ソウル市中区の国立劇場のメーンホール(1563席)で25日まで上演された人気ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」では、舞台両脇に日本語字幕が映し出されていた。主演は「元祖韓流スター」としてアジアで人気のアン・ジェウク(40)で、プロデューサーのキム・スンミさん(40)は「アンさん主演の日は日本人が客席の半分を占める」と話す。
今年5月まで韓国初演された「エリザベート」に至っては字幕なしにもかかわらず、K-POPグループ「JYJ」のキム・ジュンス(25)出演の日は日本人観客が7割に達した。「訪韓してミュージカルを楽しむ日本人は年間4万人」とキムプロデューサー。
最近は韓国からの来日公演も増え、「ジャック-」も9月16日から東京の青山劇場で韓国と同キャストによる来日公演が控える。韓流ミュージカルは外国人の集客コンテンツから輸出コンテンツへと変わろうとしているようだ。
韓流ミュージカル人気の理由について、専門家は一部のスターの集客力に加え、出演者の実力の高さを指摘する。韓国演劇に詳しいフェリス女学院大の奈良夕里枝講師は「韓国はソウル芸術大など大学に演劇の専門課程があり、出演者の多くが卒業生。高校時代から演技やダンスを専門的に学ぶ。声帯が強く、特に歌唱力が高い」と説明している。(飯塚友子)