栗城史多×安藤美冬 【第3回】 「僕は普通のお兄ちゃん。でも、いつか自分の登山を世界的なお祭りにしたい」

2012年09月09日(日) 安藤 美冬
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 もしエベレストに登頂できたとしても、僕は自分が強くなったとも成功者になったとも思わない。そこで成功者になったら自分は終わりだなと考えています。もっと違うチャレンジをしたい。常に挑戦者でありたい。そういう姿勢に共感してくださる方が多いのかな。繰り返しますけど、僕自身は普通のお兄ちゃんですから。

安藤: ご自分を「普通のお兄ちゃん」だと当たり前みたいに言いますよね。

栗城: だって本当にそうですから。たとえば猪子さん(前回のこの対談にも登場したチームラボ代表の猪子寿之氏)なんて、僕なんかと違って、明らかに普通じゃない「ザ・天才」っていう雰囲気を出してますけど。

安藤: 猪子さんは、私もこれまで会った人の中でいちばん強烈ですね。

僕はハンパなく忙しいです

栗城: 僕の場合は、来たものや起こったことにちゃんと向き合い続けていたら、たまたまの連続もあって、今のようになったのだと思います。登山というのが本来、たまたまの連続なんですけど……。

安藤: 自分から積極的に行動も起こしているでしょう?

栗城: それは起こしてますね。世の中には、登山家って暇人だと考えている人がいるみたいですけど、僕はハンパなく忙しいです。自分で言うのもアレですけど、休みなんてほとんどありません。7月も休日は1日しかなかったし、地方の講演とかスポンサーさんとの打ち合わせとかが次々と決まって、何だかよくわからないうちにスケジュールが埋まっていく。

安藤: そんなこと言って、本当は自分で予定を入れてるんでしょう。

栗城: そうでした(笑)。特にいろいろな企業さんとの打ち合わせは、自分からどんどん入れていきますね。結局、時間がなくなって、以前は「週末には山に行きたいな」なんて思っていたんですが、今ではそれもできなくなってしまった。本当に、ヒマラヤに行くためにすべてを捧げている、という感じの毎日です。

安藤: そこまでやって、苦しいことはないですか?

栗城: 実は2回ほど、うつ状態になったことがあります。そのときはまず、あまりにも忙しくなりすぎて、久しぶりに休みが取れても、あまり外出したいと思わなくなったんです。休日も近所のナチュラルローソンとTSUTAYAに行くだけという生活で、行動範囲がものすごく狭くなってしまった。

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