飲酒:殺人鬼の影に「酒」、過去の凶悪犯を検証

 呉元春(オ・ウォンチュン)、キム・スチョル、キム・ギルテ、チョ・ドゥスンら、韓国中を恐怖に陥れた残虐な犯罪者たちの共通点は、酒に酔った状態で犯行に及んでいたということだ。酒に酔ったはずみで性欲が生じ、女性や児童を犯行対象と見なし、性的暴行を繰り返して身体を傷つけ殺害、死体をバラバラに切り刻むなど冷酷な行動に出た。

 水原市で発生した20代の女性バラバラ殺人事件の犯人、呉元春の自宅のテーブルには、アルコール度数が38度に上る5リットルの中国酒(白酒)が4分の1ほど飲んだ状態で残っていた。呉元春は警察の取り調べに対し「酒に酔って女のことを思い出し、犯行に及んだ」と話した。2010年に女児を学校から誘拐した後、自宅に連れ込み、性的暴行を繰り返したキム・スチョルも、犯行当時は缶ビール1本と焼酒(韓国式焼酎)1本、ビール2本を飲んでいた。キム・スチョルは警察の調べに対し「私はビールを飲むと性欲が生じる。酒に酔って余裕がなかった。酒が憎い」と証言している。

 特にチョ・ドゥスンとキム・ギルテは「酒を飲んだ」ということをまるで言い訳のように主張し、世間の怒りを買った。2008年に登校途中のナヨンちゃん(仮名、当時8歳)を近くの教会のトイレに連れ込み、性的暴行を加えたチョ・ドゥスンは、警察の調べに対し「酒に酔っていて、何も思い出せない」と、自分の犯行を飲酒のせいにした。10年に釜山で女子中学生に性的暴行を加えて殺害したキム・ギルテは「通常の酒量は焼酒1本だが、犯行当時は焼酒3-4本を飲んでいた。酒に酔っていたため一切の記憶がなく、気が付くと被害者が死んでいた」と供述した。

 セミョン大学警察行政学科のパク・ソンス教授は「犯罪類型別に飲酒者による犯罪が占める割合を調べた結果、その割合は凶悪犯罪や暴行事件で著しく高く、全体の犯罪に占める割合に比べ2-3倍ほど高かった。これこそ、飲酒が凶悪犯罪を誘発していることを示す確固たる証拠」と説明する。次いで「酒に酔って歩き回ることを黙認している韓国社会の寛大な酒文化が、飲酒による犯罪を助長している」と主張する。

 世の中を騒がせた凶悪犯だけではなく、平凡な家庭の家長が引き起こす家庭内暴力も、そのほとんどは酒に起因する。

特別取材チーム
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