飲酒:庶民の生活を脅かす酔客たち

運転代行業・タクシー・露天商・喫茶店・美容室…零細業者が主な被害者

 運転代行やタクシーの運転手、居酒屋の従業員、コンビニの店員など、職業上酔客を相手にせざるを得ない庶民たちこそが、「酒」の最大の被害者だ。酔客が押し寄せる午後10時から午前4時までの間は、こうした人々にとって「稼ぎ時」だが、一方では悪夢でもある。この時間に酔客といざこざを起こし、警察による取り調べまで受ければ、一日の稼ぎの半分以上にもなる損害を甘受しなければならないからだ。

 5月26日午前0時ごろ、ソウル市江南区駅三洞にあるコンビニに、30代の酔客がやって来て「江南駅6番出口はどこか」と尋ねた後、外でほかの客と口論になり、不意に拳でガラス窓をたたき割って逃走した。店員のオさん(23)は「コンビニの仕事より、言い掛かりをつけて来る酔客の相手をする方が大変。割られたガラス窓を片付けるよりも、社長に何と説明したらいいか、その方が心配」と語った。

 ソウル地方警察庁によると、5月の3連休(26-28日)を控えた25日・26日の二日間、地区隊や派出所に寄せられた酔客関連の通報は、計617件に上った。ソウル地方警察庁の関係者は「酔客関連の通報のうち、半分以上は運転代行・タクシーの運転手、居酒屋の従業員など、庶民が被害を受けた事件」と語った。

 酒に酔って常習的に近隣住民に迷惑をかける人々が狙っているのも、露天商や喫茶店、美容室など零細店だ。2007年からソウル市冠岳区新林6洞で近隣住民を悩ませているチャンさん(64)が、その代表例。チャンさんは、高齢者が経営するカフェ、たばこ屋、食堂などを集中的に狙い迷惑行為に及ぶ。品物を持ち去るだけでなく、食堂でつまみ食いし、主人が顔をしかめようものなら、料理につばを吐き、汚い手で片っ端からいじり回した。警察に通報しても、被害額が1万ウォン未満と軽微なため、前科24犯にもなるのに一度も刑務所に行ったことはない。

 東国大学警察行政学科の郭大瓊(クァク・デギョン)教授は「酒に酔った人はよくカッとなると言うが、実際に酔客の暴行や迷惑行為の対象になるのは、社会的弱者に局限されているのが一般的。庶民の生活を安定させるためにも、酔客に対する処罰を強化することが望ましい」と指摘した。

特別取材チーム
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