傍若無人な酔客のために、公権力がまひする事態となった。5月26日午前2時30分ごろ、ソウル広津警察署華陽地区隊(日本の交番に相当)にある広さ33平方メートル程度の市民窓口は、酒に酔ってけんかした人や、その同僚など16人の酔客でごった返した。
窓口の隅にあるいすに寝転んだAさん(19)は、酒に酔った状態で、警察官に「あのXXが俺を殴った。お前らに俺の気持ちが分かるのか」と言い放ち、1分ごとにつばを吐いた。それから約20分後、今度は30代前半のBさんが、泥酔状態で警察官2人の助けを借り、やって来た。Bさんは階段を一人で上ることができなかった。男性Bさんからは血が流れ、また、Bさんとけんかした同僚の額からも血が流れていた。Bさんは地区隊で「大韓民国の警察は笑っちゃうね。今の場面、全部録画しておけよ」と言いながら建物の中を歩き回った。床のあちこちに、酔客たちが流した血や、吐いたつば、たんなどがこびりついていた。
この日午前5時5分ごろには、酒に酔って外国人とけんかし、出動した警察官を殴打したとして、P容疑者(25)が連行されてきた。P容疑者は、警察官が「名前と住民登録番号を言いなさい」と告げたのに対し「XXども、俺を殺すなり食べるなり、好き勝手にしろ。俺はただじゃおかないぞ。告訴する。(警察官たちに)娘はいるか。お前らの家庭はX(隠語)になった」と言い放った。
5月25日午後11時10分ごろには、西大門警察署新村地区隊からパトカーに同乗した記者たちの前に、酒に酔ったカップルが近付いてきた。カップルは警察官に対し「タクシーを拾うか、パトカーに乗せるかして、三角地まで連れていってほしい」と頼んだ。酔客たちはパトカーをタクシーと同じように考えていた。またパトロール中、ある酔客はパトカーに向かって「おい、そこのチャプセ(警察を指す隠語)」「おい、ポリス」などと叫んだ。東国大警察行政学科のクァク・テギョン教授は「韓国の警察は、酒に酔った人に強制的な措置を講じることが制限されており、酒に酔った人による犯罪に対する処罰も生ぬるい。酔って乱暴を働いた場合、厳しい制裁を加えない限り、公権力を無視する風潮は一向になくならない」と指摘した。