日馬富士(右)が寄りきりで碧山を下す=両国国技館で
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◇秋場所<初日>
(9日・両国国技館)
3度目の綱とりに挑む大関日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は新小結碧山を寄り切り、白星スタートを切った。3場所ぶり23度目の優勝を狙う横綱白鵬(27)=宮城野=は小結栃ノ心を盤石の寄りで退けた。
他の大関陣は稀勢の里が新関脇妙義龍を、琴欧洲は阿覧をともに寄り切りで下した。琴奨菊は松鳳山を押し出し、鶴竜は臥牙丸を上手出し投げで転がした。把瑠都は魁聖に寄り切られ、ただ一人土がついた。関脇豪栄道は豊真将に敗れて黒星発進となった。
綱とりを期待する館内の大歓声が背中を押す。「お客さんの応援が力になる」。初日の緊張と重圧を乗り越えて日馬富士が白星発進した。相手は進境著しい新小結碧山。「緊張というよりも初日はドキドキする。それはみんな一緒ですよ」
相手に顔面を張られ、いったんは後退。返した左の張り手を空振って熱くなりそうな場面もあったが「そこで冷静になれた」。直後に相手の動きが止まったスキを見逃さず左四つでつかまえ、最後はもろ差しになって盤石の寄り切りだ。
「相手の気合がすごかった。何をするか分からなかったので見ながら出て行った。勝ちは勝ち。勝つとその晩はホッとする。一日一番に集中して自分の相撲を取り切っていきたい」
鏡山審判部長(元関脇多賀竜)は「硬さがあった。碧山が元気だったら持っていかれたかも」としながらも先場所の碧山戦はダメ押しで注意した経緯があっただけに「きょうはやらなかったね。これでいい方にいってくれれば。上を目指す以上はね」と指摘される横綱としての“品格”に対しても及第点を下した。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「チャンスはそうない。今回のチャンスをモノにしてほしい」と激励した。
小兵大関として知られる日馬富士だが、場所前の計量で自己最重量の133キロになった。「まわしを取ったら負けない。力強くなった」と自らパワーアップを強調。まずは1つ目のハードルを無難にクリア。ここから一気に上昇気流をつかみたい。 (竹尾和久)
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