飲酒:家庭内暴力10世帯中6世帯の原因に

「家族の問題」と処罰甘いため「飲酒による暴力」がさらに悪化

 キム・ジョンファンさん(57)=仮名=は10年前まで、1男1女に恵まれた普通の家庭の大黒柱だった。2002年にインテリア関連の自営業に失敗、口にしたことのなかった焼酎を1杯、また1杯と飲み始めた。今では週に5-6回、焼酎を平均3本にビールを5本飲む。専業主婦だった妻は生活費を稼ぐため家政婦になった。07年から、キムさんは酔うと「飲み代をくれ」と妻に暴行を振るい始めた。娘(20)は一昨年、父親が酔って暴力を振るうため大学に入れなかった。キムさんは今年2月に酔って妻の首を絞め「殺すぞ」と脅した。止めようとした娘の髪をわしづかみにし、ほおをたたいた。娘は警察に通報、母親と逃げた。

 韓国の家庭内暴力10件のうち6件は飲酒して酔った人物が引き起こしている。韓国家庭法律相談所が全国32支部の家庭内暴力相談所で相談した成人に聞いたところ、配偶者や子供に暴力を振るった人物の59.1%は飲酒していた。酒を飲んで暴力を振るう行為は男性に限らない。2010年度国民健康統計によると、30-40代の女性が暴飲(一度に焼酎5杯・1週間に2回以上)をする割合は、5年前の約2倍(4%→9%、4%→7%)増えている。韓国飲酒文化研究センター・九老アルコール相談センターの11年度研究資料によると、青少年の33.9%が「親の飲酒問題で苦痛を受けたことがある」と答えたという。

 カトリック大学医学部精神健康医学科のイ・ヘグク教授は「韓国は飲酒による暴力が家族の問題と切り離されておらず、警察の捜査を受けても、すぐに訓戒だけで放免されてしまう。飲酒による暴力で一番直接的な被害を受けるのは家族」と話している。

金成謨(キム・ソンモ)記者
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