不動産鑑定士がズバリ 尖閣に20億円はボッタクリ
2012年9月9日(日)10時0分配信 日刊ゲンダイ
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政府は近く、尖閣諸島を約20億5000万円で購入する売買契約を埼玉県の地権者と交わす。国と東京都による「尖閣争奪戦」はひとまず、国に軍配が上がった格好だが、この契約には首をかしげてしまう。
中でも疑問は「20億5000万円」という金額だ。
現在、国が支払っている年間賃料は、3島で2450万円だ。単純計算で80年超分に相当する。政府は2012年の予備費を使う計画だが、税金を使うなら購入理由や購入金額の積算根拠を示すことが最低限必要だ。ところが、そうしたことは一切示されず、突然「20億円で買う」というのだ。誰が納得するものか。
「寄付金が15億円近く集まった都でさえ、尖閣の詳しい調査ができず、正確な不動産価格を算出できていません。石原知事からして、『政府の購入価格は私と地権者が話していたのと違う。随分高くなっている』と語っています。国は、買うと決めた以上、都の寄付金を上回る必要があると考えただけでしょう」(都政事情通)
地権者も地権者だ。最終的に国に売るなら、なぜ、もっと早く売買交渉しなかったのか。大騒動になる前に売っておけば、日中関係もこれほどこじれなかった。結果的に国と都が不動産の“売買ゲーム”を展開し、地権者だけが笑ったのである。
不動産鑑定士の田中秀和氏は「一般論」と前置きした上で、尖閣の価格をこうはじいた。
「尖閣近隣の島の取引事例はないでしょうから、売買価格は現在の賃借料2450万円がひとつの目安になると思います。沖縄で(継続的な賃借が見込める)軍用地を参考にすると、利回りは約2〜3%。ここから推測すると、約12億2000万円が妥当な額になるでしょう」
ナント、国の購入予定額の半分だ。中国を刺激し、外交、経済で大きなダメージを食らった上に、この価格。国民に納得しろ、という方がムリだ。
(日刊ゲンダイ2012年9月6日掲載)