栗城史多×安藤美冬 【第3回】 「僕は普通のお兄ちゃん。でも、いつか自分の登山を世界的なお祭りにしたい」

2012年09月09日(日) 安藤 美冬
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栗城: ストレス、溜まりません?

安藤: ストレスはあんまりないです。自分のブランドを作るって、そういうことだと思いますから。でも、スポンサーをつけていない私と違って、スポンサーのついている栗城さんは、そういう関連でもつぶやきにくいことが多いでしょうね。

栗城: 山だったらすべてをオープンにできるじゃないですか。ところが地上では、いろいろな事情があってなかなかそうは行かない。本当は「地上の山登り」みたいに、山以外での自分の行動や気持ちについてもたくさんつぶやきたいんだけど、それができないところが変なストレスになっているし、今の課題でもあります。

安藤: でも栗城さんは、「オープンにできない部分」を持っていることでも、たぶんたくさんの人を惹きつけていますよ。山以外の場所であまりつぶやかないから、ファンの人たちは「栗城さん、最近どうしているんだろう?」となって、何度も講演に来たりする。だから、基本的にはオープンなスタンスを取る一方で、見せない領域をはっきりさせておくっていうのは、良いやり方だと思います。

栗城: あえてつぶやかないのが良いってことですか?

安藤: そうです。あえてつぶやかない。神秘性を残しておく。

 さっきお話しした『Fascinate』(邦訳『魅きよせるブランドをつくる7つの条件』)という本には、多くのファンを持つための条件の一つとして、「神秘性のトリガー」ということも挙げられているんです。ツイッターでつぶやきすぎないとか、自分の写真をあまり出さないとか、日常生活についてあまり語らないとか、露出する仕事を絞るとか、そんな風にして自分に何らかの神秘性を持たせ、人々の好奇心の飢餓感を刺激していくわけです。そうすると、ファンは実際にリアルに会いに来てくれたり、さらにリピートしてくれたりするという……。ちょうど栗城さんに起きていることと同じですよ。

世界中の人が僕の登山を見て楽しんでほしい

栗城: なるほどね。僕に神秘性があるかどうかはわからないですけど、つまらないことをつぶやきたくない、っていうのはありますね。たとえば、自分のご飯のこととかつぶやく人がいるでしょ。「○○食べた」とか。ああいうのは僕、できないです。つまらなくないですか?

安藤: 私もそれはほとんどやらないですね。

栗城: そういう、「つまらないことはつぶやきたくない」って気持ちがあるから、日々の生活の中で発信できることがあまりなくなって、悩んだり落ち込んだりするのかもしれない。「友達と遊びに行ってこんな面白いことがあった」みたいなつぶやきができるといいんですけど、企業を回ったり、トレーニングで忙しかったりで、なかなか遊びにも行けないんですよね。

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