支持率低迷にあえぐ民主党で10日、代表選が告示された。4候補の舌戦で注目を集めて失地回復を目指したいところだが、足元の地方組織では所属議員の会派離脱などが相次ぎ、すでに瓦解が始まっている。
野田首相が見据える次期衆院選は「近いうち」とされるが、地方組織では「選挙になったらどうなるのか」と不安の声も上がっている。
◆都議会
民主が最大会派の東京都議会。7月末から1か月余りで5人が離党届を出した。
離党理由は「増税を有権者に説明できない」「原子力発電所の再稼働は容認できない」「民主党政権では尖閣諸島の実効支配を強められない」など。いずれも都議会とは直接、関係のない理由が目立ち、酒井大史幹事長は「これでは対策の練りようがない」とあきらめ顔だ。
都議選を来夏に控え、まだ離脱予備軍が残っているという。ある民主議員は「来夏の選挙を考えたら、本音ではみな民主党を出たがっている」と声を潜めた。
◆大阪でも
大阪では昨年4月の統一地方選で府議会、大阪市議会ともに民主の議席数が半数以下に減少。代わって府議会で過半数を占めたのが、大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)。市議会でも第1党に躍進した。
統一選前後には、民主府議が維新府議団に移籍する動きが続いた。市議団は昨年5月、会派名から「民主党」を外し、「OSAKAみらい」に看板を掛け替えたが、低調ぶりに歯止めがかからない。
次期衆院選で、維新は府内15選挙区で候補者を立てる予定だ。維新の攻勢に対し、民主府議は「代表選が少しでも盛り上がって、『被害』の軽減につながれば」とつぶやいた。
◆岩手は分裂
民主党を離党後、新党「国民の生活が第一」の代表に収まった小沢一郎・元民主党代表の地元・岩手県。ここでは民主党県連が分裂する事態に追い込まれ、後処理に頭を悩ませている。
県議会は、民主会派が23人だったが、「生活」系の10人が離脱。第2会派の自民党との差はわずか1議席だ。次期衆院選では、民主と生活が激しく激突する見通しだが、民主党県連の大宮惇幸幹事長は「ちょっと難しいっぺね、野田さんの顔では……」とため息をついた。