東電テレビ会議の映像公開いったん終了9月8日 4時20分
原発事故の対応が記録された東京電力のテレビ会議の映像公開が7日、いったん終了しました。
当時の状況がそのまま記録された映像からは、危機的な状況のなかで的確に判断することの難しさや、現場を支援する態勢の弱さなどがより実感を持って確認することができ、テレビ会議の映像が事故の検証にとって極めて有効であることを示しました。
東京電力のテレビ会議の映像は、先月6日から今月7日まで事故発生当日の去年3月11日から5日間の合わせて150時間分が、閲覧の形で報道関係者に公開されました。
この期間は次々に水素爆発が起き、最も危機的な状況を迎えたときで、政府や国会の事故調査委員会の報告書でも事故対応のさまざまな問題を指摘していますが、映像からは、文章だけでは伝わりにくい当事者の焦りや危機感などが実感を持って確認できました。
この中では、事故対応の真っ最中だった当時の吉田所長に本店から何度も電話がかかり、官邸に連絡をするよう促され、現場の指揮が中断する場面が何度もありました。
このほか、3号機が冷却できなくなった去年3月13日の朝、現場の職員が機器を動かすバッテリーを買いに行かざるをえなくなったとき、現金が足りず、「現金を貸してほしい」と呼びかける場面などもあり、当時、外部からの物資の補給がいかに十分でなかったかが分かります。
このように事故から1年半近くがたって公開されたテレビ会議の映像からは危機的な状況のなかで的確に判断することの難しさや、現場を支援する態勢の弱さなどが浮かび上がり、事故の検証にとって極めて有効であることを示しました。
ただ、公開は、録画や録音が認められないなど制限された状態で行われており、詳細な分析が必要な事故の検証には必ずしも十分とはいえません。
東京電力は今後、事故から1か月分の映像を公開する方針を明らかにしましたが、検証が十分行えるような公開の方法が求められます。
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