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被災市町の職員不足 宮城知事が全国知事に「直電」派遣訴え
 | 電話で直接、職員派遣の増員を要請する村井知事 |
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東日本大震災後、被災自治体で深刻化する職員不足の解消に向け、村井嘉浩宮城県知事は、全国の知事に被災市町への職員派遣を直接働き掛ける「電話作戦」を始めた。技術職不足に悩む県土木部は、全国各地で要請行脚を展開する。沿岸市町の不足数は409人。県を挙げた異例の取り組みで難局を乗り切る構えだ。 「SOSの電話です。予算は確保できても、人手不足で事業が前に進みません」。村井知事は、知事室から西日本の知事に電話をかけ、被災市町の窮状を訴えた。 村井知事は3日から7日夕にかけ、10府県知事に電話を入れた。これまでの職員派遣に謝意を示しながら、さらなる増員を依頼する内容だ。 知事は7日、埋蔵文化財関連の職員1人の派遣を要請。応援が必要な職種、人数などを具体的に伝えることで、電話作戦の効果を高める狙いがある。 村井知事は取材に対し、「総じて協力的だ」と手応えを語る一方、「任期付き職員を募集しているが十分ではない。近県にもお願いする必要がある」と危機感を示した。
<お礼兼ねて「要請行脚」/宮城県土木部> 県土木部などの幹部は8月下旬、職員を派遣してもらっている自治体のうち、既に訪問した山形県を除く27都道県を訪ね、お礼を兼ねた派遣の継続要請を始めた。 道路や港湾、街づくりなどを担う土木部は、2012年度当初予算が11年度の4倍に達し、職員は恒常的に不足する。派遣期間は12年度末までだが、13年度も同規模の派遣職員が必要と判断した。 橋本潔土木部長は5、6の両日、愛媛、高知、徳島3県を訪問。「南海トラフ巨大地震の被害推計が公表された直後で、避難対策の関心が高かった」と手応えを語る。派遣要請の一方、震災対応に関する情報提供の必要性を感じたという。 同部は7日、派遣職員を対象に震災時の対応や津波の備え、街づくりの現状など県の取り組みを知ってもらう研修を開いた。宮城での勤務体験を将来にわたって最大限に生かしてもらうのが狙いだ。愛知県職員は「南海トラフ巨大地震を意識した。今回の経験を、今後の教訓に生かせるようにしたい」と話した。
<宮城・南三陸町/26人不足→来月解消> 南三陸町で7日、東日本大震災の復興事業に必要な職員の確保にめどが付いた。任期付き一般職員の合格者11人が同日発表され、他自治体から10月までに派遣される職員を含めると、本年度の職員不足は解消される見通しだ。 町の8月1日現在の職員数は242人。うち45人が全国27の自治体から派遣されている。本年度は高台移転で重要な用地取得を担当する職員を中心に、26人ほどが不足していた。 任期付き職員は、民間や公的機関の実務経験者を対象に町が7月に募集。最長5年の任期で、10人の採用枠に25人が応募した。合格した11人のうち9人は、10月から用地取得などの業務に就く。町には今月中旬、東京都が採用した任期付き職員5人が派遣されるほか、10月には他自治体から13人を受け入れる予定で、268人体制で復興事業に臨む。今後も新規採用や県が代行採用する任期付き職員で人員確保を目指す。 佐藤仁町長は「南三陸町で働くことを希望する人が多く感謝したい。復興事業の本格化に向け、マンパワー確保に力を尽くしたい」と話した。
2012年09月08日土曜日
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