被災地から7.5万人余の人口流出9月11日 15時13分
東日本大震災で大きな被害を受けた福島県、宮城県、岩手県では、ふるさとから県内外に住民票を移した人が合わせて7万5000人余りに上り、大規模な人口流出が起きていることが、NHKの取材で分かりました。
NHKは福島、宮城、岩手の3つの県のすべての自治体に当たる127の市町村について、震災前の去年3月から今年7月末までの間に、住民票を県内外の別の自治体に移して転出した人数と転入した人数の差を調べました。
その結果、▽福島県では59の市町村すべてで転出者が上回る「人口流出」が起きていて、流出数は、合わせて4万5096人に上り、▽宮城県では22の市町村で2万1136人、▽岩手県では26の市町村で9725人が流出していました。
3つの県では84%に当たる107の市町村で合わせて7万5957人が流出したことになり、震災発生から1年が過ぎたことし3月以降の5か月間だけでも1万8651人が流出していました。
自治体別に見てみますと▽福島県郡山市が1万130人と最も多く、次いで▽福島県いわき市が8126人、▽福島市が6490人で、宮城県では石巻市が6254人と最も多く、岩手県では大槌町が1531人と最も多くなっています。
流出数が多かった福島県の3つの自治体は、原発から30キロ以上離れ、避難区域には指定されていませんが、原発事故で拡散した放射性物質に対する不安から県外を中心に流出しています。
また、宮城県と岩手県の津波被害が大きかった沿岸部の27の自治体からも合わせて1万4637人が流出し、復興に大きな影響が出るおそれが出てきています。
一方、宮城県と岩手県では仙台市や盛岡市など合わせて20の市町村で転入者が転出者を上回り、合わせて1万9318人の「人口流入」が起きていて被害の大きかった沿岸部から仕事や住む場所を求めて県内の都市部に住民が大量に移ってきているとみられます。
今回の震災では34万3000人が自宅を追われ、全国のすべての都道府県で避難を続けていて、専門家はこれ以上、避難生活が長期化すれば、ふるさとに戻らない人がさらに増えるおそれがあると指摘します。
人口問題に詳しい日本女子大学の阿部隆教授は「阪神・淡路大震災を大きく上回る戦後最大規模の人口の流動が起きているといえる。人口という基盤があってはじめて商業や産業の復活が可能になるのであり、行政は人々がどういった理由で転出しているのかよく把握し、除染や雇用の創出などの対策を急ぐべきだ」と話しています。
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