スマートフォンデータ復旧サービス事例
スマートフォンの削除メールの復旧では、単純な削除だけでなくフォーマット済みでもデータが復元できる可能性があります。消してしまった迷惑電話の着信履歴や迷惑メールをストーカー被害の証拠として提出する場合のサポートも。
復旧事例 1
キャリアのサポートセンターでバックアップを取ったはずのデータが無くなってしまった。
依頼概要:
新しいスマートフォンを購入し、以前使用していた端末からデータを移行するためサポートセンターに預けたところ、一部のデータのバックアップが正常に行われておらず、メールや写真などのデータが失われてしまった状態でした。しかも端末は2回フォーマットされてしまっており、電源を入れてもまったくデータが入っていない状態になってしまいました。何としても子供の写真データだけは取り戻したい、ということでご依頼をいただきました。
端末: 富士通 ARROWS
作業期間 : 4日
復旧概要:
サポートセンターでバックアップのために使用されたmicroSDカードとフォーマット済みスマートフォン本体を預かり作業を開始しました。 作業時はmicroSDカードの復旧を先に行いました。バックアップ後、microSDカードが障害を起こしている可能性もあり、バックアップデータが復旧出来れば、あとはそれを端末に戻すだけでいいと考えたためです。
しかし、microSDへのバックアップはそもそも取られていなかったようで、中にデータが見当たらず、程無くスマートフォンからの復旧に着手することになりました。後になって分かったことですが、どうやらオペレーターの方がバックアップ先を間違い、microSDにデータの保存が出来ていなかったのを確認せずに初期化をしてしまっていたようです。(microSDカードに保存されるはずのデータは本体内にあり、そのままフォーマットされていました。) 本体からの復旧作業では、まずUSBで認識可能な領域を精査しました。
スマートフォンの内部ストレージは、パソコンとケーブルで繋ぎ、USBメモリーのような外部ストレージとして利用可能な領域と、システムデータに近い領域の2つがあるのが一般的です。これらのうち、USB経由で認識できる領域は、スマートフォン共通の復旧作業が可能で、容量も多いため、写真データの保存先に使用されている場合が多いのですが、調査は残念ながら不発に終わり、システム内部のユーザー領域以外、データが残っている見込みはなくなってしまいました。
この領域の調査は難易度が高く、当社でも完全には対応できない端末もあるのですが、メールや写真データを復元するためには避けては通れない場所です。 削除データやフォーマット済みのデータを、端末で確認することは不可能なため、一旦削除データを含めた全てのデータを作業用の機器にdumpする形で移行し、データの解析作業を行いました。
お客様が希望していた、拡張子が.jpgとなる写真などのファイルは、データ自体が拡張子にあった構造をしているため、その構造を持つファイルを全て分析し、230枚を超えるデータを内部ストレージから復旧。 お客様に確認して頂いたところまさに探していたファイルとのことで喜びの言葉をいただき、データを納品しました。
復旧事例 2
誤って削除してしまったSPモードメールを復旧したい
依頼概要:
賃貸借契約に関するトラブルのため、過去に大家さんとやり取りしたメールをまとめて新しいフォルダに移動後、間違って、そのメールフォルダごと削除してしまったとのことです。復旧後、数日間使用していたため新たにメールを2-3通受診している状態。メールは1年半ほど前のもので、バックアップも無いため何とか復旧したい、ということでご依頼頂きました。
端末: Galaxy S
作業期間 : 2日
復旧概要:
スマートフォン内部のデータを解析したところ、Gmail、SPモードメール、Eメールという3種類のメールが確認されました。新たに作られたはずのフォルダは、その後のメール受信などによる上書きのためか見当たらず、フォルダ情報を含めたデータの復旧は困難な状況でした。一般的にデータが削除されると、データは消去済みとマークされるだけで、実際には消されずに残っています。
しかし、その領域は空き領域としてシステムに認識されるため、データを書き込む必要が生じれば、いつでも新しい別のデータで上書きされて完全に消えてしまう可能性があります。新しく作られたメールフォルダの情報を持つデータ部分は既に別のデータが記録されてしまったと思われます。
ただ、ご依頼頂いていた端末はまだ現役で使用されており、内部のメールのほとんどは消されずにメールボックスに残っていたため、削除されたメールは復旧エンジニアにとっては目立ちやすい存在という面がありました。そして絶対に復旧が必要なメール数も7通と多くはなかったことから個別に手作業での復旧を試みることを決定し、作業を続けました。お客様からご指定頂いていたメールの送受信時間や@docomo.ne.jpを用いたメールとの情報から、バイナリーデータを解析、データを選別し、目的の7通のメール全てを復旧しました。
新規に作成されたフォルダ情報はやはり復旧できませんでしたが、個別のメールが送受信日時・送受信者・タイトル・本文の情報を完璧に保持していたため、証拠としての価値は充分、とのことで.csv形式でメール一覧をDVDに収め納品しました。
復旧事例 3
パスワードロックのかかったiPhoneから写真とアドレス帳のデータを取り出したい
依頼概要:
一度もiTunesに接続したことがないiPhone4にパスワードロックをかけていたところ、知らない間にお子様が操作し、計11回パスワードを間違えたため、パスワードの入力自体が不可能になってしまった状態でした。復元する以外に端末を再度利用する事ができない状況で、パスワード解除と端末内のデータの取り出しを依頼されました。
端末: iPhone4
作業期間 : 3日
復旧概要:
iPhoneのパスワードロックにはパスワードを10回間違えた場合、端末情報をリセットし、データをフォーマットしてしまうオプションがありますが、この設定をしていない場合でも、何度もパスワードを間違えるとiTunesに接続しない限り、iPhoneがパスワードの入力自体を受け付けなくなってしまいます。
通常であれば、普段同期しているiTunesに接続することで解除が可能ですが、一度も同期をしたことがないと、この解除が行えません。お預かりした端末は既にパスワードの入力自体が行えませんでしたが、端末を初期化する設定にはなっていなかったため、データは内部に未だ存在すると判断し、作業を開始しました。まず、パスワードの解析作業を行い、暗証番号となる4桁の数字を取得。
しかし、パスワードが分かってもそもそも入力自体が行えないため、それだけでは、端末のロックを解除して一件落着、というわけには行きませんでした。そこで、iPhoneをDFUモードにして、その状態のままパスワードを解除、端末内にアクセスが出来る状況を作り出してパソコンに接続し、ユーザーデータの収められたフォルダから個別にファイルをコピーし、データの救出作業を行いました。
この際に、写真などのデータは単純なコピーで問題がないのですが、アドレス帳はデータベースの形式でiPhone内に収められており、名前と電話番号、メールアドレスなどの情報は別のデータベースにあるため、それぞれの情報を統合する必要があり苦戦しましたが、無事SQLiteの結合作業を終え、エクセル表を作成。
当社では納品データは一覧性を高めるためにExcelを用いるのが一般的ですが、インポートがしやすいように.csv形式のファイルと併せて納品しました。iPhoneのデータは暗号化されて保存されているため、初期化や完全な削除がなされてしまうと復旧が困難ですが、今回の事例は、かろうじて復旧ができる極限の場合として、当社内でも非常に意義深い実績となりました。