清瀬市民センターのエレベーター死亡事故に関する緊急提言
再びエレベーター事故で尊い「命」が奪われてしまいました。国民の「命」を守る責務のある議員の皆さんは、この事故や、菅直人副総理の高校の後輩が亡くなられたシンドラーエレベーター事故に無関心であってはいけません。原子力発電所での複数回の安全管理講習会の講師を務めた安全管理のプロの私はそう断言いたします。
結論
新政権は、旧政権との違いを明確に示すため、シンドラーエレベーター事故の関係者がレポートしているように、専門の事故調査委員会を早急に立ち上げるべきであり、その責任者は私しかいないと提言します。
シンドラーエレベーター事故中間報告(最後の部分をご覧ください)
ttp://www.city.minato.tokyo.jp/joho/tyosa/elevator/files/chukanhokokusho_3_gaiyo.pdf
報道より
清瀬エレベーター解体中『ドン』 作業員2人死亡 清瀬
2010年1月9日 朝刊
八日午前十一時四十分ごろ、東京都清瀬市元町一の清瀬市民センターの改修工事現場でエレベーター解体中だった作業員二人が、全身を負傷した状態で倒れて死亡しているのを、通報で駆けつけた消防隊員が見つけた。
警視庁東村山署によると、二人は作業を請け負っていた会社の社長の中河政信さん(45)=埼玉県戸田市上戸田四=と社員の佐藤一幸さん(29)=同市笹目七。
同署の調べでは、近くにいた別の作業員が「ドン」という音を聞き、一一九番通報。二人はエレベーターの天井の上で倒れていたが上半身はエレベーターと壁の間に挟まれるような状態だった。
二人は一階に停止させたエレベーター上でかごをつり下げるワイヤの切断作業に当たっていたという。近くに重さ約一・三トンの重りが落下していた。重りとかごは、上部に設置された滑車を通じて四本のワイヤで結ばれていた。
同署は、二人が重りを固定しないでワイヤを切断したため、重りが落下して死亡した可能性があるとみて調べている。業務上過失致死の疑いで九日にも現場検証する。
同センターは地上四階地下一階建て。老朽化のため総工費約十一億円で改修工事中だった。エレベーター解体の作業は八日に始まったばかりだった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010010902000054.html
まるで、作業員がワイヤを切れば重りが落ちることを知らなかったような報道ぶりです。当然、エレベーターの構造を知っている者が作業していたのでしょうから、この報道内容に私は納得できません。
本日(9日)東村山警察署に出向き、事実関係を確認しようと試みましたが、「業務上過失致死」の疑いで裁判になる可能性があるとの理由で、何も教えてもらえませんでした。
これは、変です。過去の遊具や鉄道事故では、事実関係は明かされてきました。明かされてきた事実はこういうことです。
1、エレベーターが動く「仕組み」はこうなっている。
2、作業員が「仕組み」のこの部分をこうした。(ワイヤを切断した?)
3、その結果、「仕組み」が破壊されこういう現象が発生した。(かごが落下した?)
エレベーターは滑車と同じで、重りとかごの重量バランスをモーターで調整しています。この単純な3つの事実関係をも警察が明らかにしないのは異常です。ディズニーランドで事故が起きた場合、「裁判の関係で・・・」などという理由で事故の原因を明らかにされないということが許されるとは、マスコミを含め誰一人思わないでしょう。
普通の人はだませても、世界のディズニーで安全管理を叩き込まれた私をだませる人間は、日本には一人もいません。
以下に、以前に書いたシンドラーエレベーター事故の真相を記します。いくつかのレポートを足したものであり、分かりにくいかもしれませんが、私が言いたいのは2つです。今回のエレベーター事故も、シンドラーのエレベーター事故も、旧態の政官業の癒着が警察を動かしているということです。シンドラーのエレベーター事故後のように政官業の癒着が政治家を、国民をだまそうとしているということです。
「官」「業」の癒着が生んだシンドラーエレベーター事故と薬害エイズ事件との共通点
菅直人副総理の高校の後輩が亡くなられたシンドラーのエレベーター事故から1月で3年半になります。今、国民が利用しているエレベーターでも、同様な事故が発生する恐れがありますので、与党関係者にこの事故の真因を教えたいと思います。
「危険性を承知していたにも関わらず業界の利益を優先させ、危険性を放置、隠蔽してきた」。この点において薬害エイズ事件も1昨年の12月29日に山梨県のレイク相模カントリークラブで起きたゴンドラ滑落事故も全く同じ構図です。
このゴンドラ滑落事故に遭遇した被害者は「残り10メートルほどで突然スピードが上がった」と証言していますが、この乗り物の全長は180メートルであり、もし上部で滑落が始まっていたら死亡者が発生していたに違いありません。
この乗り物で何が起きたのでしょうか。その答えは簡単です。ブレーキシステムのないジェットコースターが逆走し車止めに激突した大事故なのです。まさに殺人マシーンと言わざるを得ません。
ディズニーランドのジェットコースターであれば、何重もの安全装置が働く仕組みになっています。
理論的には事故が起きない仕組みが確立されているのです。もし電機系のショートが起きれば最初の安全装置が働く、もしブレーキの一つに不具合が生じたらを考えセーフティブレーキは2機設置しておくなど、「もし」「〜たら」「〜れば」を考えた安全設計になっています。つまり、危険にさらすようなトラブルを予測し、前もって危険を回避してしまう安全管理、フィードフォワード制御※を行っているのです。
他方、エレベーターやゴンドラの設計思想は違います。「もし」「〜たら」「〜れば」を考えていない不安全設計が「認可」されているのです。理論的に事故の発生を許す仕組みと断じざるを得ません。この人命軽視の設計思想がエレベーター事故やゴンドラ滑落事故を引き起こしているのです。
重力を利用する構造はシンドラーのエレベーターも事故を起こしたゴンドラもディズニーランドのジェットコースターと同じです。
ディズニーランドに関して1昨年12月30日の朝日新聞はこのように書いています。
「安心、安全、質の良さ。ディズニーというブランドは、お上が失ってしまったものを一手に引き受けている感がある。今や公的機関の色さえ帯び、その信頼度は群を抜く。」
そのディズニーランドで安全管理の責任者を務めてきた私からみれば、日本基準の昇降装置はオモチャにしか見えません。
さて、シンドラーのエレベーター事故から3年半経ちますが、未だに事故原因の発表は行われていません。ディズニーランドの技術者なら間違いなく10分で原因究明できるでしょう。それができないのには「理由」があります。このレポートはその「理由」である「官」「業」の癒着体質を明らかにしたものです。
エレベーター事故やゴンドラ事故は今日にも再度起きる可能性があるのです。関係者の素早い対応をお願いしたいと思います。
■毎日新聞の報道と事故の原因(カッコ内は筆者の付け足し)
<引用開始> ※括弧内は著者によるもの
<エレベーター事故>東京の高2死亡、点検員を書類送検へ
調べでは、作業員は同年4月から保守点検を担当。事故9日前の5月25日に事故機を点検した際、ブレーキパッドの摩耗で出た黒い粉の堆積(たいせき)などの異常を見逃し、事故で市川さんを死なせた疑い。
捜査1課が再現実験した結果、事故機は制御盤からブレーキ解除を伝える役割の電磁コイルがショートし、(電磁スィッチによる正しい開閉ができなくなり)ブレーキが完全に解除されないまま(半分?閉った状態で)運転していた。このため(負荷がかかり)パッドが摩耗し、今度はブレーキが機能しなくなり、止まっていたかごが(ブレーキで支え切れられなくなり)急上昇したとみられる。
シ社については、▽設計・構造自体に問題がない(業界の甘い安全基準を満たしている)▽事故時の保守点検を担当していない−−などの点から予見は難しかったと判断した(過去にショートによるブレーキ開閉トラブルが一度でもあれば予見はできた)
<引用終了>
毎日新聞 2008年12月19日一面
パッドで挟んで止めるブレーキ本体の役割をメインシステムとします。他方、制御盤からブレーキ解除を伝える役割をサブシステムと考えると、この事故の原因がはっきりと分かります。
ディズニーランドのすべてのアトラクションでは、サブシステムにトラブルが発生した場合には、サブシステムが自動的にシャットダウン(システム停止)します。ショートによりブレーカーが落ちることと同じ仕組みですが、そのように制御することにより、メインシステム自体への悪影響を回避することができます。
このエレベーターの問題点は、サブシステムにトラブルが発生していても、そのトラブルを放置しメインシステムに負担をかけ続けた点です。
人の命を守るために何重もの安全装置を働かせる企業が大多数です。他社ができていることをシンドラー社ができていないとすれば、それだけで業務上の瑕疵とみなされると私は判断します。
■事故の真因
「エレベーター業界の製品は原価割れで納品。メンテナンスで稼ぐ(週刊朝日 2006年6月23日号)」という業界の体質が市川さんを殺したのです。
■悪の葉っぱに斧を向ける人は千人いても、根っこに斧を向ける人はひとりしかいない」H・D・ソロー
■ポイント整理
◇事故原因は実に単純明快
「スイッチ接触が悪くなることが多い(週刊朝日2006年6月23日号)」信号系のトラブルがメカニックを破壊したことによる事故
「ブレーキのかけすぎでブレーキが利かなくなった」ことと同じ現象
重力 > ブレーキによる制御力
以前にも発生していたに違いない周辺機器のショートという信号系の些細なトラブルが、本体機器であるブレーキという機械を破壊し、重力によりエレベーターのかごを急上昇させたもの
◇情報を隠蔽しなければ事故原因の解明は早かった
事故後に「ブレーキの開閉を制御する制御系機器にショートの跡があった」「この機種には、ショートしてもブレーカーが落ちる安全装置は搭載されていない」「理論上想定されることである」と発表すれば、事故の真相は10日くらいで判明していた。このことを2年半隠し続けた。
◇関係者に共通した思想
人の命 < 作業効率や経済性
つまり、JR福知山線の事故を起こしたJR西日本と同じ思想
機器類にトラブルが発生した場合、必ず「安全側」に機器を働かせる「フェールセーフ」思想の欠如
1.関係者による争点ぼかし(警察をだます?警察もグル?)
@ドアが開いたまま上昇した件での安全装置犯人論を先行させた(難解な専門用語を駆使し単純な問題を複雑化、専門的にした)
A同様に、保守点検マニュアルの中身などに目を向けさせた
B制御系にショートの跡があったことを発表しなかった
C制御装置(信号系)に異常が発生すると、本体であるブレーキ(機械装置)が正しく動かなくなるという設計ロジック(安全制御論理、安全を構築する考え方)であることを発表しなかった
2.シンドラー社の対応
@原因が分かっていたから口をつぐんだ(過去にショートによる本体の不具合は発生していた)
A監督官庁が認可した他社の製品と同じ制御方法であり、自社だけが責められる理由はないと考えた(シンドラー社は早々に「この事故がエレベーターの設計や設備によるものではない事を確信している」と言っていた)
3.再現実験
@時間稼ぎのアリバイづくりである、ブレーキを制御する制御盤のショートがブレーキ本体に悪影響を与え続ける可能性のあるシステムということなら、専門家でなくても事故要因は特定できる
■論点整理
1.なぜ、ヒューマンファクター(人的要因)
@監督官庁の責任逃れ
エレベーター、回転扉、ジェットコースター、ゴンドラを管轄するが事故を防止できない「 財団法人 日本建設設備・昇降機センター 」
A業界擁護
B社会的混乱防止
パニックに対する有効な対策を有しない
2.個人の責任にする理由
@ディズニー方式など数段レベルの高い安全管理を受け入れることは、監督官庁の今までの指導が間違っていたことになる
Aエレベーター業界に留まらず、ディズニー方式の安全基準を日本のスタンダードにすると、莫大なコストと「手間」がかかることになる
B「エレベーター不安」を起こした役人と天下り団体へのバッシング機運が高まり、公務員改革に拍車がかかる
■再発防止策
1.パニックを避けるための当面の対策
@些細なトラブル通報の義務化
A事故機と同制御機種の点検回数の増加
2.数年かけて実施する対策
@ブレーカー機能の搭載
A組み込みソフトウエアや携帯電話を利用した誤作動自動通知システムの構築
■ 論評
私が「おかしい!」と直感したのは、毎日新聞記事のこの部分です。
「捜査1課が再現実験した結果」
再現実験ができたということは、ブレーキが制御不能になる状況を誰かが知っていたからにほかなりません。いや、関係者のほとんどは知っていたと私は推察します。
結論から書きます。
事故直後には事故原因のすべて(再現実験したショートがブレーキ本体を機能させなくなること)がエレベーター業界関係者には分かっていた。しかしながら、その事故原因を発表すると日本中の膨大な数のエレベーターに新たな安全装置を取り付けなくてはならず、そのことを嫌がった関係者は、ほとぼりが冷める頃のグッドタイミングを狙ってこの事故をヒューマンファクターで片付けようとした、これが、関係者が描いたストーリーであると私は考えます。(私の新聞社等への「指摘」により、警察は方針転換した?)
警視庁が静岡県のシンドラー社の工場でブレーキの実験を行ったのは、2007年3月です。この事実だけ捉えても、関係者は、ほとぼりが冷めた「師走」の週末にリリースするのが一番得策と考えたと私は思います。
このストーリー中の関係者が取り付けを嫌がった新たな安全装置とは「ショートでブレーカーが落ちる仕組み」です。この仕組みを組み込むと、ショートが発生した場合、エレベーターは停止することになります。人が閉じ込められるトラブルが増加し、保守点検会社の負担は高まります。
この保守点検会社の負担増が、関係者がこのストーリーを描いた理由の一つです。
さらに大きな理由は改修や撤去への「世論の動き」です。六本木ヒルズで起きた回転扉死亡事故後の「世論の動き」が関係者の「教訓」になったに違いありません。
この事故後には回転扉そのものが「悪者」とされ、撤去への動きが加速しました。マスコミ誘導による「世論の動き」が六本木ヒルズ回転扉死亡事故後と同じ動きになることを恐れ、エレベーター業界の関係者は、再発防止や被害者やご遺族に報いることより、業界を擁護することを選択したのでしょう。
このような業界の利益を守ることを優先させる思想では、同様の事故は防ぐことはできません。なぜならば、機械は故障するものであるからです。安全装置が作動したエレベーター内の「閉じ込め」など、些細な機械的なトラブルは起きてもいいことですが、取り返しのつかない死亡事故は絶対に起こしてはなりません。
しかしながら、死亡事故を起こした事故機と同じ制御方法のエレベーターが「エレベーター業界の製品は原価割れで納品。メンテナンスで稼ぐ」業界に存在する限り、事故は必ず再発するに違いありません。
さて、ここでもう少し詳しく事故機を点検した作業員の責任ではないことを明確にしたいと思います。
報道では「事故9日前の5月25日に事故機を点検した際、ブレーキパッドの摩耗で出た黒い粉の堆積(たいせき)などの異常を見逃し、事故で市川さんを死なせた疑い。」とありますが、これを立証するためには、ブレーキ解除を伝える役割の電磁コイルがショートした日を特定しなくてはなりません。
当然事故機のブレーキは保存されており、「黒い粉の堆積の量」も分かっていることです。この「量」を発生させることを一つの目的とした実験だったのでしょうが、理論的に作業者の業務上の過失を証明できない実験であるとしか私には言いようがありません。
私は、東京ディズニーランドのビックサンダー・マウンテンやスペース・マウンテンで同様な走行実験を行ってきた経験があります。それは雨が降った状態でのブレーキの効き具合など、あらゆる状況を想定した実験です。
その安全管理のプロの私から見た場合、警視庁が行った実験にはいくつか問題があります。
第一に、警視庁が行った再現実験時期(3月)と死亡事故が起きた時期(6月)は「湿度」が違います。ブレーキとは摩擦の力を利用したものであり、湿気がある方がブレーキは滑りやすくなります。このように「湿度」は決して無視してはいけない実験の条件なのです。
第二に、「加重」との関係であり、これが作業員の無罪を証明する大きな鍵になります。当り前ですが、軽いものより重たいものを停止させる方が、より大きな摩擦力を必要とします。
事故発生後の調査で見つかった「黒い粉の堆積」は、作業員が事故機を検査した9日前に確実に存在していたことを警視庁は証明しなくてはなりません。逆に言えば、警視庁は作業員が点検をした後の9日間では「黒い粉の堆積」は発生しないことを証明しなくてはいけないということです。
つまり、仮説を立てるとこういうことになります。
作業員が点検後に制御盤にショートが発生し、9日間のトラブルを抱えたままの運行で、ブレーキ本体が効かなくなり事故につながった、というものです。つまり、もし点検後の9日間で発見された量と同じ「黒い粉の堆積」が生じるとすれば、作業者は「異常を見逃した」ことにはならなくなり、作業者の無実が証明されます。
この仮説を警視庁がくつがえすためには、点検から事故発生までの9日間に事故機を使用した人や宅配業者や運送会社が運ぶ荷物などのすべての「重量」を調査しなくてはなりません。そして、警視庁が行った実験結果との間に論理的整合性を持たせないと「非科学的実験」として証拠として取り上げてもらえないに違いありません。
このように、警視庁には科学的見地からショートが起きた日を特定する責任があるのです。繰り返しますが、ショートが発生した日が点検日以降ではないことを証明できないと、作業員が「異常を見逃した」のが本当だったのかが説明できません。
さて、冒頭の結論で「新たな安全装置を取り付けないと」と書きましたが、日本中の膨大な数のエレベーターが新たな安全装置を取り付け終わるまでは、住民をはじめとしたエレベーター利用者の「目」が死亡事故を防ぐ唯一の方法であると私は考えます。
それはこういうことです。シンドラー社のエレベーター死亡事故が起きる前には何らかの「事故の前兆」があったと考えられます。なぜならば、ブレーキのパッドは急激に摩耗するのではなく、徐々に摩耗していくからです。
ほんのわずかな「段差」が生じたり、「止まり具合」が普段と違ったりしていたのではないかと容易に推察できますが、利用者がこの小さなトラブルを見逃さず、エレベーター内の通信機器等を使ってエレベーター管理会社や、自治体に連絡すれば、トラブルが拡大することは防げると私は考えます。
自動車の安全運転の原則と同じです。「大丈夫だろう」ではなく「事故に発展する前兆かもしれない」と考えることこそが、事故を防ぎ安全社会をつくるのです。
数年前に「謎の三角金属片騒動」がありました。あの騒動も同じです。見つけた人が「誰かがけがをするかもしれない」と考え、警察や自治体に連絡していれば、あのような全国規模の騒動にはならなかったのです。
反対に、ディズニーランドでは「It's all your responsibility(それはすべてあなたの責任です)」ということを徹底しています。小さな異常でも「見つけた人が上長や担当者に連絡しなさい」と教えています。
ここまで、私の制御知識に基づき警視庁の捜査が間違っており、このままでは冤罪を生むとともに、事故は再発すると記してきました。事故原因は分かりませんが、12月9日には京都でもエレベーターの扉が開いたまま降下し、女性が腰の骨を折るという重大事故が発生しています。
ここからは薬害エイズ事件との共通点を書きます。
両事件ともに「危険性を承知していたが、業界を守るために危険性を隠していた」のです。
エレベーターメーカー、保守点検会社、国土交通省の天下り先である「 財団法人 日本建設設備・昇降機センター 」、はグルなのです。
特に日本建設設備・昇降機センターは権威が著しく落ち、廃止、解散に追い込まれることを恐れたのでしょう。上記のストーリーを考えたのはこの財団であると私は推察しています。
何故ならば、六本木ヒルズ回転扉死亡事故もエキスポランドのジェットコースター死亡事故もこの財団が指導してきた経緯があるからです。ジェットコースターはともかく、本丸であるエレベーター自体に「危険性の放置」という業務上の瑕疵があるとすれば、この財団同様に国土交通省も「危険性隠し」に走ったことは想像に難しくありません。
その証拠は?に答えます。
この「疑惑の構造」の証拠は日本建設設備・昇降機センターの業界指導のダブルスタンダードを明確にすることから得られます。
同センターの管轄である遊園地の死亡事故防止ロジック(安全制御論理、安全を構築する考え方)とエレベーターの死亡事故防止ロジックは明らかに違います。
同センターが発行している「遊戯施設の維持保全計画書」及び「遊戯施設の運行管理規定」の作成手引きという、遊戯施設の維持・運行管理に関するガイドラインには、ジェットコースターなどの遊具の運行者は、運行前の始業点検、運行終了後の終業点検を行い、運行責任者に報告するよう定められています。
東京ディズニーランド内のスタージェットというアトラクションにもエレベーターが設置されており、運行者は一年365日エレベーターを含めた施設を点検しています。しかしながら市中のエレベーターは月に1回〜2回の点検でよく、その差は歴全です。
このように、ジェットコースターのなどの遊具のブレーキは毎日点検しなくてはなりませんが、エレベーターの点検は月1〜2回でよい、ジェットコースターには運行責任者を置かなくてはなりませんが、エレベーターは置かなくてもよいというダブルスタンダードが容認されているのです。
「 財団法人 日本建設設備・昇降機センター 」のこのダブルスタンダードこそがエレベーターによる死亡事故を生みだしたのです。最近のエレベーターは遠隔監視装置がついており、現地での点検回数は3ヶ月1回でもいいそうです。この現場で安全性を確認しない業界寄りの体質が事故を生み出し、作業員一人に責任をなすりつけようとする謀略をつくりだしたのです。
安全管理やリスクマネージメントの基本は「思想」「哲学」にあります。エレベーター業界の「思想」「哲学」はディズニーランドと180度異なり、安全性より経済性を優先したJR西日本と同じ考え方です。まさに「自分たちのことしか考えていない」拝金主義組織であると断じざるを得ません。
この事故を解明し再発を防止するための論理の出発点は、人を死に至らしめる機械装置に対してダブルスタンダードを設けることがはたして正しいのかという点です。この点を国民に問いかけると、国民は「人命軽視の方針を安全重視に転換すべきである」という大合唱につながっていくに違いありません。
最後に、シンドラー社が「逃げ切れない」ことを証明します。シンドラー社は責任がないことの証拠をだす必要がありますが、たった一つの質問に答えられなければ、決して逃げ切れないのです。
サブシステムである電磁コイルがショートして、メインシステムであるブレーキに不具合が生じたのは、あの事故が初めてですか?
初めてないとすると、死亡事故に発展する可能性を予見できたことになります。
フィードフォワード‐せいぎょ【フィードフォワード制御】
《 feedforward 》自動制御の方式の一。出力に変動を起こさせるような外乱を予測し、前もって打ち消してしまう制御方式。ふつう、フィードバック制御に付加して用いられる
そして、作業員の見落とし説は封印され、エレベーター関係会社の「トカゲのしっぽ切り」が発表されました。
シンドラー側、16日起訴 東京・港区のエレベーター事故
東京都港区のマンションで2006年、都立高2年の市川大輔さん=当時(16)=がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、東京地検は15日、業務上過失致死罪で製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)と、事故当時に保守点検を担当していた「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)の幹部ら数人を16日に在宅起訴する方針を固めた。
地検は、シンドラー社側が事故前の点検で確認した不具合情報を開示しなかった点などを重視。重大な事故を招く恐れを予見できたのに、十分な安全対策を怠ったと判断した。
構造上の欠陥が見つからないまま事故から丸3年がたち、世界第2位の昇降機メーカー側の刑事責任も問われる異例の展開となった。
捜査関係者によると、現場のマンションは1998年4月に完成、シンドラー社が05年4月まで保守点検を担当した。04年に停止階と、かごとの間に段差が生じるなどのトラブルがあり、ブレーキの異常だったことを把握したが、保守点検を引き継いだ業者に伝えなかった。
エス社は06年4月から保守点検を請け負ったが、事前に点検方法やエレベーターの構造などを十分に把握せず、ブレーキ異常を見落としたとされる
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071501001196.html
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