日立、1台のPCサーバ上で複数の仮想化ソフトを動作させる技術を開発
レッドハットと協業しサーバ仮想化ソリューションを展開日立製作所は、1台のPCサーバ上で複数のサーバ仮想化ソフトウェアを動作させる技術を開発。レッドハットの協力のもと、クラウド向けのサーバ仮想化ソリューションとして提供を開始する。
具体的には、日立製作所は、統合サービス・プラットフォーム「BladeSymphony」に搭載している独自のサーバ論理分割機構Virtage(バタージュ)機能を拡張。論理的に分割したサーバの区画(LPAR)の上で複数のサーバ仮想化ソフトウェアを安定的に動作させる技術を開発した。
Virtageは、LPAR間の独立性を確保できるハードウェアベースのサーバ論理分割技術で、物理的なサーバと同等の信頼性を確保できることから、企業の基幹系システムなど、大規模なシステムにも幅広く利用されている。
これらの技術により、マルチテナントのクラウド環境において、テナントごとに割り当てたLPAR上でサーバ仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー)を動作させることが可能。各テナントにおける負荷変動や障害からの独立性を高めることができ、1台のサーバ上に複数のテナントを効率的に集約できるようになる。
従来は、1台のサーバ上に複数部門の仮想サーバが混在した場合、サーバのリソースにまだ余裕があるにも関わらず、部門間の独立性を重視して新たなサーバを設置するといった運用が行われてきたが、今回の新技術を活用することで、新たな物理サーバの設置なしに、安定的に複数の仮想サーバを稼働させることができる。
今回、日立製作所はレッドハットと共同で、Virtage上において、Red Hat Enterprise Linuxの標準のサーバ仮想化ソフトウェアであるKernel-based Virtual Machine(以下、KVM)が複数動作することを検証した。
日立製作所は、「BladeSymphony」のハイエンドモデル「BS2000」の標準サーバブレードに、Red Hat Enterprise Linux KVMの動作認証取得版のVirtageを搭載し、マルチテナントのクラウド環境を持つ一般企業やクラウド事業者向けに、9月14日から販売する。
さらに、日立製作所は、Virtage上のRed Hat Enterprise Linux KVMの動作の検証や導入のコンサルティングを行う「RHEL KVM on LPARソリューションセンター」を9月13日に開設。VirtageとRed Hat Enterprise Linux KVMの組み合わせによる新たなサーバ仮想化ソリューションの提案を推進。
クラウド・サービス事業者を対象とした検証環境の貸出しやデモンストレーション環境の整備、コンサルティングを実施するとともに、ソフトウェア・ベンダーへの検証支援なども行い、高効率で集約度の高いクラウド・システム基盤の構築を支援していく方針だ。
また、日立製作所は今後、米国の日立データシステムズ社と連携し、日立製作所のLPAR技術とRed Hat Enterprise Linux KVMを用いたプラットフォーム製品やソリューションの開発を進め、グローバル市場での展開を進める方針も示している。
(Computerworld.jp)