今年の集大成です
|
今年は色々と変化がある年でした。一番の収穫は、多くの人々が精神医療の真実に気付いてきたことです。ようやく世間が問題意識を持ち始めたと実感しています。このブログが始まった頃は、私の主張などは少数派どころか異端中の異端でした。独り言に近い、せいぜい学級新聞程度の影響力しかない主張でした。
今でも圧倒的少数派であることは変わりませんが、もはや独りではないと実感しています。ネット上には、私なんかよりもよほど鋭く、精神医療の問題を追及する人々が何人も現れています。もうそろそろ引退しようかとも考えましたが、まだまだそういう訳にはいかないようです。
世間が松平健夫人の自殺で大騒ぎしているころ、私にとってはもっと衝撃的な事件が起きていました。それは、兵庫県加古川市で、15歳の中学生が焼身自殺を遂げたということです。ある程度その地域のことを知っている私からすると、いくつもの疑問符が付きまとう事件です。なぜ焼身自殺という、最も苦しい手段で自ら命を絶つほど少年は追い詰められてしまったのでしょうか?
昨年もイジメを受けていた中学生が路上で焼身自殺をした事件がありましたが、今回気になったのはイジメではなく、その少年がパニック障害で通院中であったという事実です。この少年は一体どんな治療を受けていたのでしょうか?そして、その治療について(特に投薬治療の場合、処方される薬物について)、本人や両親がどれだけ医師から説明を受け、理解していたのでしょうか?「自殺の原因はパニック障害でした」などと片を付けられる前に、そのあたりを徹底的に調べていただきたいと願います。
子どもや若者が希望を失い、自ら命を絶つ国に未来はありません。何が彼らを追い詰めているのでしょうか?
基本的には「無責任」です。このブログでは、患者の命や健康に責任を持たない精神医療の無責任について取り上げてきました。しかし、精神科医に恨みをぶつけるだけで解決する問題でしょうか?実は、精神医療との関わりにおける、我々の無責任こそが問題です。
人生には困難やトラブルはつきものです。直面できない問題があった場合、自分で考えることを止めてしまうことがあります。自分にはわからないので、他人に丸投げするというものです。時には、自分の人生における決定権を全て放棄し、他人に何でも決定してもらうという人もいます。そこに悲劇が生まれるのです。
精神科医は心の専門家であるという甘い言葉は、自ら考える能力を社会から奪ってしまいました。人生の責任を放棄し、得体の知れぬ専門家に押し付けてしまったのです。一般的に、専門家に助けを求めることは悪いことではありません。しかし、その専門家について知ろうともせず、決断を全て委ねるという無責任さこそが、悲劇の元凶なのです。
ただ、その「心の専門家」について知ろうとしようとも、情報が全くなかったのも事実です。一昔前の患者は、医薬品添付文書すら見ることができませんでした。情報が意図的に隠蔽されている中、真実に出会える機会はほとんどありません。しかし、今は違います。調べようと思えば調べることができます。情報を基に自分で判断することもできます。
今まで、精神医療は意図して人々の無知や無責任さにつけこみ、市場を拡大してきました。未来を担うはずの子どもや若者に、そのしわ寄せがきているのです。これを食い止めるためには、まず知ることです。真実を知らせることによって、社会の責任を取り戻すことができます。
今年の集大成として、今一度精神医療と社会の関わりについて見直し、それによって子どもや若者の命を守ろうとするイベントが開かれます。是非皆さんもご参加下さい。
人権週間特別シンポジウム
子ども・若者の未来を守ろう
〜レッテルや薬に頼らない真のメンタルヘルスを考える〜
20代、30代の若者の自殺が急増しています
なぜ若者は自ら命を絶つのか?
国や遺族団体の調査で明らかになった意外な事実・・・
精神科で治療中の若者が、処方された薬で自殺している
日時:2010年12月4日(土)13:00〜15:30(12時30分開場)
会場:星陵会館ホール東京都千代田区永田町2-16-2
入場無料 定員:400名(当日受付可)
主催:市民の人権擁護の会日本支部
プログラム
第1部:基調講演
演題「食事崩壊と心の病―精神医学に栄養なく、栄養学は精神疾患に無関心―」
演者:大澤博さん(岩手大学名誉教授)
第2部:パネルディスカッション
テーマ「若者が希望を持てる社会とは?真のメンタルヘルス対策を考える」
コーディネーター:小倉謙(市民の人権擁護の会日本支部世話役)
パネリスト:田中幸子さん(全国自死遺族連絡会世話人)
中川聡さん(精神科処方を考える会世話人)
嶋田和子さん(ジャーナリスト)
菊地一也さん(うつ病治療専門内科医)
若者が希望を持てない、閉塞した日本社会―様々な社会の問題や矛盾は、個人の「心の問題」にすり替えられ、その解決策は精神科の受診促進とされています。「心の問題」を解決するはずだった精神医療に対する過剰な期待、幻想、依存、情報不足が多くの悲劇をもたらしています。我々は何を知り、何をすべきなのか?この問題に前線で向き合う方々を招き、それぞれの立場から講演、討論、提言を行います。
主催:市民の人権擁護の会日本支部
〒170-0004東京都豊島区北大塚2-11-7-7F
Tel/Fax: 03-3576-1741
E-mail: info@cchrjapan.org ※追記
NHKもこの2年でどんどんと真実に近付きつつあります。こちらも是非ご覧下さい。
NHK 追跡!AtoZ
11月27日 土曜 午後10時15分〜10時44分
「不眠」や「うつ」などの治療に使われる向精神薬。ストレス社会を背景に、より身近なものになっている。しかし今、この向精神薬が乱用され、危険な状態に陥るケースが急増している。その一方で、病院でしか手に入らないはずの向精神薬が市民の間で密売されていることも分かってきた。 今年9月、30代の女性が、大量の向精神薬を売りさばく目的で隠し持っていたとして逮捕された。女性は、ネットを通じて全国の顧客に売りさばいていたと見られる。大量の薬をどうやって仕入れたのか?誰が何のために高値で薬を求めるのか? また、薬物依存治療の専門病院では、向精神薬の乱用者が増え続けている。その多くは病院で薬の処方を受けているうちに依存が進む「処方薬依存」の患者だという。病院の医師は「普通のOLや会社員といった人たちがちょっとしたきっかけで依存に陥るケースが目立つ」と語る。 さらに取材を進めると、処方薬依存の患者の乱用の背景には病院での処方そのものに問題があるケースも見えてきた。 身近な薬にいったい何が?急速に広がる向精神薬の乱用の実態を追跡する。 |