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核のゴミ 処分計画見直し提言
9月11日 15時13分

核のゴミ 処分計画見直し提言
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原子力発電に伴って出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のゴミの処分を巡り、日本学術会議は、地下深くに埋めて処分する今の国の計画は行き詰まっているなどとして、数十年から数百年の間、暫定的に保管するなど白紙に戻す覚悟で見直すべきだなどとする提言を正式にまとめ、11日、原子力委員会に提出しました。

提言は、11日午前、学術会議の大西隆会長が国の原子力委員会を訪れ、近藤駿介委員長に手渡しました。
高レベル放射性廃棄物の処分を巡っては、国が平成12年に法律をつくり、地下300メートルより深くに数万年以上埋めて処分する計画を決めましたが、処分場の候補地選びが全く進まないため、原子力委員会がおととし、日本学術会議に取り組みの検証などを依頼していました。
報告書では、まず福島第一原発の事故のあと、原子力政策を巡って社会的な合意がないままに廃棄物の処分場選びを進めるのは適切ではなく、火山や地震が活発な日本で、数万年以上にわたって安定した地層を確認することは現在の科学では限界があると指摘しました。
そのうえで、今の国の計画を白紙に戻す覚悟で見直すべきで、高レベル放射性廃棄物を数十年から数百年程度、地上や地下に回収が可能な形で暫定的に保管し、この間に技術の開発や国民的な合意の形成を図るべきだなどと提言しています。
提言は、11日の原子力委員会の定例会でも報告され、原子力委員からは「今の世代が出した廃棄物は現世代が責任を持って対処すべきではないか」などといった意見が出され、提言をまとめた学術会議の今田高俊委員長は「回収可能な形で保管したほうが将来の世代も安心するのではないか」などと答えていました。
核のゴミの処分問題は、将来の原発比率にかかわらず、解決しなければならない課題で、今回の提言は、これまでの国の政策に大きな転換を迫るものですが、一方で問題の解決を先送りする内容ともいえ、原子力委員会には国民に対し開かれた形での議論が求められます。

日本学術会議委員長“議論の材料提供”

提言をまとめた日本学術会議の委員会の今田高俊委員長は、「原子力に賛成しようが反対しようが、国民が放射性廃棄物の処分についてどう考えればいいのか、議論のテーブルにつく材料を提供したと考えている。原子力委員会には、是非、こうした議論が実現するよう生かしてほしい」と話しています。

原子力委委員長“重要な政策は政治主導”

原子力委員会の近藤駿介委員長は、今回の提言について、「放射性廃棄物の処分の在り方については、原子力政策に反対の立場の人も入って10年以上前から議論を行い、そのなかで暫定的な保管の考え方も出ていたが、当時は、地層処分という結論に行き着いた。放射性廃棄物をはじめ原子力の重要な政策については、政治主導で決めることになっているため、原子力委員会としては、その判断の参考になるよう情報を提供していきたい」と話しています。

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