ソウル市松坡区の飲食街で大手を振って歩いている49歳の「酒暴」の男も「酔っぱらいの怪物」として恐れられている。この男は性犯罪、暴行、傷害など前科11犯で、これらの犯罪はいずれも酒に酔った状態で起こしたものだ。
■「酒暴は知能犯」
酒に酔って迷惑行為を繰り返す「酒暴」だが、目の前にいる人々を無差別に攻撃するわけではない。
ソウル・往十里一帯で有名な「酒暴」の男(59)は、一人でカラオケや居酒屋を経営する40―50代女性を、嫌がらせの対象にしている。男はこのような店を訪れては、金を払わずに酒を飲み、小遣いをもらっては浪費していた。また、男は突拍子もなく112番(日本の110番に相当)に電話をかけ「アシスタントを雇って違法に営業している店がある」と通報した。警察が出動して店をくまなく探し始めると、客たちは興冷した顔で1人、2人と店を出て行った。後に、男の通報はうそだったことが判明したが、営業被害は全額、業者が負担する羽目になった。
ソウル市内の永登浦駅近くで路上生活を送る「酒暴」の男性(39)は、屋台の店主を脅迫し、事あるごとに金を巻き上げている。男は屋台の店主が店を開けるころに酔った状態で現れ、テントを張ったり物を移動したりする作業を手伝った。大きな手助けではないが、男はこれを口実に店主たちから2-3万ウォン(約1350-2000円)ずつ巻き上げる。金を出し渋る店主がいると、男は営業時間中に大声を上げながら物を投げつけるなどの迷惑行為を働き、客が近づけないよう妨害した。
韓南大学警察行政学科のイ・チャンム教授は「泥酔者による迷惑行為は、一つ一つ個別に見るのではなく、全体的に見なければならない。個別の事件の被害は小規模かもしれないが、それが繰り返されると、被害者たちが感じる物質的・精神的な苦痛は非常に大きい」と指摘した。