韓国警察庁は12日、犯罪者のDNA情報を検察と共有する方針を発表した。警察は事件現場などで採取した犯罪者のDNAを保管しているが、検察はこれとは別に、主に受刑者から採取したDNA情報を保管している。
これまで、前科者のDNA情報を両機関がそれぞれ保管していたことで、事件発生時に容疑者の特定が遅れるという弊害があった。ソウル市広津区中谷洞で先月20日、主婦に性的暴行を加えようとして殺害したソ・ジンファン容疑者(42)の場合、事件の約半月前に別の性的暴行事件を起こした際、警察がDNA情報を確保していたが、前科のある同容疑者のDNAを検察が保管していることを知らず、早期逮捕がかなわなかった。
性的暴行事件が発生した時点で、警察と検察が迅速にDNAを照らし合わせてソ容疑者を逮捕していれば、半月後に起こった主婦殺害事件を食い止めることができたとの指摘を受け、警察と検察はDNA情報の相互検索システムを構築することを決めた。
検索システムが整えば、警察が逮捕した容疑者または事件現場などで採取したDNAと、検察が受刑者などから採取したDNAを一括管理することができ、迅速な容疑者特定・逮捕が可能になる。ソ容疑者のように、現場に堂々と体液を残していながら、わずか半月後に新たな犯行に及ぶという事態を未然に防げると期待される。
一方、法務部(省に相当)も、ソ容疑者の電子足輪が実質的に捜査の役に立たなかったとの指摘を受け、電子足輪を装着した全ての前科者に関する個人情報を警察と共有する法的根拠を確立し、捜査協力を拡大する方針を固めた。
警察は現在、管内に居住する電子足輪着用者の数や、居住地を把握していない状況だが、法務部と関連情報を共有できるようになれば、虞犯者(ぐはんしゃ=犯罪が懸念される人物)の情報や動向を把握しやすくなり、犯罪の予防にも大いに役立つ見通しだ。
警察関係者は「関係機関のDNAや電子足輪着用者に関する情報共有は、ソ容疑者の事件のような悲劇を防ぐ上で非常に効果的だ」と期待を寄せている。