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【プロ野球】

金本涙の引退会見 21年間の現役に別れ

2012年9月13日 紙面から

今季限りの引退を表明し、記者会見で涙ぐむ阪神・金本=兵庫県西宮市で

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 阪神・金本知憲外野手(44)が12日、兵庫県西宮市内で緊急会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。チームメートやファンから「アニキ」と慕われ、世界記録となる13686イニング連続フルイニング出場など数々の記録を誇る鉄人が涙ながらに21年間の現役生活に別れを告げた。今後の去就は未定。

 数々の苦しみや痛みを、その強靱(きょうじん)な精神力で乗り越えてきた鉄人が男泣きした。金本はユニホームを脱ぐと決めた理由を赤裸々に口にした。

 「特にこの3年間というのは、本当に惨めというか…。自分がみっともなくて、かわいそうというかね。自分でかわいそうというのもおかしいですけど」。2年前の春に肩を故障してから衰えが顕著になった。最近は若返りを果たせない阪神の象徴として批判の矢面に立たされていた。

 だが、誰よりも自分が悩み苦しんでいた。その葛藤を吐露した。昨シーズン終盤、金本は近い人間に「(来年)やるか分からん」と口にして周囲を驚かせたという。「過去の名声にはしがみつきたくない」が口癖の男が決意を胸に臨んだプロ21年目。今月2日に南信男球団社長から来季の進退を自身に委ねられ、その引き際を悟った。

 そんな金本の涙腺が緩んだのは、家族に話題が及んだ時。「母親には一番最初に伝えましたね。『体のケアをこれからしてくれ』と…。それだけです」。愛情が詰まった母のねぎらいの言葉を思い出し感極まった。さらに、ファンへの思いを口にすると再び涙した。

 「かなり落ちぶれてからは、バッシングとか多かったんですけど。それでも本当にこんな成績でも、一生懸命…。励ましてくれたファンというか。(自分が)弱った時に支えてくれた人というのは本当に、恩義に思います」と言葉を詰まらせた。

 野球とは何だったかと問われ、「長嶋さんじゃないですけど、人生そのものですね。野球を10歳の時から始めて、7割、8割がしんどいことで。2割、3割の喜びというか充実感しかなかった」。広島入団時は線の細さばかりが目立った若者が自らをいじめ抜き、トリプル3(3割、30本塁打、30盗塁)を成し遂げるトップ選手に成長した。

 阪神では優勝の味を知り、中心選手として一時代を築いた。「自分の人生で、ひと花咲かせてやるぞという思いもあった」と話した通り、大記録とともに記憶にも残る野球人生。努力でベースボール・ドリームを果たした金本が、ついに現役生活にピリオドを打つ。 (中谷秀樹)

 

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