甲状腺について

甲状腺の悪性腫瘍

甲状腺の微小癌
Microcarcinoma of the Thyroid

病気の特徴

大きさが1cm以下の小さな癌を微小癌といいます。一般の病理解剖では、甲状腺には非常に高率で微小癌が認められます。また、超音波検査を用いて検診すると成人女性の3.5%に微小癌が発見されます。

この中でも、甲状腺乳頭癌の微小癌については多くの場合ほとんど進行しないか、たとえ進行しても非常にその速度が極めて遅いために、発見してもすぐ手術が必要ではなく、半年〜1年に1回の経過観察でも構わないということが判明しています。当院の調査では、手術をせずに5年以上経過をみても、90%の症例は進行しませんでした。

あきらかなリンパ節転移のない微小癌であっても手術でリンパ節を郭清すると、30%以上の方に顕微鏡的な微小なリンパ節転移が認められます。しかし不思議なことに、リンパ節をとってもとらなくても再発率は変わりません。顕微鏡レベルの転移は生命や健康の障害とならないようです。一方、微小癌であっても、手術前からあきらかにリンパ節転移がある場合には再発率が高く(術後5年で8.5%の再発率)、通常の乳頭癌と同じように手術を行うべきであることもわかってきました。

以上のことから、当院では危険性が低い微小癌と診断された患者様には、しばらく経過を見て、進行すれば手術とするのでも良いのではないかとお話しています。ただし、下記の危険性が高い微小癌の場合は手術をすることをお勧めします。

1

 癌が声帯を動かす神経や気管に近い場所にあり、

 近い将来、声帯麻痺や気管浸潤のおそれがある場合

2

 あきらかにリンパ節転移がある場合

治療

経過観察を選択された場合には、半年〜1年に1回通院していただき、超音波検査などにより癌の進行状態を観させていただきます。腫瘍があきらかに大きくなっていたり、リンパ節転移が出現したりするなど、癌の進行が認められた時には手術をお勧めしますが、それ以外は患者様が手術をご希望にならない限り経過観察を続けます。

現在までの当院のデータでは、経過観察中に癌が進行していく可能性は低いという結果がでています。多くの患者様が、数年〜10年以上にわたって手術なしで経過観察を受けておられます。また、たとえ進行していることが判明したとしても、その段階で手術を受けられれば手遅れになったことはありませんので、ご安心ください。

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