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2012年6月29日 (金)

消費税関連法案 衆議院採決など

 石破 茂 です。

 さる26日の衆議院本会議の様子、ならびにその後の展開は皆様ご承知の通りです。
 本会議場の自席から法案に反対の青票(せいひょう、と読みます。賛成の場合は白票、はくひょうを使います)を投じている小沢系、鳩山系の議員たちを見ていてなんともやりきれない思いが致しました。
 総選挙で国民に約束していないことをやるのは許せない、というのはそれなりに筋は通っており、反対するなら反対するで一向に構わないのですが、だったらさっさと離党して新党でもなんでも立ち上げればよいのです。「分党手続きを経ないで離党すれば政党助成金が貰えないので、それまで引き延ばす」などという話は彼らの勝手な都合であって、その間政治がまた混乱・停滞するのは迷惑極まりありません。「選挙にはカネがいる」などと言いますが彼・彼女らのうちの相当数は単に民主党の比例名簿に名を載せて、開票したら当選していたなどという輩であり、なんでそんな人たちの選挙にカネがかかるのか私にはまったく理解できません。

 「増税反対、原発反対と言っていれば票は取れる」と小沢氏が言うのなら、今日からでも街頭に出てそう叫んでいればよいのです。増税をせずにどのようにして社会保障費を賄い、持続性を維持するのか、経済成長すればよいのだというのならその方策を示し、無駄を省けばカネは出るのだというのなら、なぜ政権にいた三年をかけても出せなかったものが出せるようになるのか、原発に代わるエネルギーはどうするのか、それらにつき具体的な説明も同時にすべきは当然です。スローガンだけを叫んで当選しようなどという魂胆を有権者はどう見るのか。
 「小沢氏に離党届を提出し、身柄を預けた」?政治家の出処進退はすべて自分の責任において有権者に対して示すべきものだ、と少なくとも私は考えております。一体誰の方を向いて議員の職責を果たそうとしているのか、考え違いも甚だしいでしょう。
 鳩山由紀夫氏に至っては、記名採決となった三法案のうち消費税法案だけに反対し、後の二法案には賛成という誠に奇怪な投票行動をとりました。「三法案のうち反対したのは一法案だけなのだから処分は軽くしてもらえるだろう」という考えだとすれば、浅ましいと言わざるをえません。卑劣、と言われても仕方ないのではないでしょうか。
 民主党執行部も執行部で、「厳正に対処する」との総理の言葉通りさっさと処分してしまえばいいものを、分裂回避を唯一至上の価値とする輿石幹事長に対応を任せる無責任ぶりは一体何なのか。「税制改革に政治生命を賭ける」と言った覚悟すら怪しく思えてきます。
 自民党も、公明党もここまで来るには多くの党内論議があり、相当の批判覚悟で決定に至ったのです。野党の協力なくして法案は成立しないのに、当の与党のこの有り様は一体何か。これもまた、一体どちらを向いて政治をしているのかと言いたくなります。

 我々は党利党略で解散を求めているのではありません。自民党が勝つことそれ自体が解散を求める目的なのであればまさしく党利党略ですし、そう受け取られることのないよう私たちは説明を尽くしていかねばなりません。
 我々は、消費税率引き上げが可能となる環境とは何か、そのためには供給サイドの改革と、政府・日銀の更なる連携の強化による適切な金融緩和、各種規制緩和の具体策を提示するとともに、負担力に応じた社会保障の改革などを具体的に提示する必要があります。
 その他エネルギー政策、TPPの必須前提条件農政改革、日本にできることは日本が行うことを基本とする安全保障政策などを、解散・総選挙を訴えるからにはもうそろそろ纏める時期となっています。

 造反者に対する処分が決まらなければ参議院における審議には応じられない、というのが本筋ですが、あの民主党のことですからこれを悪用して「倫理委員会などで慎重に手続きを進めるためには時間がかかる」などと言ってわざと時間を引き延ばし、会期末を迎えて審議未了、廃案にしてしまうことを狙っている勢力もあることは十分に予測されます。
 処分もウヤムヤ、法案は廃案、会期を閉じてしまえば不信任案も出ず、総理は法案が成立しなかったのだから引責辞任、党の分裂も回避できた、めでたし、めでたし。まさかとは思いますが、本気でそんなことを考えかねないのが民主党の一部のような気がしています。
 本日の小沢・輿石会談でも結論は出ず週明けに先送り、と報ぜられています。そのような術中に我が党が嵌ってはなりません。通常国会は一回しか延長できないので、時間切れ、ゲームセットという事態は何としても回避すべきです。
 来週はこれと解散の時期についての思惑が複雑に交錯する一週間となりそうです。

 週末は6月30日土曜日が地元の各種会合。
 7月1日日曜日がJFN(ジャパンFMネットワーク、FM放送)「ザ・ニュースペーパーの日曜日の朝刊 世界を笑え!」(午前5時・収録)、TBSテレビ系列「時事放談」(午前6時・一部地域は別時間・前原議員との対談・収録)、自民党鳥取県連青年局・女性局合同大会(午後1時・米子全日空ホテル・米子市久米町)、鳥取県看護連盟通常総会(午後4時・鳥取県看護研修センター)、第8回東京・北京フォーラム晩餐会(午後8時・ホテルオークラ)という日程です。

 明後日からもう7月!七夕、とか海の日、とか夏休み、とか楽しそうな活字が目に入ります。
 「待て暫し。やがて汝もまた憩わん」
 随分前にも書いたように思うのですが、高校生の頃に読んだ五木寛之の「樹氷」という小説の中でアメリカ人実業家が口にしたこの台詞を最近妙に思い出します。

 皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2012年6月25日 (月)

イシバチャンネル第十九弾

事務局です。

イシバチャンネル第十九弾をアップロードしました。



是非ご覧ください。

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2012年6月22日 (金)

宮沢内閣不信任から19年

 石破 茂 です。

 去る6月19日は宮沢内閣不信任案が可決され、衆議院解散になった日から19年目でした。新聞のコラムでそのことを知り、ああ、あの時からもうそんなに年月が経ったのか、と思ったことでした。
 小選挙区制導入を柱とする政治改革法案を今国会で必ず成立させると約束した宮沢総理が、これを先送ったため内閣不信任案が提出され、野党に加えて当時の自民党羽田派などが賛成票を投じて不信任案が可決され、解散となった日でした。
 当時私は宮沢内閣の農林水産政務次官でしたが、「政治改革を実現する若手議員の会」の代表世話人として小選挙区制導入に政治活動の多くを費やしており、何年もかけて議論し、正式な党議決定を行い、国政選挙の公約にも掲げてきた選挙制度改革を葬るような宮沢内閣は絶対に信任できないと思い詰めていました。

 私は当時渡辺派に所属しており、小沢氏とはほとんど接触もありませんでした。不信任案が上程される前日に小沢氏から「一緒にやろう」との誘いも受けましたが、別に小沢氏から言われて選挙制度改革を推進してきたわけでもないので、誘いはその場でお断りしました。
 当日、不信任案に賛成の決意は固めていたものの、これが可決されるとは到底思えず、「これで自民党から除名されるのは確実だな。次の選挙も極めて不利になるだろうし、落選するかもしれないが、それはそれで仕方ないな…」と農林水産省の政務次官室で思いつつ政務次官の辞表をしたためたこと、いざ不信任案に賛成の白票を投じる時、足が震えてしまったことなどが、まるで昨日のことのように思い出されます。

 あれから19年。消費税法案採決をめぐって、国会は緊迫した局面を迎えています。
 小沢氏の一派が仮に54人以上が造反・離党した場合、与党は過半数割れとなり、不信任可決、法案否決がいつでも行える状況になります。

 消費税法案を可決し、日本の財政再建に向けた意思を示し、再来年の第一回の引き上げ予定時期までにあらゆる景気対策を施して環境作りに全力を尽くすとともに、所得再配分機能と保険機能の回復を主眼とする社会保障改革を断行しなくてはなりません。
 消費税法案採決の後は野党が一致して解散総選挙を求めることが重要です。「こんな時期に解散総選挙か!」というご批判も当然あるでしょうが、社会保障改革、エネルギー政策、TPP、憲法と密接に関係する安全保障政策など、緊急に解決しなくてはならない課題は山積しており、安定した勢力が両院において構成されなくては対応が不可能であると考えます。

 次期選挙は「政党を選ぶ」というより政界再編を視野に入れた「人を選ぶ」的な選挙となることは、小選挙区制の趣旨からは外れるものの、やむを得ないことと思っております。
 いくら「党を選ぶ」と言ってみたところで、今の民主党はとても一つの党などというる代物ではありませんし、仮に小沢氏一派が離党したとしても「何を目指す政党なのか」を定めた党綱領すら存在せず、それを定める作業も行う気配すら見えないような集団に存在意義などありません。
 中選挙区制が続いていたとしたら、民主党保守系の議員の多くは自民党に来ていたかもしれません。しかし、中選挙区制は同じ政党の候補者同士が争う仕組みであるが故に恐ろしくカネのかかる消耗戦を余儀なくされるものであって、彼らの多くは議員になることが出来なかったであろうこともまた正確に認識されなくてはなりません。

 中選挙区制時代を知っているのは当選6回以上の衆院議員たちであり、圧倒的多数の小選挙区しか知らない議員たちは「党も選べ、人も選べる中選挙区の方がよかった」的な思考に傾きがちです。
 何度も繰り返して言いますが、小選挙区制を機能させるための必須要件であったはずの「地方分権」「政党法制定」「政界再編」がどれも行われないままに選挙制度だけ変えたために、小選挙区制の影の部分、負の部分だけが表れているのが今の惨状です。こんなことなら中選挙区制の方がまだマシであった、というのは事実ですが、私はなお「三つの必須要件」の実現に拘りたいのです。

 昨日の小沢氏のグループにおける小沢氏のスピーチを聞いていて、矢鱈と「大義」「正義」などという大層な言葉が連発されているのが印象的でした。政治家が大層な言葉を連発するときは要注意です。
 「消費税は議論する必要もない」「無駄を省けば16兆円などすぐに出てくる」と国民に約束したことが今なお正しいのだ、という論証をする責任が小沢氏並びにこれに賛同する議員たちにはあるはずなのに、それらは全く行われず、「まず増税ありき、というのは間違いだ!」の一点張り。誰が「まず増税ありき」などと言ったのか、いつ今すぐに増税するなどと言ったのか、誰がいつ行政改革をやめるなどと言ったのか。ありもしないことを言い立て、国民に誤解を与え、これを増幅して権力を得ようとする行為はもはや犯罪行為に近いものです。

 よく「橋本内閣時代に消費税をアップして景気は悪化し、税収も減った」ことが指摘されます。アジア通貨危機や北海道拓殖銀行の破綻などの国内の金融不安が重なったため、増税の時期として不適当であったことは確かです。しかし「時期が不適当であった」ことと「消費税アップが不適当であった」こととは異なるものであることに加え、駆け込み需要の反動や消費税増税とセットであった所得税や法人税が減税された影響を捨象して議論するのはフェアではありません。

 小沢氏のグループは論外ですが、今なおテレビで臆面もなく意味不明のことを語る鳩山由紀夫元総理や、荒唐無稽な最低保障年金の実現や後期高齢者医療制度廃止を撤回せず、消費税法案を出すに至ったことへの真摯な弁明をしようとしない民主党議員にも強い違和感を覚えます。

 週末は一年に一度の大集会である「どうする日本2012」開催のため、地元日程です。倉吉市、東伯郡を中心とする中部会場は23日土曜日の午前10時から倉吉市体育文化会館で、鳥取市、岩美郡、八頭郡を中心とする東部会場は午後1時半からとりぎん文化会館で開催します。
 そのほか午後7時に倉吉市未来中心で開催される公明党の桝屋敬悟前代議士の時局講演会でスピーチを行う予定です。

 皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2012年6月15日 (金)

森本防衛大臣への質疑など

 石破 茂 です。

 12日の予算委員会において、野田総理、森本防衛大臣を中心に質疑を行いました。
 当日はNHKの中継もありましたが、ご関心のおありの方は衆議院のホームページで録画をご覧ください。

 素人の大臣相手もそれなりに難しいのですが、玄人、それもついこの前まで自民党のブレーンだった人を相手に質疑をするのはもっと難しいものでした。質問のベースをなるべく森本氏の論文に置いたつもりでしたが、それと相当に異なる答弁をされたのでいささか困惑してしまいました。
 「あなたが書いていたことと今の答弁は違うではないか!」と糾してもよかったのですが、森本大臣の面子を損ねるつもりもなかったのでやんわりと受け流したところ、「いつもより手加減していましたね」という反応が多く寄せられ、産経新聞には「石破氏が生徒役」「石破氏が脱帽」などと書かれる有り様で、やれやれ…と嘆息したことでした。
 「感激した」という有り難いお褒めのコメントから「ガッカリしました」という辛口ご批判コメントまで様々。この仕事を長くやっていてもすべての方にご納得いただくことは当然のことながら困難なものですね。
 そもそも安全保障は、ある程度の知識がなくては理解不能なものなので、どうしても説明・前置きが長くなってしまうところがあるのは事実ですが…。

 総理は答弁で「森本氏を単なる無難答弁要員にするつもりはない」とやや気色ばんで言っていましたが、何度か閣僚を務めた私の乏しい経験から言えば、大臣の発言力は議員歴に比例するところ大なのであり、民主党員でもなく議員でもない大臣がどれほどの政治力を発揮できるのか、いささか心許ないところがあります。
 右から左まで思想がバラバラで(ウイングが幅広く、などというようなものではありません)、安全保障政策にほとんど関心も知識もない民主党内で大胆な政策転換が出来るとはとても思えません。
 なにしろ小沢氏の一派は「海上自衛隊のインド洋補給も陸上・航空自衛隊のイラク・クウェート派遣も憲法違反だ!」と言って憚らなかった人たちであり、鳩山元首相はいまだに夢想的な言動を繰り返している有り様です。
 どのように有能な人材であっても、あの民主党の上に乗っている限りその能力を発揮できることはないでしょう。民主党政権もそう長くはありません。そうであるなら、むしろ森本大臣を我々自民党が支えるくらいの気持ちが必要なように思います。

 いまこれを記している段階では、税と社会保障の一体改革について民主・自民・公明の合意が出来るかどうか、全く予測がつきません。
 誤解していただきたくないのですが、私は消費税率さえ上げればそれで財政再建ができると考えているのでもなければ、今直ちに消費税率を上げるべき、と主張しているのでもありません。
 上げるタイミングはいつか、どのような条件が整えばよいのか、インフレ目標設定は英国イングランド銀行の例も参考にしながら我が国はどのように行うのか、需要サイドではなく供給サイドの改革をいかに行うか、内需に偏重している経済構造をどのようにして転換するか、消費税だけではなく、たとえば相続税の課税ベースをどのように拡大するかなど他の税制改革をいかに行うか、番号制やインボイス制度導入の阻害要因をいかに早く取り除くか、社会保障の選択と集中をどのような哲学のもとに行うか、等々考えられる政策を総動員すべきだと言っているのであり、消費税増税論だけに特化しているかのごとき批判は極めて残念です。
 議論のための議論やレッテル貼りの手法から早急に脱却するとともに、そのような手法を用いてひたすら延命・保身を図る議員たちを早く淘汰しなくてはなりません。その意味でも、解散総選挙は一日も早く断行すべきものです。

 昨日、民主党の輿石幹事長より提示された選挙制度改革案は、複雑怪奇並びに思想・哲学皆無の、議論先延ばしのためのものとしか思われません。そもそも、民主党として議論を重ね、一致したものではないにもかかわらず、これが最後の案だ、などと居丈高に言う姿勢はどうにも理解しがたいものがありますし、格差が二倍どころではない参議院の選挙制度について全く議論がないことも大問題です。
 一度解散総選挙を経たのちに、安定した政権のもとで議員定数を大幅に減らすことを前提として結論を出すべきであって、今回は緊急避難的な0増5減でもやむを得ないのではないでしょうか。

 私自身、右サイドからは左だと非難され、左サイドからは右だと非難される立場に居りますが、「右にいると真ん中も左に見える、左にいると真ん中も右に見える」ということなのかもしれません。
 八月十五日が近付くと総理の靖国参拝についてコメントを求められることが多いのですが、もう一度改めて私の考えを述べておきます。
 国家のために命を捧げた行為がこの上なく尊く、国民すべてが感謝し、御霊の安らかならんことを祈るのは極めて当然のことと考えます。しかし、「先帝陛下がご親拝を取りやめられ、今上陛下もご親拝にならないことをどう受け止めるべきか」について、我々はもっと突き詰めて考えるべきではないかと思っています。
 日本国と兵士たちとの約束は「いかなる兵士も靖国神社に祀られる」「天皇陛下が必ずご親拝下さる」の二点であったはずです。前者は一応果たされているものの、後者は昭和50年11月21日を最後にその後実現されておりません。
 総理大臣が参拝するか否かはこの約束とは本質的に全く関係のない話で、たとえ総理大臣であっても鳩山氏や菅氏に参拝して欲しいなどと英霊が望んでおられるとは私には到底思えません。畏れ多いことながら、大御心を拝察しながら陛下にご親拝いただける状況を作ることこそ、我々に課せられた課題なのだと思っております。
 「国家の命により戦地に赴き散華された兵士」と「明らかに勝てない戦争を、そうであると知りながら開始した立場に居た国家指導者」とは明らかに異なると私は考えており、八月十五日には地元の護国神社に参拝することと致しております。
 総理大臣が参拝すべき、との所説の大半を読んだうえで申し上げておりますのでこの問題をこれ以上議論するつもりはありませんが、何人かの方からお尋ねを頂きましたので記した次第です。

 週末は本日金曜日が中根一幸前代議士を激励する集い(午後7時・東部バンケットホール上尾・上尾市宮本町)。
 16日土曜日が自民党兵庫県連街頭演説会(正午・神戸大丸前)、兵庫県地方議員セミナーで講演(ANAクラウンプラザホテル・神戸市中央区北野町)、藤井ひさゆき自民党支部長の後援会で講演(午後6時・小野市うるおい交流会館・小野市中島町)、渡海前代議士後援会青年部との会合(午後8時・加古川市内)。
 17日日曜日が神戸市漁業関係者、港湾関係者との会合(神戸市内)、谷畑孝代議士八尾市後援会総会で講演(午後2時・八尾文化会館・八尾市光町)という日程です。

 来週は激動の週となることも予想されます。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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2012年6月 8日 (金)

寛仁親王殿下薨去など

 石破 茂 です。

 寬仁親王殿下が薨去されました。
 殿下は1970年、「トモさんのえげれす留学」という本を著され、中学生だった私はとても面白く拝読したことをよく覚えております。産経新聞主催の「国民の自衛官」表彰式典にもお出ましを頂き、恐懼しながらもとても有り難かったことが思い出されます。心より皆様とともに哀悼の誠を捧げます。

 民間人の防衛相登用と文民統制について様々なご意見を頂き、私の発言と伝えられている、もしくは部分だけ切り取って放映されていることに対してはご批判八割、賛同二割といった印象です。
 新聞もテレビも「野党から批判の声が挙がっている」ということだけを伝えたいのですから、私が「森本大臣の人格識見は高く評価する」「今後は今まで停滞していた防衛政策を一気に前に進めたい」と言ったこともすべてカットされています。テレビや新聞の報道ぶりとはいつもそんなもので、私も十分にそれを承知の上でインタビューに応じているのですから、真意が伝わっていない、などというつもりは全くありません。

 「防衛大臣をはじめとする政務三役に民間人は登用できるか」というテーマはここ十年近く、私が最も悩んできたテーマのひとつです。「見識のない国会議員より見識ある民間人の方が良い」と明快に割り切れれば何も悩む必要などないのですが、ことはそれほど単純なものではないと思っています。

 憲法第68条は「国務大臣の過半数は国会議員から選ばれなければならない」と定めており、これは議院内閣制を徹底させるために設けられた要件であると解されています(なお、この「過半数」という規定は議院内閣制の本旨からすれば不徹底なものであり、本来全員が国会議員であるべきこと、就中、首班指名において衆議院の優越が定められていることからすれば衆議院議員であるべきことが期待されているとの見解があります)。
 従って、防衛大臣が民間人であることは憲法に抵触しないことは明らかです。
 それでは何故、(警察予備隊ではなく)保安庁以来、この組織の長は一人の例外もなく一種の不文律的に国会議員であったのか、というのが私の長年の問題意識でした。
 文民統制、というからには当然のことながら統制の主体と客体が存在します。客体は事務次官、統合幕僚長以下の自衛隊員です。所謂背広組である文官も、自衛隊員である以上統制の客体なのであり、「文官統制」などということはあり得ません。では主体は誰なのか、と言えば防衛庁以来、それは国会議員を予定して防衛法制は作られていると解さざるを得ません。
 自衛隊法は「内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊の最高指揮監督権を有する」(第7条)「防衛大臣は自衛隊の隊務を統括する」(第8条)と定め、防衛省設置法は「防衛省の長は防衛大臣とする」と定めています。最高の指揮監督権は内閣総理大臣個人にあるのではなく、運用(軍令)についての権限(統帥権)があるわけでもありません。

 いずれにせよ、この問題はそう簡単なものではないことは事実です。しかし、前任の二人に比べて、はるかにまともな議論ができることもまた確かであり、今度は我々自民党の見識が問われるとの思いで臨んでまいります。

 昨日と本日、十日投票日の沖縄県議会議員選挙の応援遊説に出張いたしましたため、今回は十分な意見を記すことができませんでした。
 仲井真知事与党が何としても過半数を確保せねばならない重要な選挙です。何卒ご寛容下さいませ。

 週末、九日土曜日は来週火曜日の予算委員会質問の作成に充てる予定です。
 十日日曜日は馳浩代議士の政経セミナーで講演とパネルディスカッションを行います(午後一時半・金沢東急エクセルホテル・金沢市香林坊)。

 お元気で週末をお過ごしくださいませ。

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2012年6月 1日 (金)

憲法審査会など

 石破 茂 です。

 野田総理が「一期一会」の覚悟で臨み、「乾坤一擲」を目指した小沢氏との会談は一体なんだったのでしょう。その言葉通りなら、「運命を決する一度しかない大勝負」ということになりますが、その後の推移をみる限り、どうにもそうとは思われません。総理の高揚した気持ちが伝わってくるようでしたが、四字構成熟語というものは注意して使わないとおかしなことになりかねません。自重自戒。
 一期一会、と言った以上、もう再会談などあってはなりませんし、乾坤一擲、と言ったからには最後通牒を突きつけるものでなければならなかったはずです。何度も会談し、ダラダラと平行線が続くようなら、単なる時間稼ぎ、アリバイ作りでしかありません。このような有り様では、総理が「政治生命を賭ける」と言っているのもなんだか怪しくなってきます。政治家の言葉はすべからくもっと重くてしかるべきです。

 消費税を含む税制改革は麻生内閣以来の自民党の方針ですし、一昨年の参院選において国民に示した公約でもあります。何も今すぐに上げるというのではなく、民主党が自民党の提案を呑み、経済成長への道筋を示したならば、アレシナ教授の所説も念頭に税率引き上げの環境を早期に整えるべきと考えます。
 民主党はやらないといったことをやるのであり、自民党はその民主党とともに税制改革法案の成立に力を貸すのですから、互いに国民に信を問うのは当然です。それは談合的な「話し合い解散」などではなく、謙虚かつ真摯に主権者である国民に信を問うという性格のものなのです。
 その前提として所謂「0増5減」と言われる格差是正を速やかに行うべきことは当然です。「選挙制度の抜本改革が必要だ」などというのは単なる選挙先延ばしのための方便でしかありません。

 今日から六月、今国会の会期はあと三週間しか残っていません。
 民主党の分裂を防ぐことが一体何の国益になるのか。そのために無能な大臣や公職選挙法違反の大臣を留任させ、国会の審議を停滞させ、必要な法律も審議させず、海外からの信用を失墜させていることを何とも思わない民主党という集団は一刻も早く国民の審判により退場させられなくてはなりません。
 解散を消費税を通す条件とするな、という意見も自民党内にはあるようですが、総裁がそう決断されている以上それに従うのが党員としては当然の責務です。

 大飯原発の再稼働に向けて大きく動きが始まりました。野田総理が「自分の責任において判断する」と述べたことは評価しますが、いかなる根拠に基づいて判断したのかを同時に示さなければ単なる「自己満足的な格好づけ」にしか過ぎません。
 単に「このまま再稼働させなければ関西電力管内は深刻な電力不足に陥る」という事実に基づくのではなく、「動かさないリスク」の方が「動かすリスク」よりなぜ大きいと判断したのか、それを正確に国民に説明することが必要です。

 中国大使館一等書記官による工作事案は極めて重大な問題をはらんでいます。
 問題の人物は人民解放軍傘下の情報機関に所属しているとみられており、日本企業を中国に進出させてその影響下に置き、軍の資金調達の「金蔓」にしようとしたのがこの事案の構図で、かかる企てに筒井農水副大臣が深く関与し、農水省挙げて加担させていたとするならば、これはまさしく売国的行為と言わなければなりません。
 「日本の農産物を積極的に中国に売ることの何が悪いのか」と開き直っているようですが、議員秘書を農林水産事務次官経験者や農林水産審議官(次官級)経験者が就任するのが通例の農林水産省顧問に任命して、公益法人でもない民間の団体に農水省挙げての支援を行なわせるなど、普通はありえないことです。
 「政治主導」の名のもとに、権力を握れば何をやっても構わないという民主党議員の体質が如実に表れた事案なのかも知れません。自民党時代も含めて、そのようなことがあったか否か、徹底した検証が必要です。

 昨日(5月31日)の衆議院憲法審査会のテーマは「憲法第9条と日米安全保障体制」でした。
 発言者はほぼ固定化されていて、辻元清美(民主)、赤松正雄(公明)、笠井亮(共産)の各議員、それに私という、ここ十数年来この問題について議論してきた顔ぶれです。それぞれの主張はもう既に十分に考え抜かれたものであり、立場は相当に異なり、賛同は当然しかねるものの、それなりに理解できるものでした。
 さっぱりわからなかったのはやはり民主党で(もともと社民党の辻本氏は除く)、人によって言うことが全く異なり、基礎的な知識にすら大きく欠けている議員が際立って多いように見受けられました。
 何のための政党なのかを定めない民主党の本質がここにも如実に表れているように思われたことでした。

 週末は自民党鳥取県連大会出席のため久しぶりに地元へ帰ります(自民党鳥取県支部連合会定期大会・6月2日午前11時・米子コンベンションセンター)。
 3日日曜日はTBS系列「時事放談」で藤井裕久元財務大臣と対談(収録・午前6時・一部地域は別時間)、残余の時間は地元での諸日程をこなします。

 一年も半分が過ぎようとしています。東京ももうすぐ梅雨入り、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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