飲酒:未成年者による暴力事件、年間4000件

中高生の5人に1人が「酒を飲んだ経験あり」
飲酒のため住民登録証の売買、偽造も

■「未成年者の飲酒、一部だけの問題ではない」

 昨年9月、韓国政府の疾病管理本部や教育科学技術部、保健福祉部(共に省に相当)は、全国の中高生7万5643人を対象に「青少年の飲酒の実態」についてアンケート調査を行った。調査の結果、最近1カ月間に酒を1杯以上飲んだ生徒は1万5594人で、全体の20.6%に達した。このうち「問題のある飲酒」をした生徒は6206人(39.8%)に上った。問題のある飲酒とは、酒を飲んで記憶を失ったり、ほかの人とけんかしたりするなど、二つ以上の問題行動を起こしたケースを指す。

 取材班が韓国教員団体総連合会(教総)に依頼し、中学・高校の教員93人を対象にアンケート調査を行った結果、37%の教員が「過去1年間、飲酒の問題で生徒を指導した経験がある」と回答した。また「二日酔いのため体調不良を訴える生徒を見たことがある」と回答した教員も34%に達した。

 生徒たちは飲食店で堂々と酒を飲めるよう、住民登録証の売買までしていた。インターネットでは、2万-3万ウォン(約1300-2000円)で住民登録証が売買されている。仁川市の高校3年の男子生徒(18)は「不良生徒など不真面目な高校2-3年生のうち、成人の住民登録証を持っていない人はまずいないくらいだ。高校を卒業したばかりの先輩の住民登録証は『プレミアム』として4万ウォン(約2700円)で売買されている」と語った。

 住民登録証を売買するだけでなく、偽造するケースも少なくない。自分の住民登録証に印字されている生まれた年の数字を刃物で削り取った後、本などに付いているバーコードの数字を張り付けるという手口だ。ソウル市のA高校2年生の男子生徒(17)は「携帯電話に液晶保護フィルムを張り付けるように、住民登録証をうまく偽造する専門家がどこの学校にもいる。この専門家に5000-1万ウォン(約340-670円)を渡して作業を依頼している」と語った。

■飲酒で問題起こす未成年者、大人たちが量産

 未成年者が早くから酒を飲む現象が蔓延しているのは、酒を手軽に購入できるからだ。取材班が会った中高生は「通常、酒をどこで飲むのか」という質問に対し「よく知っている店がある」と答えた。京畿道光明市の高校3年生の男子生徒(18)は「住民登録証を確認せず酒を販売するスーパーや、高校生だと知りながら入店を認めるビアホールのリストを、友人たちと共有している」と話した。今年3月、疾病管理本部が行った調査でも、酒を購入した未成年者の82.5%が「誰にも止められずに酒を買うことができた」と回答した。仁済大保健大学院の金光起(キム・グァンギ)教授は「未成年者が酒を飲み始めた場合、後にアルコール依存症にかかったり、犯罪に走ったりする可能性が高い。当局が未成年者の飲酒の問題に対し本気で取り組む必要がある」と指摘した。

ソク・ナムジュン記者
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