『死にぞこないの青』は切なさの魔術師とも呼ばれる乙一氏の
同名ホラー長編小説を映像化したものです。
少々気弱な主人公の少年、マサオは、クラスの飼育係を決める
時に、嘘をついてしまい、新任の担任教師から嫌われてしまい、
その教師より陰湿で執拗ないじめを受けることになります。
いじめを受けるのが自分ではない、と言う安心感から、いじめ
に便乗していくクラスメイトたち。居場所がなくなるマサオ。
その前に、全身真っ青で拘束服を着た「青」と名乗る、誰にも
見えない少女が現れます。

教師やクラスメイトのいじめに頭を下げ、屈服しているしか
ない悔しさと切なさ。
それに対し、青は、教師を消す(殺す)ことで、自分を取り
戻すよう残酷な助言をしていきますが、この青、原作では、
マサオ自身に似ています。
映画では、死んだ姉にそっくりという設定なので、おそらく
死んだ姉が弟を救うために現れたのだと思われます。

いじめを続ける担任教師にも、新任なりの不安があった、
誰かを的にしなければやっていけなかったというくだりは、
何ともいえないものがあります。
マサオが、青なしでも生きていけるようになるラストは、
乙一作品らしいものがあります。
クラスメイトに残虐な仕返しをする妄想は、別に必要
なかったような気がしますが、ホラーである以上、やはり
付け加えなきゃいけないものだったんでしょうか。
須賀健太 TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 2009-01-21
面白そう。