氷菓・第21話
チョコを一旦溶かして作ったバレンタインチョコレートは手作りチョコレートとは言えない。
そりゃまたちょっとご無体な。しかし里志がこう言って昨年の摩耶花のチョコレートを受け取らなかったのは単に無理難題を押しつけた訳ではない、と言うのが今回の事件の本質。
ともかく、摩耶花はカカオ豆からチョコレートを作る事にする。そして苦労してチョコレートを作り上げ、巨大なハート型のバレンタインチョコレートを完成させる。
にしても、カカオ豆からチョコを作るのは大変だねえ。
カカオ豆(生豆)を入手するのは非常に難しいみたいだが。
摩耶花はえるにえるは誰かにチョコレートをあげるの?と聞くが、その時に躊躇いもなくそれを否定しなかったと言う事は、そう言う意識はあったのだろう。一体誰を意識したのか。奉太郎と会ったえるは千反田家では本当に親しい家にはお歳暮やお中元を贈らないんですと言う。とても複雑な心境になる奉太郎だが、える、その理論で奉太郎に渡さないとしたらそれはちょっと違うんじゃ。恐らく千反田家ではもの凄く身内の家とはお歳暮やお中元のやりとりはしないのだろう。そう言うのはありかと思う。旧家でつきあいも非常に多いだろうし。しかしそれは「身内」に対してであって、奉太郎は「身内」じゃないだろう。身内相当と言うからにはもう身も心も既に垣根が無くなっている状態じゃないのか。
摩耶花は漫研の都合で放課後に古典部部室で里志を待つ事は出来なくなった。また漫研か!摩耶花は漫研に居る事によって随分よくない目に遭ってるな。
案の定、事件は摩耶花が里志へのチョコレートを部室に置いて、えるがほんのちょっとその場を外した時に起きた。チョコレートが盗まれたのだ。また面倒事が発生したなと思う奉太郎ではあったが、えるがあまりに自責の念にかられているので何とか見つけ出そうと動き出す。
部室への階段は一カ所がワックス塗り立てで通行止め。そして残りの一カ所は工作部の部員がポスターを貼っている所だった。妙に斜めにデザインしたポスターの為に、文字の部分が水平になる様に貼るのに苦労している。ここで私も里志が妙な事を言ったのには気がついた。下げすぎって何だ。その前があったと言う事か。
その工作員が言うにはこの時間にこの階段を通ったのは三人だけ。える、「それは誰です!」って勇んで聞くのだが、いや三人たらこの三人だろ。そうなると犯人は未だ下に降りていない。4階にはあとは天文部が居るだけだ。そこで天文部へ。
える「チョコレートを返して下さい!」
をいw
何と言うかえるの直線思考は凄いな。慌てて里志と奉太郎が遮り、事情を話すが天文部の5人中、外に出たのは男子3人でチョコぽいものを見たなんて事はないと言う。
まあ、そもそも動機を考えるとおかしいんだけどね。
摩耶花のチョコレートが出て来ないうちに摩耶花が部室にやって来た。そしてチョコレートが無くなっていた事を知り、ショックを受ける。知った瞬間の摩耶花のショックはやはり苦労して作ったチョコレートが里志に渡らずに無くなってしまった事だったのだろうか。それとも後から分かるが紛失させたのは里志とすぐに悟ってそれがショックだったのだろうか。少なくとも知って1~2分は前者だとは思うのだが。
奉太郎は必ずチョコレートを見つけ出して「里志に渡す」、だからお前は摩耶花を追えとえるに言う。そして里志と二人での帰り道に奉太郎は里志の荷物を取って、それを里志に渡し、ちゃんとチョコレートは里志に渡したと告げる。しかし、何故またこんな事をしたと。
里志はある時から第一人者になろうとする事をやめた自分はやはりチョコレートは受け取れないのだと。いや、里志の気持ちはちょっと分からんです。こだわりたくないとか、自分に対してそうなのかもしれないが、ちょっとは摩耶花の気持ちを考えてやったらどうなのかと。そして結果論ではあるがそれに巻き込んだえるの気持ちも。そりゃ奉太郎はぐーで里志を殴りたくなるよね。
ところでバーチャロンが涙が出る位に懐かしかったw
動きがまさにああ言う感じだったなあ。