を生かす努力を望みたいのです。

 小沢元代表の裁判が始まりました。
 既に多く指摘されていることですが、小沢氏の主張はどう考えても自己正当化のご都合主義にしか感じられません。検察が小沢氏の起訴を見送ったときには最大限持ち上げておきながら、今回は一転して「検察の捜査は小沢の政治的な抹殺を目的とする権力の濫用だ」と大批判を繰り広げる。検察審査会の設置法案には賛成しておきながら、今回は「検察審査会は素人の集まりにしか過ぎない」と言ってのける。国民の権利であり(義務でもある)裁判を「直ちに打ち切るべき」と主張する。記者会見で資金の出所や国会での説明責任について問われると「そんなことは検察に聞け、君は三権分立を知らないのか、もっと勉強しろ」と全く的外れの答えをして威嚇する。もう沢山だ、いい加減にして貰いたいと思わずにはいられません。

 ロッキード裁判の際、私は田中角栄先生の末席派閥秘書を務めていたのですが、田中先生は逮捕当日に「党に迷惑はかけられない」と自民党を離党され、検察批判など一切されず、加熱するマスコミ報道に対しても「オレがいるからこそあいつらもメシが食えるんだからいいじゃないか」と言っておられました。
 ロッキード事件に関してここで見解を述べることは差し控えますが、裁判に臨む姿勢には小沢氏とは雲泥の差があったように思います。

 私が小沢氏の掲げる政策(と呼べるとすれば、の話ですが)のほとんどすべてに賛成できないのは、いつかも当欄に記したとおりです。しかしそれ以前に、小沢氏並びにそれに連なる人々には、国民・有権者に対する謙虚さが全く感じられません。
 私たちとてまったく無謬ではなく、叩かれる材料も探せばきっと多くあるのでしょう。しかし常に謙虚でありたいと自戒しております。

 週末は本日金曜日が神戸で経済関係者との懇談会。
 八日土曜日は東京でTBS時事放談の収録(午前九時・武村正義氏との対談・放映は九日午前六時・一部地域は午前五時半)、「とちぎ未来塾」で講演(午前十時半・党本部)、その後結婚披露宴に出席。
 九日日曜日は自民党徳島県連定期大会で講演(午後二時半・徳島県建設センターホール)。
 十日月曜日(体育の日)は日本医師連盟中四国活動研究会で講演(午後一時・ホテルグランヴィア岡山)、自民党岡山県連未来創造セミナーで講演(午後二時五十分・ピュアリティまきび・岡山市北区下石井二丁目)という日程です。うーん、結構辛いかな…?

 明日から三連休の方もいらっしゃることと思います。お元気でお過ごしくださいませ。

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