大統領府の朴正河(パク・チョンハ)報道官は「李明博(イ・ミョンバク)大統領と野田佳彦首相は9日に対話を交わし、韓日関係を未来志向的に発展させるため、両国が協力していくことで一致した」と明らかにした。2人の対話はウラジオストクで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で、非常に短時間で行われた。米国のクリントン国務長官は2人と別々に会い「(韓国と日本は)領土問題での緊張を緩和する必要がある」と述べたという。
李大統領は5日、韓国国内の日本関連の専門家たちを大統領府に招いた席で「日王(天皇)は訪韓したいのなら、まず謝罪しなければならない」とした自らの発言について「日本の首相が何度謝罪するよりも、日本で最も尊敬される日王が謝罪すれば、簡単に解決するという意味」と釈明した。これは日本のメディアが報じた。
李大統領は先月10日に独島(日本名:竹島)を訪問し、14日には天皇の謝罪を求める発言をしたが、これに対して日本は度を超えた反発を示した上、李大統領の謝罪を求める首相の親書を事前に公表するという無礼まで犯した。野田首相と閣僚は旧日本軍慰安婦の強制連行を認めた「河野談話」を見直すことに言及し、再び首相への就任を目指す安倍元首相は、日本の歴史に対する反省を表明した「村山談話」の修正まで主張している。
日本の政権政党である民主党と、政権の奪還を目指す自民党の総裁選を前に、双方とも民族主義をあおりながら、韓日両国の関係を国交正常化以来最悪の状況に追いやってしまった。韓国、中国、日本の3カ国が中心となる東アジアにおいて、韓国と日本がこのように激しく対立してしまうと、中国にとって選択の余地と活動空間が相対的に広がってくる。つまり日本が最も警戒する状況を、日本が自ら招いてしまったのだ。政党による政治活動によって、日本の国益が失われたといっても過言ではない。
国家間の領土問題や歴史問題は、双方の国民感情を刺激して民族主義に火を付けるため、外交の手段としては非常に危険なものであり、時には統制不可能な状況になることもある。そのため成熟した政治指導者は、領土問題や歴史問題では短期的な対応と長期的な方向性を並行して駆使する。つまりこれらのデリケートな問題を国内政治に利用するのは「禁じ手」なのだ。
日本は今回の問題を通じ、歴史問題の扉が開け放たれた場合には取り返しがつかないほど問題が大きくなることを改めて確認したはずだ。韓国も日本を相手にする場合、その文化的特性をしっかりと把握し「はりときゅう」あるいは「アメとムチ」をうまく活用しなければならない。