本紙の取材チームが、韓国女性を対象に実施した「2008-10年の家庭内暴力電話相談アンケート(294件)」を分析した結果、「主に暴力はどのような状況で発生するか」という質問に対し、44.2%が「夫が酒を飲んだ時」と回答した。家庭内暴力の半数近くは、酒が原因で発生しているというわけだ。
「女性の電話」の事務所長を務めるソン・ラニ氏は「家庭内暴力を引き起こす夫らは、たいてい酒を飲んだ時に拳を振り回すのではなく、自分の暴力行為に対する恥ずかしさをまぎらわすために再び酒を飲む。酒を飲んで暴力を振るう回数が増えれば、結局は酒を飲めば必ず暴力を振るうといった悪循環に発展してしまう」と説明する。
暴力が度を過ぎて、殺人事件にまで発展し、家庭が崩壊してしまうケースもある。
今年3月18日午前4時10分ごろ、ソウル市中浪区面牧洞のある住宅に暮らす男(57)が、妻(60)と一晩中、夫婦げんかをした挙げ句、妻を殺害した。妻は、退職後数年にわたって職がない夫に対し「生活費も稼げない」と不満を言った。焼酒2本半を飲み、酒に酔っていた夫は、怒りを抑えることができなかった。そこで台所にあった包丁で妻の胸を数回にわたって突き刺し、殺害した。さらに、止めに入った息子(27)の太ももも刺し、重傷を負わせた。1男1女に恵まれた暖かい一家は、こうして崩壊してしまった。
高麗大学社会学科の金文朝(キム・ムンジョ)教授は「酒に酔った状態で衝動的に犯行に及んだ人々は、逆に言うと、酒を飲まなければそうした犯罪には及んでいなかったということを意味している。自制力を失う前に飲酒をやめていれば、多くの犯罪を減らすことができたという意味でもある」と話し、飲酒量を減らすことで多くの犯罪を未然に防げるとの見解を示した。