分野毎のEM活用方法


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EMで農業の活性化






■土の健康を見直そう
 農業においてEMは、『土を健康にする』と『植物を健康にする』という2つの大きなメリットがあります。植物が健全になると、病虫害に侵されくくなり、かかっても少しの被害で済むのです。農薬を使った収穫物を食べても生命は維持できるでしょうが、生き物を食べるということは『相手の生命力をもらう』ということです。植物の健康は、人間の健康に直接結びついているのです。
 悪い土に有機物を入れるとすぐに腐敗してウジや害虫が沸いてしまいますが、EMを使うと健康な土になり害虫も少なくなります。
 農業において灌水も重要です。水を与えすぎると根が呼吸できなくなって根腐れ(水腐れ)を起こすといわれますが、実際には水耕栽培が証明している通り、水で植物が枯れることはありません。水が停滞すると腐敗菌が増殖しやすくなり、酸化状態となるのです。その結果、根の細胞が内部から死んでいきます。土壌に有用菌が多ければ、多少の過湿でも根腐れすることはありません。
 また、土の健康は、環境の浄化作用も高めます。例えば、現在問題になっている酸性雨や有害物質を含んだ水でも、土が健康ならばきれいな水に戻すことができます。そしてきれいな水は、きれいな川、きれいな海へと広がっていきます。古来の日本では『3尺流れれば水は清し』と言われましたが、本来の自然の姿をEMで取り戻すことができるのです。
 普通、土壌の中には1グラム中に1〜10億の微生物がいると言われています。EMは1グラム中に多くても1億程度で、1000倍希釈で散布した場合、土壌の微生物を数的に圧倒することはできません。しかし、多くの微生物はいくつかの反応系を持っており、リーダー的な微生物がいると、同じような働きをする傾向があります。(このようにリーダー的な微生物に影響されるものを日和見菌と言います。)
 EMそのものが一つの生態系として完成している上に、このリーダー的な有用菌が配合されているため、日和見菌を従わせて土全体を良い状態にすることができるのです。また、EMの作りだす抗酸化物質は現場を酸化や腐敗が起こりにくい状態にします。ですから、ある一定のボーダーラインを越えるところまでEM側の微生物を優位に立たせることが必要です。

■EM使用の基本

基本的には、EMの希釈液とEMボカシの繰り返しの施用がメインとなります。
 EMが定着すると、腐敗菌および病原菌を抑制し、同時にEMの活動によって抗酸化物質や各種の生理活性物質が生成され、植物の耐病性が向上してきます。有用発酵により、有機物が吸収されやすい形で分解されるため、作物の成長が促進されます。さらに、低温や日照不足などの気象異常時においても、光合成細菌などの働きにより影響を受けにくいことが実証されています。
 EMが効果を現わした目安として、施用した一帯の植物の成長が揃ってきます。例えば、ネギなら皆同じ高さに、果樹なら上と下、日陰と日向すべての果実の大きさや糖度が同じようになってきます。(化学肥料の場合では肥料の密度に比例して成長します)
 有機農法においては、EMボカシの施用により、土作りの効率化がはかれるという利点もあります。畜産のし尿やあらゆる有機物をEM処理したものも有効な肥料となります。その他、EMの発芽促進作用の利用で、秋に雑草を生えさせて枯死させるなど、無耕起や無除草につながる技術も開発されており、今後の農業の効率化に大いに期待が寄せられています。
 EMは土壌改良剤であるため、植えつけの前に処理を行うことが、その効果を最大限に発揮させることにつながります。最初のEM導入の時点で、畑全体に有機物などの資材を十分に土に鋤き込み、EMを散布して畑全体を発酵させる必要があります。そのためにEM資材はまず、作物のない植え付け前に施用し始めるのがベストなのです。

●植えつけ前の畑の準備
ポイント:腐植の補給とEMの定着を計る
以下、1000平方メートル(1反歩)あたり
●基本
◎EM・1 :1〜10リットル(全体にくまなく散布するために希釈する。倍率は適宜。)
◎堆肥:2〜3トン(草や草食動物のフンを原料とし、できればEM処理したもの。)
◎ボカシ200〜300キログラム

◎EM・Xセラミックス:20キログラム程度
 以上の材料を、植えつけ前の1ヶ月前に投入して起耕しておきます(何度もトラクターを入れると土地が固まるので、できれば起耕の時に畝立てを同時に行っておくとよいでしょう。)

■EMと相性の良い農業資材

 農薬に頼る農業に代わって、自然農法でのEMボカシ作りや農地の管理に使用できる資材は、木炭、草木灰、ゼオライト、貝ガラ、サンゴ化石などがあります。
 日本では雨が多く、塩類やカルシウムが流出してしまうため酸性土壌が多いのですが、海外に目を向けると、例えばオーストラリアの乾燥地帯では、土壌のアルカリ障害が問題となっているなど、土壌による違いがあります。投入する資材についても、それぞれの土地に合った資材が必要となるのはもちろんです。日本の砂地ではカルシウムを足してやり、大陸の砂漠ではカルシウムと塩分が高いので濃度を薄める工夫が必要です。また、これと関連して粘土質の場合は腐植を入れるなどで、土を柔らかくするのがポイントとなります。
 また、カルシウムはペクチンなどの構成物質であり、生体内での情報伝達を調整する役割を担っています。一般に、人間や植物に耐えられるカルシウムや塩分の濃度は、海水の10分の1程度と言われています。


◎木炭
材料によって性質が異なるが、養分を抱き込み適宜放出する調整能力の他、微生物の住処、pH、CECの調整、汚染土壌の浄化などの力がある。シリカを多く含む竹炭や固い常緑樹の粉炭(備長炭)、ヤシ殻活性炭などが望ましい。

◎草木灰
昔は洗濯やあく抜きに使われていた。アルカリ性が強いが、科学的なアルカリと違って土に与える影響は少なく、植物にダメージを与えにくい。雨で可溶化されカリ分が供給される、直接散布は虫やカタツムリ、ウドンコ病に効果がある。

◎ゼオライト
吸着力が強く、静電気的な特性でいろんな物を吸いつける。少量なら肥料の保持効果が高まるが、大量に使うと植物が肥料を吸収しにくくなる。

◎貝殻石灰
カルシウムとミネラル分を多く含む。材料としてはカキ殻などが多く、タンパク質が多く付着しているため、通常は3年程度は雨にさらして野積みした後に粉砕して使用する。

◎コーラル
沖縄で砂利がわりに使われる珊瑚ではなく、土中の貝の化石を掘り出して粉砕したもの。細かく砕いた物の方が吸収性が良い。土壌pHの調整や土壌改良、カルシウムの補給に使用される。

◎海草
農業資材としては高級品。ミネラルや微量要素を多く含む。一度塩分を洗って乾燥粉砕して使用する。昔は沖縄の農家も海岸で拾ってきては堆肥などに入れていた。

 EMの土の中での役割

 EMの代表的微生物は光合成細菌、放線菌、酵母菌、乳酸菌などです。EMを地面にまくと、それぞれの微生物が協力して土壌を蘇生型(すべてがいきいきと健康な状態)に変えてくれます。

(1)光合成菌は地中にある有害な物質を原料に、太陽エネルギーや窒素を取り込んで、糖類、アミノ酸、ビタミンなどの栄養分を作りだし、土地を豊かにします。
(2)アゾトバクターは(窒素固定細菌)光合成細菌と共存し、お互いに増殖します。
(3)光合成細菌によって作られた栄養分によってVA菌根菌の栄養吸収を助けてくれる微生物が増えます。VA菌根菌は植物が不溶性リン酸や微量要素を吸収するのを助けます。
(4)窒素や糖分をエサにして、有用な放線菌が増えます。有用な放線菌から出される抗生物質は、土や植物の病原菌を抑えてくれます。
(5)乳酸菌は光合成細菌を作りだした糖類で活性化され、有機物を発酵させて有機酸(乳酸)を作ります。
(6)酵母菌は有機物を分解すると同時に他の微生物(善玉菌)を増殖させるエサ(アミノ酸、ビタミン類)を作り出します。


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