飲酒:庶民の生活を脅かす酔客たち

運転代行業・タクシー・露天商・喫茶店・美容室…零細業者が主な被害者

 5月26日午前4時ごろ、警察の弘益地区隊(交番に相当)=ソウル市麻浦区=に、左目に青あざができた代行運転手のキムさん(51)が駆け込んで来た。キムさんの背後では、酒に酔って赤ら顔をした50代の男性2人が、大声でわめいていた。

 「そんな運転をするから殴られるんだろう。おれたちよりお前の方が悪い!」

 2人はキムさんの運転が気に入らないと言って、キムさんに対し拳を振り回し、警察に連れて来られた。最初は、キムさんに悪口を浴びせていた2人だったが、警察が供述調書を差し出すと態度が一変した。

 「警察署に行ったら、おじさん(運転手)はきょうの商売ができないだろうから、うまいこと終わらせないか。代金も少し多めに渡すから」

 結局、わずか20分後、キムさんは3万ウォン(約2000円)を受け取って合意した。キムさんは「警察署に行ったら、取り調べをして調書を作成するまでにたっぷり2時間はかかる。その時間に仕事をして、1万ウォン(約670円)でも多く稼ぐ方がいい。生活が懸かっているから、仕方なく耐えるしかない」と語った。

 鍾路区仁寺洞にある居酒屋の従業員イさん(56)も同日夜、娘くらいの年代の女性酔客チャンさん(31)に胸ぐらをつかまれた。チャンさんは、イさんの店で財布がなくなったと言って、およそ20分にわたり暴れ回り、テーブルやいすの下など隅々まで探したが、財布は見つからなかった。チャンさんはイさんの胸ぐらをつかんで「私の財布を出せ!」と声を張り上げ、足でいすを5、6脚ほど蹴り倒した。その間、ほかの客は会計もせずこっそり出ていった。結局、店内からチョンさんの財布は発見されなかった。イさんは警察に「酔客1人を処罰して何になるのか。会計もせずに出ていった客を呼び戻すこともできず、きょうの商売は完全にだめになってしまった」と語った。

特別取材チーム
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