【トロント＝西尾美穂子】東京都八王子市のスーパーで平成７年７月、アルバイトの女子高生ら３人が射殺された強盗殺人事件で、実行犯を知っている可能性が浮上し、警視庁が旅券法違反容疑で逮捕状を取ったカナダ在住の中国人の男（４１）について、カナダ・トロントの裁判所は１０日、日本側の身柄引き渡し請求を認める決定をした。男は身柄を拘束された。
男は不服申し立てをする方針。却下されると、日本に移送され逮捕される。発生から１７年が過ぎた事件の捜査が、急速に進展する可能性が出てきた。
裁判所は「男が日本を違法に出国した旅券法違反容疑については十分な証拠がある」と理由を説明した。
男については２１年９月、日本滞在時に一緒に行動し、後に中国で覚醒剤密輸に関わったとして死刑判決を受けた武田輝夫元死刑囚＝２２年４月に刑執行、当時（６７）＝が警視庁の事情聴取に対して「実行犯を知っている可能性がある」と供述したことから、捜査線上に浮かんだ。
警視庁は、１４年４月に他人名義のパスポートで日本から出国した疑いがあるとして、旅券法違反容疑で逮捕状を取り、カナダ政府に身柄引き渡しを要請。これを受け、カナダの検察当局が裁判所に引き渡しを認めるよう請求していた。
男の弁護人は「強盗殺人事件の聴取をするために、旅券法違反容疑で引き渡しを求めているのは不当」などと主張していた。