中堅企業で次長を務めるキム・ジソンさん(43・仮名)は最近、会社に辞表を出した。入社から15年、主に会計業務担当だったキムさんは、先ごろ急に管理部門への異動を命じられた。同僚5人もまるで経験がない閑職へと追いやられた。事実上の整理解雇とも言えるものだった。ショックを受けたキムさんは決心して新しい仕事に適応しようとしたが、結局は耐えられなかった。キムさんは「会社がもう自分を必要としないのに、このまましがみついていても意味がない」と話した。キムさんはひとまず8カ月分給付される失業手当で持ちこたえ、転職に失敗した場合には、ローンを組んで飲食店を開く計画を立てている。
韓国社会の主軸だった「486世代」(40代で、80年代に大学に通い、60年代生まれの人)が景気低迷のあおりで職場を追われている。統計庁は12日、8月の就業者数が前年同月比で36万4000人増えたが、40代は7000人減少し、3カ月連続の落ち込みとなったことを明らかにした。
■486世代の就業者、金融危機以来の減少
8月の就業者の増減を年齢別に見ると、30代、50代、60代以上は前年同月に比べ増えたが、20代(9万8000人減)と40代は減少した。20代の減少は既に傾向として定着し社会問題になっているが、40代の減少は新たな現象だ。
これまで50代に集中していた企業のリストラが40代にも広がっているのではないかとの分析が聞かれる。現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は「50代の幹部クラスが中心だったリストラの対象が、景気低迷の長期化を受け、40代に拡大する兆候がある」と述べた。景気低迷の余波が働き盛りの年齢にも及び始めたのではないかと懸念される状況だ。企画財政部(省に相当)関係者は「8月に自営業者が12万人増えたことからみて、企業のリストラが40代の就業者減少につながったようだ」と分析した。