2012年1月18日、22ndシングル『グッドラック』をリリースしたBUMP OF CHICKEN。昨年リリースしたシングル『ゼロ』とともに、その唯一無二の詞曲の説得力と高い音楽性で、多くのリスナーからの支持を獲得。また、2012年4月からは全20公演、延べ動員数約20万人のアリーナツアーを敢行、全国各地で渾身のライブを行い、7月14日の仙台公演にてファイナルを迎えました。
そして、大規模な全国アリーナツアーの終了から間もない2012年9月12日に新たなシングルをリリースされます。タイトルは『firefly』。疾走感とうねるグルーヴが絡み合う、まさにロックバンドの真骨頂とも言える前のめりなバンドサウンドが鳴らされる『firefly』は、前述の、全国アリーナツアーの真っ最中に書き下ろされた楽曲になります。全国各地の白熱したライブのテンションが、そのまま曲のDNAに組み込まれたかのようなこの楽曲では、ツアー中に生み出されることが必然だったかのように、生命力と躍動感に満ちあふれた見事なバンドサウンドが鳴らされています。ハイテンションなバンドサウンドを求める多くのファンにとって、ロックバンド BUMP OF CHICKENの真骨頂を堪能できる楽曲、それがNew Single「firefly」です。
【firefly】--【-蛍】の“光”を自身の“夢”に重ね合わせ、追い続けることで遭遇する絶望や恐怖、行く末に待っていた諦めを“黄金の覚悟”と定義し、リアルな焦燥と抜け出せない絶望の中で、それでも続いていく物語の中で“傷”は同じような“光”で輝くという・・。まさに、藤原基央でしか綴ることのできない斬新で切実な物語が重厚なサウンドと相俟って、より説得力をもって聴くものの胸に迫ってきます。
この『firefly』は、2012年7月10日から放送されているフジテレビ系火曜9時連続ドラマ「息もできない夏」の主題歌に決定しています。自身が「無戸籍」であったという驚愕の事実に苛まれる主人公と、それを取り巻く人々との間に繰広げられる物語の、その主題歌に、BUMP OF CHICKENの楽曲の世界観がどうしても必要であるという、フジテレビ/プロデューサー太田大氏からの熱いオファーに端を発し、既に書き上げられていた『firefly』という楽曲の放つサウンド、メッセージが見事なまでにドラマとリンクしているということで、この作品への主題歌提供が実現しました。
また、『firefly』のカップリング曲『ほんとのほんと』は、既にタイトルをからわかるように、藤原基央ならではの、オリジナリティー溢れる言葉と観点で綴られる、人と人との繋がりの真理を歌い上げた究極のバラッドです。藤原基央というシンガーの、その絶対的な歌唱力と表現力の素晴らしさを、改めて堪能することができる楽曲となっています。
ある日突然、「無戸籍」という自らの過酷な運命を知らされた少女と、贖罪(しょくざい)を背負いながら生きる男。 世界から見離され息を潜めるように暮らす、孤独な2人が出会うとき、 運命の歯車が静かに動き始める・・・ 武井咲×江口洋介で贈る、愛に傷つき、愛に裏切られ、それでも愛を求める、さまよえる魂たちの、この夏最も切ない衝撃の物語!
出演:武井 咲、江口洋介、木村佳乃、中村 蒼、要 潤、浅田美代子/ 北大路欣也
ビデオクリップの撮影は、残暑厳しい某日に行われた。「firefly」の世界観を映像で表現するべくメガホンを取ったのは、BUMP OF CHICKENのデビュー以来ほぼ全てのPVやライブ演出映像を手がけ、メンバーからの信頼も厚い番場秀一監督だ。
今作は、縦5メートル以上もあるパネル型LEDを複数吊り下げたステージセットで、メンバー4人が熱い演奏を繰り広げるという内容。楽曲タイトルにちなみ“光”が効果的に使われた幻想的な映像が制作される。
準備を終え4人がスタジオに入ると、まずは撮影スタッフとの挨拶からスタート。それぞれの名前と役割がメンバーに紹介されるたびに「よろしくお願いします!」と大きな声で返答するメンバー。その礼儀正しさからも、一緒に素晴らしい作品を作り上げていこうという気概がにじみ出ている。
なお、この日4人は黒を基調としたシックな装いで撮影に挑んだ。藤原基央(Vo, G)は黒いジャケットに白いクルーネックのシャツ。増川弘明(G)は黒い長袖のシャツ。直井由文(B)は黒いジャケットに黒いクルーネックのシャツ。升秀夫(Dr)は半袖のクルーネックシャツにベストを羽織った格好。ボトムは4人とも黒のスリムパンツという出で立ちだ。撮影は「firefly」を頭から終わりまで演奏するバンドを、さまざまなカットで捉えていく方法で進行した。まず1回目のテイクとして撮られたのは、ライブ同様に升がセンター奥に陣取り、直井がベースアンプを従え下手に、増川がギターアンプを背に上手に、そして藤原がセンター手前に立つ布陣。アップテンポな楽曲にふさわしく激しく体を動かしプレイする4人を、遠景としてフレームに収めていく。メンバーの後ろではカーテンのように配されたLEDに、赤や青、黄色などさまざまな色のグラデーションで構成された抽象的な映像が流れる。シーンによっては渦を巻き、別のシーンではあたかも蛍が舞うような動きをする“光”が、バンドの演奏に彩りを添える。
「OK!」という番場監督の声で、無事1テイク目の撮影は終了。4人が今しがた撮られた映像をモニタで確認しているあいだに、撮影スペースではセットチェンジが行われていく。なお、今回は1回のテイクにつき2台のカメラを同時に回し画角の異なる映像を押さえているため、チェックするのも一度に2台分。メンバー4人は横一列に並んだパイプ椅子に仲良く座り、撮れたてほやほやの画をじっと見つめていた。その後、移動可能なLEDを増やしたり、LED越しに撮影したり、メンバーの立ち位置を変更したりしながら、さらに数テイクを撮り下ろす。そして「OK!」の声がかかると、都度その内容をモニタで確認。バンドの大胆な動きを鮮明に捉える細やかなカメラワークで、ステージの熱気が画面の向こうから感じられる映像が紡がれていく。またカットによってはレンズが1人のメンバーのみを追っていたり、別のカットではステージ全体を眺めやったりと、まるでBUMP OF CHICKENのライブを楽しんでいる観客の目線を思わせるような視点移動を展開。
さらに藤原&増川、直井&升のペアに分かれて撮影するシーンもあり、その際には残った2人がほかの2人をモニタの前で見守っていた。これらバラエティ豊かな画角で捉えられた演奏風景が、最終的に番場監督の手によってどのような作品になるのか。現場にいる誰もがその出来上がりをわくわくしながら想像していた。(後編に続く)
ところでビデオクリップ制作現場では、セットの変更や機材の動作確認などの理由から、多くの待ち時間が発生するもの。このような撮影の合間を使いコメント映像の収録や打ち合わせが行われるのだが、それ以外のときにBUMP OF CHICKENの4人は何をして過ごしているのか。
主な行動は、他愛もない友達同士のおしゃべり。ちなみに今回の現場で多く言及されたのは、8月2日に発売されたばかりのWii用ゲーム「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族」について。その内容にも興味津々のようだ。またセットの端で出番を待っていたタイミングでは、藤原や増川がストレッチして体をほぐすかたわら、直井はスタッフとにこやかにトーク。そして升は愛用のドラムスティックを握り、右膝を使って軽やかにフレーズを叩いていた。
さらに控え室ではマンガを読んだりするなど思い思いの方法でリラックス。ほかにも、例えば直井はiPadで好きなファッションブランドの新作アイテムをチェックするなどし、待ち時間を有効に活用していた。
撮影が終盤に差し掛かると、スタジオに直径1.5メートルの大きなバルーンが登場した。これはITを駆使してさまざまなアート作品を世に送り出している“ウルトラテクノロジスト集団”チームラボが制作した発光バルーン。外側は丈夫なビニール素材で、中にLEDランプと通信用ハードウェアを保有し、ヘリウムガスで膨らませている。
人や地面への接触といった外部刺激によって色が変化するほか、パソコンから発光パターンを制御できるインパクト絶大のアイテムだ。このバルーンを2つ、メンバーが演奏するステージに投げ込むシーンに取りかかる。バンドがプレイするそばをバルーンが鮮やかに光りながらゆっくりと通り過ぎる模様は、夢の中のように美しい。またバルーンは、ヘリウムガスの含有率をあらかじめ調整しておくことで弾性に変化をつけ、それぞれの跳ね上がり方が力強くなったり緩慢になったりするようチェック済み。撮影後にモニタで映像を確認した4人は、そのファンタジックな効果に「これはきれいだね」と感想を寄せ合っていた。
こうして、メンバーが登場するシーンの撮影が終わったのは開始からおよそ半日後、日付が変わる少し前。番場監督が「メンバー撮影終了です!」と合図すると、彼らの熱演とクルーの仕事を讃えるように、誰ともなく大きな拍手が起こった。計13テイクにわたり激しいステージングを見せた4人も、ほっとしたような微笑を浮かべつつ、ともに拍手する。
その後は、今作のキーアイテムとなった発光バルーンを囲んで記念撮影が実施された。ところがメンバー同士じゃれ合ってるうちに、いつのまにかバルーンを使ったバレーボールのトス合戦に突入。さらに、直井が高くトスしたバルーンを増川が両手でハシッと掴んでみたり、藤原と増川が鏡像のように左右対称の格好でバルーンを支えたり、升がおしりを突き出した面白いポーズをとってみたりと、無邪気な振る舞いを見せる。先程までの真剣な顔つきからのギャップに、スタジオ内がリラックスした空気に包まれた。
「firefly」のビデオクリップは、フルサイズで5分28秒にわたるもの。LEDを駆使した光の芸術とメンバーのライブさながらのプレイがさまざまな角度から楽しめる作品となる。今作は、フルサイズバージョンが各CS放送でオンエアされるほか、特設サイトでは後日ショートバージョンの視聴をスタート。この日のBUMP OF CHICKENの熱演がどのような映像に仕上がるのか、公開される日を楽しみにしておこう。
BUMP OF CHICKENの音楽は、全て映像が浮かぶものであり、企画自体にインスパイアを与 えてくれるものだと思っていました。今回もドラマの企画が決まった段階から、BUMPさんに主題歌をお願いしたいと思ってオファーしました。曲の起用理由は 、まだドラマのオファーのお話をする直前で藤原さんが書かれた歌詞が、このドラマの主人公である苦境に立ち向かう少女のことを謳っているとしか思えないような内容であったという、感動的な偶然の一致があり、即決でお願いいたしました。
サビの歌詞を聞いたときに、先述のように、苦境の中でも前に進んでいくこのドラマの主人公のことを120%謳っているのだと思いました。そしてこちらの企画段階と同時期に藤原さんがそのような歌詞を書かれていたことを知り、この偶然の一致にとても感動しました。
ドラマのモチーフに、抜けるような青空と果てしなく続く砂漠をイメージとして使用しているのですが、エンディングのタイトルバックに乗せた際に、世界観が合致しているのはもちろん、ドラマで伝えきれなかったことを代弁してくれているようにも感じました。