写真は連邦議会の上院における軍事予算委員会で、ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)国防相(手前)の答弁に耳を傾けるライス長官(2006年3月9日撮影)。(c)AFP/Paul J. RICHARDS
【ワシントンD.C./米国 11日 AFP】コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官は10日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)がフセイン政権時代にイラクで大量破壊兵器の開発を行っていたとの見解を改めて示した。
■ザルカウィによる兵器開発疑惑
11日に米同時多発テロから5周年を迎えるにあたりFOXニュースのインタビューに応じたライス国務長官は、「イラクとアルカイダの間に結び付きはあった」と述べ、米上院情報特別委員会が8日公表した旧フセイン政権とアルカイダの関連はなかったとする報告書を否定した。
ライス長官は特に、フセイン政権当時のイラクにおけるアルカイダ指導者とされるアブムサブ・ザルカウィ(Abu Musab al-Zarqawi)容疑者が、化学兵器を開発していたと主張。
「ザルカウィ容疑者がイラクで『毒のネットワーク(Poison network)』を運営していたことはわかっている」と語り、2003年3月のイラク開戦に先立ち、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領と自身が発表した、フセイン政権とウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者が関係しているとの声明内容を改めて主張した。
折りしも米上院情報特別委員会が8日、イラクが「ビンラディンに生物化学兵器に関する有用な情報を与えたり、援助している可能性は低い」とした米国防情報局(Defense Intelligence Agency、DIA)の2002年2月付け報告書を公表したばかり。
ライス長官は、「その報告書については見た覚えがない」と述べ、「情報機関の報告書に矛盾があるのは、いつものことだ」と語った。
「だからこそ、われわれは集めた情報を統一した基準で評価するのだ」(同長官)
■宗派間の対立も「民主主義の敵」と豪語
9.11同時多発テロから5周年を迎えるその日が近づくにつれ、また混迷するイラク情勢が11月の中間選挙におけるブッシュ・共和党政権の立場を揺るがす中、米政府高官らは繰り返しイラク戦争をいわゆる「テロとの戦い」の中心に据えようとしてきた。
イラクではスンニ(Sunni)派とシーア(Shiite)派の対立が激化しているが、ライス長官はこれも、同国の民主的で安定した政権の成長を阻もうとするアルカイダの策謀だとし、「イラクの問題がスンニ派とシーア派の対立だけだというのは間違いだ。イラクをビンラディンの権力が及ぶ地域としておきたい過激派によるテロの脅威はまだかなり残っている」などと語った。
写真は連邦議会の上院における軍事予算委員会で、ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)国防相(手前)の答弁に耳を傾けるライス長官(2006年3月9日撮影)。(c)AFP/Paul J. RICHARDS