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  ネトゲ嫁 作者:清水 京
削除されてしまった
『VRMMOで僕の妹と彼女が修羅場です』
の既に書いていた分で、公開していなかった分があります。
せっかくですので更新予定だった分を公開してみました。
※この二話目は明日(9月13日)には削除予定です
『VRMMOで僕の妹と彼女が修羅場です』の更新みたいな話
  アスカの顔は酷く青ざめている。
 無理もない。SROの死は、個人差はあるけど結構、衝撃的な体験なんだ。しかも死因が短刀で股間をぶっ刺されるというショッキングな死に方。さらに、初めての幽霊状態になってみた自分の死体は股間滅多刺しのエグイ死体。それは相当なショックを受けるだろう。
「お、お、お兄ちゃん、一体どうなってるの!? アタシ、し、死んじゃったの!? アタシ、ゆ、幽霊になったの!? 目の前にアタシの惨殺死体があるし! い、今の身体はなんか半透明だし!」
「あ~、アスカ。結論から言うとお前はもう死んでいる。死んで幽霊になった」
 僕の言葉にアスカはさらに顔を青ざめた。
「説明書にも書いてあっただろうけど、SROでは、死んだら五分間、幽霊状態になるんだ。その後、本拠地の広場――お前ならこの町の広場に強制転送されて、復活する」
「ふ、復活できるんだ。良かった……う、うん、そういえば説明書に書いてた気がする」
 アスカは、少し落ち着きをとりもどしてきた。
「で、誰がアタシを殺したの……って、どうみてもアンタね」
 アスカが、ルナを睨みつけた。
 アスカの返り血に濡れたルナを。
「どういうつもりよアンタ! 」
「ルナ、アスカに謝ってくれ。気に喰わない夢を見ているかと言って、いきなり刺し殺すのはやり過ぎだ。いくら仮想現実世界といってもね」
「寝ている妹さんをいきなり刺したのは謝るわ。ごめんなさい。ついカッとなってしまったの……」
 しおらしく謝るルナ。むぅ……。
「ご、ゴメンで済むわけないでしょ! 死んだ瞬間、すごくゾッとしたんだから!」
「本当にゴメンなさい」
 再度、頭を下げるルナ。
「まぁ、ルナもちゃんと謝っているんだし、今回は許してあげてよアスカ」
「む、むぅ、お兄ちゃんがそういうなら」
 アスカはまだ納得がいかない様子だが、とりあえず怒りを沈めてくれたようだ。
「それはそれとして……ねぇシロウ、妹さん」
 ルナは僕とアスカの裸体、正確にはマジックで書かれた文字を交互に見ながら、
「その文字は一体どういう意味なのかしら? シロウは妹さんの悪戯といっていたけど、あまりにも悪趣味すぎると思うのだけれど」
 と言った。なるべく僕の股間は見ないようにしながらね。
「そ、そうだアスカ。一体これはどういうことだよ」
 僕は『アスカ専用オチンチン』『→』と書かれた僕の下腹部や、『妹専用』と書かれた股間の大剣、『それからお兄ちゃん専用オマンマン』『→』と書かれた妹の下腹部を交互に指で指さしながら聞いた。
「えへえへ、一度、書いてみたくて。深く愛し合っているって感じでなんかこう、良くない?」
「どこが!? い、いや確かに異常すぎる愛情は感じないこともないが」
「ねぇお兄ちぁゃん、今度、この文字でタトゥー入れない?」
「正気かお前は!?」
 いくら仮想現実世界でのアバターの肉体とはいえ、こんな変態的なタトゥー、入れられるか!
「それからお前の太ももに書かれている『正正一』の文字は一体なんだ! 」
「あ、コレ? 寝ているお兄ちゃんを見ながらね、少し前にあたしが……」
 アスカは頬を染めながら、恥ずかしげに両手で顔を覆いながら告白した。
「一人Hしてイッちゃった回数なのォ。キャっ、言っちゃった♪」
 そして恥ずかしげに顔をブンブン振る「恥ずかし恥ずかし」と呟きながら。
 僕は、生まれて初めて、この妹の兄であることを心底恥ずかしくなってきた。
 それから妹よ……十一回って凄い回数だね。お前の身体はどうなっているの? 世の中には一回もイッたことがない女性も多いらしいのに。
 い、いやこれも『演技』なんだろう。そのはずだ。僕の妹がこんなに淫乱なわけがない!
 きっと『演じる役』の女性が凄く感じやすい女性なんだろう。ランスシリーズの魔人サテラみたいに。
「あなた、兄をオカズ……コホン! あ、兄の事を思いながらオナ……ゴホン! 一人エッチしているの?」
 ルナが信じられない生き物を見る目で妹を見た。
「なによ、アタシの勝手でしょ! まっ、これからはぁ」
 アスカは僕を意味ありげにチラっと見た。
「お兄ちゃんにいっっっっっっっっっっっっっっぱい抱いてもらうから、一人Hする機会も減るだろうけどぉ」
「! や、やっぱし、貴方たち兄妹で……」
 ルナがわなわなと震えだす。
「ル、ルナ。違うよ誤解しないで――」
「駄目よ! 許さないっ!」
 ぼくの声はルナの叫びにかき消された。
「いくら現実世界でそういった関係にある兄妹だとしても……この世界のシロウとそういったことをするのは絶対に許さない! 」
「あのぉルナさん? 僕とアスカが現実でそう言った関係があるわけでは――」
 またも僕の声は、目を瞑りながら激しく頭を振ったルナの絶叫にかき消された。
「絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対、許さないんだからぁっっっ!!!」
 ルナの叫びに、アスカは、一瞬たじろいだが、不敵な笑みを浮かべて、
「ふ、フン。アンタに許してもらう必要ないしぃ。この仮想現実世界は親子兄弟姉弟間のセックスもアリの世界だしぃ。そもそも、アタシとお兄ちゃんが何をしようがアンタに関係ないじゃん」
「関係あるわ!」
 ルナはアスカの目を見据えて言いきった。
「だってシロウと私は恋人同士だもの!」
 ピクゥゥウ!
 アスカの額に一筋の血管が浮いた。
「ねぇ、お兄ちゃん。この妄想女が何かたわごとを言っているけど」
「あ、いや、本当の話だよ。ホラ、前にも言っただろ。僕は仮想現実世界――このSROの世界には恋人がいるって。彼女――ルナがそうなんだ」
 ピピピクゥゥゥゥゥゥウゥゥゥッゥウ!
 アスカの額に何筋もの血管が浮いた。
「ふ……フーン。そう、この女が……」
「そうよ妹さん。私とシロウは恋人同士なの。深く愛し合っている仲なの。この世界では妹さんが入る隙間もないぐらいに」
 ビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビぃ!!!
 ルナの得意げな言葉にアスカの額が血管だらけになる。
 それはそれとして、ルナ――
 この世界(SRO)のルナは、僕が現実世界で妹と関係を持つ近親相姦野郎でも、恋人のままでいてくれるんだ。
 僕は、少し安心した。いや、現実世界で僕が妹と関係を持つ近親相姦野郎というのはルナの勘違いだけど!
 それから、現実世界の大鳥 シロウ と 仮想現実世界のシロウ・クロウ との扱いの差に、僕は奇妙な嫉妬を覚えた。
 変な話ではあるけどね。
 現実世界の大鳥 シロウ と 仮想現実世界のシロウ・クロウも同じ僕なのに。
「……お兄ちゃん……」
 アスカがゾッとするような低い声で僕を呼んだ。
「え、な、何」
「今すぐこの女と別れて」
 え、えええっ!?
 い、いきなり何を言うんだこの妹は!? 
「あ、アスカ何を……」
「お兄ちゃんの恋人はアタシがなる! だから今の女とは別れて!」
「いやいやいやいや、あのなぁ」
「アタシ、お兄ちゃんならどんなことだってしてあげる! どんなことだってされてもいい! だからお願い!」
「お願いされても……」
「どんな変態プレイでもオッケーだから!」
「しねえよ!?」
 僕が妹に変態プレイをしたがる訳ないだろ!?
 アスカ、お前はいままで兄をどんな風に見てたんだ?
「妹相手に超ハードな変態プレイし放題だよ! 」
「だから、しねえよ!?」
「妹相手にムチでも蝋燭でも首輪でも野外散歩でも野外シーシーでも野外ウ……」
「しないって言ってるだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 危険すぎる単語ワードが妹の口から出ることを、僕は大声をあげて阻止した。
「え……しないの……?」(ショボーン)
 なんでガッカリしているんだよ!?
 親指を甘噛みして上目使いで僕を見るな! 今お前が言った変態行為はむしろ、お前がして欲しかったんじゃねーの!?
 いや、これも『演技』のはずだ!
 僕の妹がこんなにマゾ志望なわけがない!
「お兄ちゃんがしたかったら聖水プレイ……ありだよ?」
「したくないって!」
「お兄ちゃんが望むなら、お、黄金プレイも……あ、ありだよ?」
「望むかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「……そっかぁ……」(ショボーン)
 だからガッカリすんなぁぁぁぁっ!
 え、『演技』だ『演技』だ『演技』だ『演技』だ『演技』だ『演技』だ『演技』だ……
 僕の妹がこんなにスカトロマニアなわけがない!
 見ろ、ルナさんがシャレにならないド変態を見る目で、お前の事見てるぞ!
 ルナはギギギッギギギィィーと音が鳴りそうなぐらい、ゆっくりとした感じで顔を僕の方に向けて……
「シ、シロウ。貴方の妹さんって…………ヘンタイ……い、いえ、何でもないわ」
 今、僕は恋人の口から自分の妹に対してヘンタイという評価を聞いてしまった。
「へ、変態じゃないわよ!」
 ヘンタイ、いや妹がルナに抗議の声を上げた。
「全部お兄ちゃんへの愛ゆえにできることなんだからね! 他の男相手には絶っっっっっ対、出来ないけど!」
「歪んでいるし異常だけど、確かに貴方は兄を……シロウを愛しているのね」
 ルナが確認するようにアスカに訊いた。
 アスカはルナをキッと睨みつけながら、心の底から、魂の芯から、出た言葉のように叫んだ。
「そうよ愛してるわ! 歪んでいるし異常な愛情かもしれない。でも……でも、アタシはお兄ちゃんの事を本気で愛しているわっ!」
 僕は、今の妹の叫びに、一瞬、自分の心が、魂が震えた気がした。
 でも…………『演技』なんだよな。今のセリフも。
 とても『演技』とは思えない――本当の気持ちが込められた言葉に聞こえてしまったけど……。
 アスカは、続けて本心からとしか思えない言葉を叫んだ。
「アタシはお兄ちゃんの為なら死ねるから!」
「そう……。でも私だって私のシロウの為なら死ねるわ」
「『私のシロウ』って言うなっ! アタシはお兄ちゃんの為なら世界を敵に回す覚悟もあるから!」
「それは私もよ。私のシロウの為なら、世界とも、神とだって戦うわ」
「だから『私のシロウ』って言うなぁっ!! あ、アタシはお兄ちゃんの排泄物ならなんだって美味しく食べれる自信あるわ!」
「え…………」
「お兄ちゃんのならゲェゲェでもシーシーでもウンウンでも、ごちそう様できるもん! 余裕で!」
「…………………………………………そ、それは私には無理だけど」
「フッ、勝った」
「そ、そんなのシロウへの愛とは関係ないわ!」
「関係あります~~~。大アリです~~~。愛があればその人の身体から出たものなら全部愛おしいもの。アンタには、お兄ちゃんへの愛が足りないのよ愛が!」
 アスカは勝ち誇った顔でビシィィィィィィとルナを指さした。
「く……私だってシロウのなら……お、オシッコならなんとか……いやでも…………飲んだら人として終わってしまうような……」
 苦悩するルナ。
 …………そうか、ルナは飲んでくれないのかぁ……そうかぁ……ハッ!? べ、別に恋人におしっこを飲んでもらえそうにないことを、残念がってなんかないよ! いや、ホント!!!
 僕は性癖に関してはノーマルだから!
 いくら愛しているとはいえ、僕だってルナのおしっこ飲むのは流石に勘弁だしね! 
 まぁ、超絶美少女であるルナが、おしっこしている所を見たいかと言えばそれは……ハッ!? いや、冗談だよ! いや、マジで!
 アスカは、苦悩しているルナを高みから見下ろすような目で見て、
「お兄ちゃんのオシッコを飲む? フフン、その道はアタシがすでに幼稚園の時に通った道よ」
 えええっ!?
 アスカのやつ、ぼくのオシッコを幼稚園児の時に、すでに飲んだことあるの!? 
 い、いや、これも『演技』のセリフのはずだ。そうに決まっている!
 僕の妹が人として終わっているわけがない! しかも園児の時に既に!
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、僕はそういったスカトロチックな愛情の示され方はノーサンキューだから」
 僕はこれ以上の変態発言を妹から聞きたくなかったのもあって、口を挟んだ。
「そ、そうよね、シロウ! 貴方はノーマルだもんね!」
 ホッと胸をなでおろすルナ。
「良かった……本当に……もし貴方がオシッコを飲んだり飲ませたりするのを喜ぶ変態だったら……私、貴方を殺して自分も死ぬつもりだったわ」
「ぼ、僕がそんなHENTAIなわけないだろ」
「そうよね。一瞬だけ貴方の性癖を疑ってしまったことを謝るわ。ゴメンなさい。だってあなたの妹さんが変態……あ、いえ、ちょっと特殊性癖を持っていそうだったから」
「お兄ちゃん!」
 アスカが何かを決心したように叫んだ。
「排泄物関係でのアタシの愛情の示し方が駄目なら……、アタシ、この女に【決闘デュエル】を申し込む!」
「え、【決闘】? それ、SROの【決闘デュエルシステム】のこと?」
「うん!」
 僕の問いにアスカが頷く。そして親指をグっと立てる。
「【決闘】でこの女に勝って、アタシのお兄ちゃんへの愛の深さを示してみせる!」
 なにこの男らしい妹。惚れてしまいそうに……いや、ならない、ならない。
「いや、あのなぁ」
「説明書にも書いていたし! SROでは好きな異性を取り合ったプレイヤーは【決闘】することがあるって!」
「確かに書いているけどさ」
 SROでは、男性プレイヤー同士が女性プレイヤーもしくは女性NPCを取り合う際に、中世の騎士よろしく【決闘】することは結構ある。
 まぁ、【決闘】に勝ったからといって、かならずしも女性プレイヤーと付き合えるわけではないけど。女性プレイヤーに勝者と付き合わなければいけないという強制力が働くわけでもないし。
 ただ、男性プレイヤーは女性をかけた【決闘】で勝つという格好いいところを見せられる。結構、そこにグラッときて付き合いだす女性プレイヤーもいる。
 また、女性プレイヤーの方も自分をかけて男性プレイヤー同士が真剣に戦う【決闘】が好きだという人も結構いる。ルナもその口だ。
 ルナはこのSROの世界で多くのプレイヤーが恐れられている。でも、同時に一部プレイヤーから女神のように慕われてもいる。彼女と恋人になりたがっているプレイヤーは実は多い。求婚してくるプレイヤーも多数いる。男性プレイヤーも、そしてある意味恐ろしいことだが女性プレイヤーも。
 そこにルナは、「私のシロウと【決闘】して勝てたら、付き合うことを考える」と公言しているので、僕は今まで相当な数の【決闘】をしてきた。時には僕より高レベルのプレイヤーや最高レベルのプレイヤーと【決闘】するはめになることもあった。馬鹿みたいにお金を使いまくって課金アイテムで超強化されたプレイヤーと戦ったこともある。
※噂ではルナと付き合うためならと、そのプレイヤーは百万円以上の課金を行ったらしい。いや、噂だけど。
 ちなみに、僕はルナをかけての【決闘】は、今のところなんとか全勝している。普通なら勝てそうにない相手でも、なぜか勝ててしまう。これはやはり愛の力……ゴメンなさい、何でもありません。
 まぁ、僕はこの仮想現実世界で強敵相手と戦うのは嫌いじゃない。むしろ強敵との【決闘】は燃えるものがある。
 もっとも、現実世界では、喧嘩なんか数える程しかしたことないけど。幼稚園時代の泣きながらグルグルパンチで勝利を収めた喧嘩も含めて。ちなみに戦績は負け越してます。
 さらにいうと、現実世界で高校生の僕は不良から喧嘩を売られたら、速攻で逃げると思います。
 それはともかく。
 ルナから「貴方が私の為に決闘している姿はとても素敵なの」と言われると、僕もまんざらじゃないので、やはり彼女をかけて【決闘】をするのは嫌いじゃない。
 でも、僕をかけて女性プレイヤー同士が【決闘】するのは勘弁して欲しい。
 まさに【修羅場の中の修羅場】って感じがするので、ホント勘弁して欲しい。
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