ヒトの設計図に当たり、病気の解明などを目指して盛んに研究されている全遺伝情報(ゲノム)の約8割は、遺伝子の働きを調節するなど生命維持に必要な役割を担っていることがわかった。これまで無駄と思われていた部分も有用であることを示しており、私たちの生命観を変え、創薬にもつながる成果として6日付英科学誌ネイチャーに論文が発表された。
ゲノムは、私たちの細胞にある染色体を作るDNAのこと。2003年に解読完了が宣言されたが、身体を作るたんぱく質の設計図である「遺伝子」はうち約2%に過ぎない。そこの変異を調べて、病気になる可能性などを予測できることもあるが、残り約98%の働きはわかっていなかった。
ところが、理化学研究所などが参加する国際共同チーム「エンコード計画」がゲノムの働きを詳細に調べたところ、80.4%が、生きていくのに必要なたんぱく質を必要な場所・タイミングで作るよう、遺伝子に指示するスイッチ役などを果たしているとわかった。
これらのスイッチなどが正しく働かないと病気になることがあり、実際、がんや認知症との関連がすでにわかっている。