覆い焼きと焼き込み

覆い焼きも焼き込みも印画紙に露光中、部分的に露光時間を変えてやることで表現を変えます。

覆い焼き

覆うというくらいですから印画紙の露光中、光の一部を遮断して濃度を調節します。

これが原版となる写真 丸のついたところだけ覆い焼きをして明るくしてやります。 見えますか?潰れていてしまっていたところも見えてきます。
どうやって光を遮断するかというと道具は人それぞれです。手のひらを使う人もいれば覆う場所の形に黒紙を切って使う人もいます。

覆い焼きは部分的に露光を減らす作業です。他の部分にはちゃんと適正な露光を与えてやらねばなりません。覆った部分も度が過ぎれば浮き出たようになり不自然になります。

マスクをレンズに近づければその輪郭は大きくボケますが光を遮光する範囲が広くなってしまいます。逆に印画紙に近づけすぎると影がはっきり出てしまいます。狭い範囲を覆うときには印画紙に近づけ必ずマスクを小刻みに動かし境目を出さないように気を付けてください。

範囲が広い場合あらかじめ覆う形にマスクを作って置くという手もあります。

このエヘン虫に棒がついたのはよく使われるツールです。黒紙を丸く切ってその周りをギザギザと切ってやります。そこに細いピアの線を取り付けるだけです。大きさの違うものをいくつか作っておくと便利です。ピアの線と言った訳は細い割にしなりに対して丈夫だからです。

覆い焼きでも焼き込みでも大事なのは自然さを損なわない事、処理した境界がわからないようにする事です。右のツールのギザギザは境界をぼかすためにあります。使うときにはじっとしてないで小刻みに揺らしながら覆い焼きをします。そうすることで境界がボケるとともにピアの線の跡がつき難くなります。

焼き込み

焼き込みは部分的に露光を増やしてやります。

これが原版となる写真 丸のついたところを焼き込んでみます。 ちょっとオーバーに焼き込んでしまいました。
標準露光を与えてから焼き込みに入ります。この時他の部分に光が漏れないように少し大きめな紙を利用してやります。レンズの方に紙を近づければ枠はボケやすくなりますが光の通過する範囲が大きくなってしまいます。逆に印画紙の方に近づけると光のあたる範囲が狭くなりますが、穴の輪郭がはっきりしてしまいます。

焼き込みようのツールはといいますと黒紙から上のエヘン虫を切り抜いたものです。そのギザギザのついた穴から必要な部分の光を通して焼き込むわけです。同じようにじっとしているのでなく軽く小刻みに揺らす事で境界線がボケます。

覆い焼きも焼き込みも度が過ぎれば現実とあまりにもかけ離れたものとなってしまうとともに画面がフラットになり易いので気をつけてください。

一枚の写真を作り上げるのに覆い焼き、焼き込みを複合して使います。まず最初は何も手を加えず仕上げます。それを明るいところで見てからどこをどう処理するかを決定します。

 

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