EM Q&A                     戻る

(エコピュア32号1999.12.1)。

EMについての疑問、質問。また、EMを実践していく上で起こったトラブルなど、どんなことにもお答えします。今回は「EMと教育」というテーマで、学校でのEM活動についての質問を集めました。編集室ならびに実際に学校や保育園でEMを活用しているベテラン先生がお答えします。


EMの授業で必要なもの

●EM生ごみ堆肥

 密閉バケツに給食などの残渣を入れ、EMボカシをふりかける。容器がいっぱいになったら、直射日光の当たらないところに1〜2週間おく。花壇やプランターなどの土に混ぜ、1か月くらいおいてから、花や野菜を植える。


●米のとぎ汁EM発酵液

 ペットボトル(2r)にEM1(10〜20')と糖蜜(10〜20')、米のとぎ汁(1.6〜1.8r)を入れてよく混ぜる。しっかり密封して1週間ほどおいたら出来上がり。くみ置き水で1000倍に薄めて植物に散布したり、教室やプールの掃除、池の水質浄化などに使用できる。

●EM希釈液

 スプレーヤーにEM1とくみ置き水を入れ、よく混ぜる。教室、トイレなどにスプレーすると空気がさわやかになり、悪臭も抑制される。水を入れたバケツにEM1を加え、それでぞうきんがけすると、汚れがとれやすくなる。



お答えくださった先生方

三好保雄先生       山口県・宇部市立西宇部小学校 教諭

 3年前、同校に赴任した年に、校庭の隅にミニ田んぼをつくり、社会科で農業のことを学習する5年生全員で、EMによる米づくりを体験。秋には1人あたり茶わん1杯分の米を収穫した。この活動は他の教諭に引き継がれ、総合的な学習の一環として毎年行われている。

野町文枝先生  香川県高松市 春日保育園園長

 「幼児期の環境教育は生活の営みが見えること」という考えから、給食の生ごみをEM処理し、80坪の菜園にせっせと埋め続けている。生ごみが土に返り、そこでまた命を養う作物が育つという「命のリサイクル」が、同園では誰の目にも見える形で続けられている。

木村将人先生  青森県・浪岡町立浪岡中学校教諭 知的障害学級 「生き生き学級」担任

 「生き生き学級」の生徒たちとともに、地域との関わりの中でEM活動を広げている。主な活動として、「むつ湾浄化大作戦・県民大学」「弘前城のお掘りの水質浄化」での地域ボランティアをはじめ、近隣農家との交流学習、福祉施設でのEMボカシづくり、企業・行政から依頼を受ける悪臭対策などがある。


EMに関するQ&A

EMを使った授業をするのに必要な資材はどうしたら手に入りますか?

 地元のEM普及協会や取扱店に連絡をしてみてください。(事務局注:現在国内のEM取扱店のデータベースを作成中です。実際、すぐにでも情報が必要な方は事務局までご連絡下さい)

EMを授業に取り入れるに当たり、費用はどれくらいかかりますか? また、それは個人で負担しなければなりませんか?

 授業でEM生ごみ堆肥を紹介し、教室でやってみるなら、密閉バケツが1350円、市販のEMボカシ350 円、計1700円あればできます(メーカーにより多少値段は異なります)。米のとぎ汁EM発酵液やEM希釈液をつくるのに必要なEM1は1r入りが2000円、糖蜜は1r800円です。

 当初は自己負担で始めることになりますが、学校側の理解が得られれば、状況は変わってくるでしょう。

木村:純然たる授業としてEM活動する場合は、校費をあてています。青森県では3年前から県教委と町教委が県下の小中学校から「魅力あふれる学校」という名目で、ユニークな活動をしている学校に経費を提供する制度が始まり、初年度から応募しました。県教委と町教委が各15万円、計30万円(今年度は40万円)で、その中から必要なだけ使わせてもらっています。

EMのことを校長や同僚の先生、PTAの方々などに理解してもらうにはどうしたらいいですか?

 「百聞は一見にしかず」のことわざどおり、やはりEMの効果が目に見えて現れると、理解者を得やすいでしょう。EMを使った場合とそうでない場合、花の成長がどれくらい違うか比較実験するなど工夫をしてみてください。

三好:私が着任する前からEMを活用していた学校なのでやりやすかったのですが、「EM活性液」(EMを糖蜜と水によって活性化させ、働きを強めたもの)のつくり方などを同じ環境緑化園芸部の先生に立ち合って見ていただくなどして、理解を広めていきました。また、年度当初の年間計画提出時に、EMについての情報をプリントで紹介しました。しかし何より、実際に大きく育った花や野菜を見た時に、一番理解者が増えます。

校内のどのような場面でEMを活用できますか?

 花壇、学級菜園、トイレ、プールなどで活用できます。それぞれどのようにするのかご紹介しましょう。

●花壇・学級菜園

木村:給食の残渣を密閉容器でボカシあえにして、全校の学級花壇にすき込んだことがあります。10月下旬ごろまで花盛りで、地域の人々を驚嘆させました。

 知的障害学級「生き生き学級」では畑づくりに挑戦しました。粘土質の土で、雑草さえ生えないような場所がフカフカのやわらかい畑になり、トマトやナスをたくさん収穫して、先生方に食べていただきました。

●トイレ

野町:米のとぎ汁EM発酵液を流しています。浄化槽を通って川に流れますが、水路がきれいになり、メダカがいっぱい泳いでいます。

三好:EM1の500 倍希釈液を、トイレの床、便器に噴霧しています。主に*正課のクラブ活動「アースくんクラブ」(エコクラブ)がそれを担当します。

●プール

三好:プール掃除の2週間前に学校でつくった「EM活性液」を20r投入しています。プール掃除が楽になり、排水は環境浄化に役立ちます。

野町:沐浴やミニ・プール(水量3t)にEMを活用しています。アトピーの子どものお母さんから、「肌がきれいになった」という報告がありました。

●その他

野町:O‐157対策として、園内のあらゆる場面にEMを使用しています。手洗い、洗濯、おしぼり、雑巾、給食室の床、加湿器、砂場、小動物の飼料などにふんだんに使っています。

授業でEMの働きを説明するのに、どのようにすれば関心をもってもらえますか?

三好:善玉菌をアンパンマン、悪玉菌をバイキンマンとして説明しています。また、人は昔から善玉菌を使ってみそ、しょうゆ、酒、ビール、チーズ、ヨーグルトなどをつくってきたので、善玉菌の集まりであるEMは安全だと言っています。

 それから、3〜6年生は1人1鉢で花を育てていますが、土づくりの時、手順を明確にして材料を用意しておくようにしています。また、みかんの皮を入れた生ごみ堆肥はいいニオイがするので、よいイメージをもってもらえる工夫として利用しています。

地域のどのような場面で、子どもたちと一緒にEMを活用できますか?

 各家庭、地域ボランティア、福祉施設、企業・行政、近隣農家などでEMを通した交流ができます。その一部をご紹介しましょう。

●各家庭

三好:子どもたちが学校で学習したことを、家庭にも伝えるので、EMによる生ごみ堆肥をつくるなどEMを活用してくださる方ができました。また本校の「PTA新聞」にEMに関する記事を書きましたら、特に興味をもってたずねて来られる方がいます。その時は、「エコ・ピュア」をお貸ししたり、EM1やEM生ごみ堆肥の実物をお見せするなどして説明しています。しっかりとEMを活用してくださる方が1人、2人と増えると確実に地域が変わっていきます。

●地域ボランティア

木村:弘前公園のお掘の水質浄化に、弘前市の有志の方々とともに取り組んでいます。それから、弘前市内を流れる土淵川、青森市の合浦公園の池にも地域のボランティアの方々と米のとぎ汁EM発酵液やEM活性液を流し続け、効果を上げています。またEM活性液で“土だんご”をつくり、かちかちに乾かしたものも投入しますが、これだと底に沈んでゆっくり溶けていきますから、効果が上がります。生徒たちはこの「EM土だんご」づくりが大好きで、それぞれ工夫しながらつくっています。

EMを授業に取り入れるメリットは何ですか。また、子どもたちはどんなふうに変わってきますか?

三好:メリットは、環境問題の解決方法を教師が示せることです。

 1〜3年生は校地内で自然と触れ合う。4年生は社会科でごみの学習。5年生は社会の農業の学習として、校庭のすみにつくったミニ田んぼで米づくりを体験。6年生は社会科や理科での地球環境問題の学習。今は教科と関連させて学習していますが、今後は総合的な学習の時間に扱っていくことになります。

野町:消臭剤などの人工的なニオイの普及で、若い世代の清潔感や臭覚が変化し、生ごみはもちろん、みそ、しょうゆ、漬物などの生活臭になじめない世代が増えています。特にEM処理した生ごみのニオイも受け入れられない人が増えてくれば、EMの普及も難しくなります。そこで小さい時からの体験が大きな意味をもってきます。幼児期の環境教育は本物をかぎ分ける力の刷り込みだと思います。

木村:知的障害を持つ生徒に限って言えば、明らかに知能の伸びが見られました。また、集中力、持続力の伸びは驚異的とさえ言えます。好きなこと、楽しいことを学習しているという理由はもちろんあるでしょうが、今学習していることが実社会に直結しており、自分も社会の一員として参画しているんだという思いが、無意識のうちに自分を動かしているのではないかと思われます。

 問題行動を繰り返している生徒では、自分でも人様のために役に立つんだという現実的、具体的な場面があるものですから、これまた驚くほど穏やかな顔を見せるようになりました。

そういう意味では、このEM技術は生徒指導上でも強力な“武器”になり得ると確信しています。


実験 1

はつか大根を育ててみよう

方法

@ 2つのプランターを用意し、一方には普通の土、もう一方にはEM生ごみ堆肥入りの土(2週間以上置いたもの)を入れる

A はつか大根の種をまく

B 日当たり、水やりなど他の条件は同じにして育てる

実験 2

EMでパンジーもイキイキ!

方法

@ 植木鉢を2つ用意し、一方には普通の土、もう一方にはEM生ごみ堆肥入りの土(2週間以上置いたもの)を入れる

A パンジーの苗を植える(本葉が開いたばかりの小さな苗)

B 日当たり、水やりなど他の条件は同じにして育てる


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