トップページ>危険な油脂>トランス脂肪酸とパーム油:82号(2007/8/31)

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トランス脂肪酸とパーム油

トランスファット・フリーのマーガリン

先週は酸化した油脂とトランス脂肪酸の危険性とこれを口にしないことが重要と報告しましたが、一方、食品業界は酸化しにくく安価な植物油脂、パーム油を広範囲に利用しており、即席めんやマクドナルドなどの大企業から町の小さなコロッケ屋さんにいたるまで、あふれかえっています。そして、このパーム油にはトランス脂肪酸が含まれる、と指摘しました。

マーガリンにトランス脂肪酸が含まれる(10%以上)ことは広く知られるようになり、マーガリンのトランス脂肪酸低減の取組みは急ピッチで進められています。写真のようなトランス脂肪酸を微量しか含まない製品(といっても1%以下)も発売されていますが、トランス脂肪酸を減らすために、水素添加に代わりここでもパーム油が使われています。

今週はトランス脂肪酸がなぜ危険なのか、そしてパーム油という油脂は大丈夫なのかを検証いたします。

トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなどの加工油脂に大量に含まれます。菓子やフライドポテトなど多くの食品に使われています。妙にサクサクした揚げ物、フライはショートニングを利用している可能性が大きいです。

トランス脂肪酸とは脂肪を構成する脂肪酸の一種です。脂肪酸は下図のように大別すると不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分かれます。
マーガリンやショートニングなどは、常温で液体である不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変換して固体にするために水素を添加して加工します。このとき副産物としてトランス脂肪酸が生まれるのです。

シス型脂肪酸とトランス型脂肪酸

トランス脂肪酸がなぜ悪い?

マーガリンを"プラスチック食品"とか"狂った油"とか呼んでいるケースもありますが、トランス型は自然界にもわずかに存在します。ウシなどの反芻(はんすう)動物の肉や乳に含まれています。このトランス脂肪酸は反芻動物の体内で微生物によって産生され、肉や乳の脂質のうち2-5%を占めるのだそうです。
トランス脂肪酸という観点からも、牛肉や牛乳はリスクがあるということですね。

シス型の分子が折れ曲がっているのに対して、トランス型の構造はまったく異なります。そのために代謝がうまくできないのです。

>えっ?ショーンさん、それだけのことでカラダは受けないの?
そうなんですよ。化学式が同じでも分子構造(立体的な)が異なると代謝がうまくできません。というか、なまじ正規なシス型に似ているからタチが悪いのです。いっそ異物なら身体は受けつけないのですが…

トランス脂肪酸の摂取量が多いほど炎症因子や細胞接着分子が高いことが報告されており、これは体内で炎症が生じていることを示すもので、アトピーなどのアレルギー症に悪影響を及ぼすと考えられています。これこそがトランス脂肪酸の代謝異常を示すものでしょう。

BSE(狂牛病)もその原因はたんぱく質が変異した「異常プリオン」であり、タンパク質の立体構造が異なるだけです。病原がタンパク質なので加熱しても加圧しても感染性は消滅しません。(参考無料レポート:伝播するBSEの本当の恐怖!

また、トランス脂肪酸の害としてよく知られているのは、LDLコレステロールの主成分の一つであるリポ蛋白(Lp-α)を増加させ、動脈硬化や心臓疾患のリスクを高める恐れがあるという点です。

トランス脂肪酸対策としてのパーム油のリスクは?

カロチン色素のため赤いパーム油

マーガリンなどのトランス脂肪酸を低減する目的で、水素添加する代わりにパーム油が使われるようになっています。パーム油が植物油であるのに常温で固体であるため、添加されるわけです。
また、外食産業や加工食品にも安価なパーム油が大量に使用されています。即席めんの場合、約20%が油脂であり、ほとんどパーム油だといわれています。

一般に油脂は、構成している脂肪酸の比率によって、融点が変わります。飽和脂肪酸が多いと融点は低くなり、不飽和脂肪酸が多いと高くなります。飽和脂肪酸が多い動物性の油脂(牛や豚など)は常温では固体です。魚油は液体ですが、これは不飽和脂肪酸が多いのです。
したがって、常温で固体のパーム油は、もともと飽和脂肪酸が多いのです。若干のトランス型脂肪酸も含んでいる、との記述が見られますが、定量的なデータは入手できませんでした。ただ、某即席めんメーカに問い合わせたところ、揚げ油にトランス型脂肪酸が含まれることを認めました。

パーム油のリスクをまとめますと、ふたつあります。
ひとつはトランス型脂肪酸が含まれること。パーム原油には含まれない組成ですが、質の悪いパーム原油の精製の過程で生じるのではないかと推定します。
ふたつめは飽和脂肪酸が多く、動物性油脂と同様、細胞を形成する重要な不飽和脂肪酸が摂取できない、ということです。
健康のためには摂取したくない油脂といえます。

トランス脂肪酸のリスクを避けるために油脂の選び方

植物性油脂を人工的に加工した油脂は摂取をひかえる、これにつきるといえます。マーガリン、ショートニングなどは避けた方がいいです。

高温で抽出・精製した植物性油脂の摂取もひかえましょう。トランス脂肪酸が0.4〜2.3%程度含まれます。
大豆油、米油、コーン油、ナタネ油、綿実油などが対象です。

圧搾して作られたパーム油も飽和脂肪酸が多く、カラダによくありません。

そうなると、健康エコナはどうなのでしょう? 体に脂肪が付きにくく、他の植物油に比較して食後の中性脂肪が上昇しにくい、というのがセールスポイントです。しかし、エコナの製法は、大豆油と菜種油をベースとして酵素によりジアシルグリセロールを生成するという加工油脂です。トランス脂肪酸が3〜5%含まれるともウワサされています。
次週は健康エコナを検証します。

編集後記『もううんざり!帰ってくるな朝青龍』

今日の便で朝青龍がモンゴルへ帰国しました。直前の記者会見でも北の湖理事長は姿を見せません。精神疾患が重く、食べられない、態度もうつろと報じられた朝青龍は、ちっとも痩せてはおらず、相変わらずふてぶてしい表情で一言も発せず、飛行機に乗り込みました。

連日の朝青龍報道にうんざりの方がほとんどでしょう。ファンの方はごめんなさい。でも、彼にはもう日本に帰ってくるな、と言いたいですね。

それより今回の騒動でイチバン悪いのは大相撲協会であり、その最高責任者である北の湖理事長です。企業が不祥事を起こせば、トップが会見をし、全責任を負うのは当然のこと。それすらできない財団法人日本相撲協会は、ミートホープや白い恋人の石屋製菓以下の体質です。

ところで、小倉智昭氏がとくダネ!の中で「相撲は国技ではない」と発言しました。調べてみると、明治42年(1909年)両国国技館の命名にあたり、命名委員会(会長:板垣退助)に提案し、了承されたので相撲は国技となった、のだそうです。
一方、文部科学省が相撲を国技と認めていないため、国技ではないという説もあります。なんだか、相撲は国技だという根拠すら案外いい加減なんですねぇ。



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