科学

現代科学の営為を多角的にとらえる

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小誌は、科学界と社会を結ぶ雑誌として1931年に石原純、寺田寅彦らによって創刊されて以来、科学の進展と、科学と社会の間で起こるさまざまな問題を見つめてまいりました。
今回の大災害は、本当に言葉を超えた事態に思います。将来の時点から現在の転回点を振り返るときに、本誌が時代の証言を記録しえているように、企画活動に取り組んで参りたいと存じます。

 

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記事特別公開
過去の記事で参考になると思われるものを特別に公開します。
・大島堅一・河野太郎・吉井英勝の3氏による座談会「原発の安全なたたみ方:資金・賠償・人材」(『科学』2012年5月号)(pdfダウンロード)。

・青山道夫・大原利眞・小村和久著「動燃東海事故による放射性セシウムの関東平野への広がり」(『科学』1999年1月号)(pdfダウンロード)

・石橋克彦著「原発震災──破滅を避けるために」(『科学』1997年10月号)(pdfダウンロード)

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9月号 

〈発売中〉 定価1400円

 

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■ 最新号より
◎原子力基本法に「我が国の安全保障に資する」という規定が入りました。この規定の問題性から論をおこし、原子力委員会の解体と原子力規制委員会のあり方までを論じる座談会(海渡雄一氏・小沼通二氏・新藤宗幸氏)を掲載。
◎この「安全保障」問題は、NRCの規定にある核の「セキュリティー」についての誤解に大本があるようです(田窪雅文氏)。「我が国の核武装を防ぐことが我が国の安全保障に資する」などという笑止で意味不明な説明をするより、この文言を削除すべきです。
◎原発の運転こそ、安全保障上の最大の問題ではないでしょうか。判断の責任を負う人間の「ストレステスト」こそ必要だという、切実で緊急性の高い提言が、官邸で修羅場を目撃した下村健一氏から報告されます。重大な状況下で“思考が打ち砕かれていた”おそろしい実態が、当時のメモとともに証言されます。
◎安全保障を語るのであれば、なによりも人間の、住民の安全保障こそが第一にあるべきです。重大な問題を軽薄に扱い、妄想のなかにいる「安全保障論者」には退場してもらい、住民の安全保障から考え直すべきです。福島の市民測定所で活動してきた岩田渉氏が、事故後の福島で語られたことをまとめ、人間を押しつぶす“安全保障”に反論します。
◎“安全保障”は“利権の巣窟”である。宇宙開発での実例をふまえ、経団連と関連業界のうごめきを捉えます。昨年の大震災ですら、何一つ公開しない情報収集衛星の犯罪的な現状を鋭く告発します(向直也氏)。
◎原子力委員長代理で原子力発電・核燃料サイクル等技術検討小委員会座長の鈴木達治郎氏にインタビューし、福島原発事故をどう捉えるのか、再処理とはどのような選択なのか、率直な意見を聞きました。
◎独立論文では、牧野淳一郎氏の「国策プロジェクトとしてのスパコン開発」を掲載。原子力や宇宙開発とも共通する、時代遅れの国策体制・産業振興政策体制の問題について、スパコン「京」を例に不合理さを明らかにします。
◎100mSv以下の健康影響をどう考えるか。LNTモデルが「安全側」だといわれているが、どう問題なのか。調麻佐志氏が解説します。
◎2007年の中越沖地震で、柏崎刈羽原発は「想定」をはるかに超える大きな地震動に見舞われました。3.11以前に7基のうち4基が運転を再開していましたが、その過程では、新潟県が委員会を組織し、中央政府とは別の角度から審議されてきました。その過程で明らかになった問題点を、委員の小岩昌宏氏が整理します。
◎連載「寅彦in English」の今回は「流言蜚語」。原発事故後、このエッセイに学ばなければならないのは残念です。
◎本誌ではくり返し強調していますが、原子力専門家・政府・東京電力の述べてきたことこそ、「デマ」でした。「爆破弁」(水素爆発に対する関村直人氏の発言)、「大気圏核実験時代のほうがセシウム137の“空中放射能濃度”は今より1万倍高い」(基本的な事実すら理解・認識しておらず「専門家」ですらない中村尚司氏、3月号291ページ参照)。日本の軽水炉はメルトダウンしないというデマもありました。事故後の原子力委員会小委員会では、全電源喪失後の放射性核種の放出量は、シミュレーションに合っているという報告がされていました。「教科書通り」のことです。他分野のことはともかく、原子力が学問分野として“存在”するのかどうか、危ぶまれているというべきです。健康影響を「わからない」として相手を恫喝するならば、断定的に安全だと判断を押しつける野蛮は、論理的にも自らを恥じて消滅していただきたく思います。
◎公開している5月号の座談会(左段からダウンロードできます)で述べられているように、原子力にはこれまで、“わかっているだけで”「54兆円」(海外再処理の“闇”は不明)が費やされています。他とは同列ではまったくありません。

◎2012年6月号の編集部からのメッセージ「原子力規制の問題」
2012年3月号(科学の〈限界〉:価値の選択と予測)の「特集にあたって」、2011年8月号巻末に掲載した編集部からのメッセージ「原発再稼動の前に事故検証を」を公開します(pdfダウンロード)。

●本誌連載が本になりました。
西尾成子『科学ジャーナリズムの先駆者  評伝 石原純』
※石原純は、量子論と相対論で当時最先端の論文を書いた理論物理学者で、本 誌創刊の編集主任でもありました。 時流に流されずに社会を見つめた石原の眼を、今こそ振り返りたいと思います。 朝日新聞、読売新聞の書評欄で紹介されました。

科学編集部編『科学者の本棚─『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで』
※本誌連載「心にのこる1冊」の単行本化です。思い出の1冊、人生を変えた1冊を、さまざまな科学者、および科学と深いかかわりのある方々が紹介します。『プレジデント』誌で紹介されました。

●参考:
『科学』の原子力発電関連記事のリストをつくりました(特別公開記事あり)
(3月16日からこのページに記載していた原子力発電所に関連するメッセージは、上記ページの末尾に移動しました。

雑誌『世界』2011年1月号特集「原子力復興という危険な夢」(特別公開記事 あり)

●発売中の関連書籍
坂田昌一/樫本喜一編『坂田昌一 原子力をめぐる科学者の社会的責任』
※50年前の原子炉導入期に、安全性を保障する制度を導入しようとした科学者の苦闘の記録。いまこそ読み返されるべき言葉があります。

石橋克彦編『原発を終わらせる』(岩波新書・新赤版1315)
※14人の筆者が、いま原発を超えていくべき理由を語ります。

エステル・ゴンスターラ著『インフォグラフィクス 原発──放射性廃棄物と隠れた原子爆弾』
※原子力と廃棄物をめぐる世界各国の過去と現在を、事実とデータにもとづいて美しく印象的なグラフィックで表現!

「科学」編集部編『原発と震災──この国に建てる場所はあるのか』
※耐震性と立地の議論について、近年の本誌論文を集めました。(品切れになりました2007年11月号「日本の原発はなぜ〈信頼〉されないのか」の論考その他を収めています。)

こちらのページで「大震災・原発を考える」書籍をご紹介しています。

『科学』2010年2月号特集「プルトニウム科学の現在」もどうぞ(在庫あり)

■ 「科学と広報」のページで記事公開開始
◎資金規模が大きく、注目されている「最先端研究開発支援プログラム」について、広くお知らせする企画を考えました。気鋭のサイエンスライターの取材による広報記事です。最初の記事を公開しています。「科学と広報」のページへ

 



 

 

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