出馬の伸晃幹事長、まるで釈明会見…自民党総裁選

会見で自民党総裁選への出馬を表明する石原幹事長

　自民党の石原伸晃幹事長（５５）は１１日、東京・千代田区の党本部で記者会見を開き、総裁選（１４日告示、２６日投開票）への出馬を表明した。谷垣禎一総裁（６７）を追い落とす形で立候補したことで、「平成の明智光秀」の異名もついた石原氏は、谷垣氏への釈明と、自らの出馬の正当性についての発言を連発。ついて回るダークなイメージの回復に必死だった。

　「冒頭まず、昨日、谷垣総裁が立候補をご辞退されたことからお話をさせていただきます」。出馬会見なら、まず先に「立候補の決断をしました」など、出馬に関する文言が先に来るのが普通。その言葉よりも、まずは自らの出馬の正当性を訴えた。

　石原氏は「谷垣総裁ご自身が、１０日の朝、たった１人で大局的な見地に立ってご英断を下された。次の世代にバトンを託したいということだったと思う」と心情を解釈した。ただ、「次の世代にバトンを」は、３日に党の重鎮・古賀誠元幹事長（７２）が谷垣氏に不支持を伝えた際、本人に伝えた言葉そのままだ。

　さらに「国会での野党主導の政策実現は、谷垣総裁の大きな業績」と持ち上げ、「その重み、責任を噛みしめて３年間、自民党が進めてきた政策、路線を実現することが使命」と谷垣路線の継承を強調。「３党合意を実現させるために努力したい」と、民主党と手を組む考えに変わりがないことを明言した。

　約１５分間の会見中、約３分の１は谷垣氏関連の発言。「谷垣総裁」という単語は７回。「谷垣総裁は大局的な見地に立って１人でご英断を下された」の文言は３回にわたって繰り返した。「明智光秀」という批判を敏感に受け止め、そのイメージを払拭しようと、終始心を砕いているかのようだった。

　総裁選はすでに町村信孝元外相（６７）、石破茂前政調会長（５５）が立候補を表明。安倍晋三元首相（５７）は１２日に出馬会見を行う。林芳正政調会長代理（５１）は立候補に必要な２０人の推薦人にめどをつけ、最終調整に入っている。乱立の様相を呈しているが、議員票の獲得に自信を見せる石原氏と、地方の党員票に強い石破氏の戦いを軸に展開しそうだ。

　◆隣同士なのに目も合わせず　○…石原氏は懸命に谷垣氏を持ち上げたが、それでも、２人の関係はギクシャクしたままだ。この日午前に行われた役員会では、席が隣同士にもかかわらず目も合わせなかった。出馬断念会見で谷垣氏が話したように、執行部で出馬を一本化したのなら石原氏支持に回るのが筋だが、「支持する人はまだ決めていない」と明言を避けており、両者の対立は簡単に修復しそうにない。

（2012年9月12日06時02分スポーツ報知）