領海根拠の4島 管理行き届かず9月9日 20時58分
日本の領土や領海に関心が高まるなかで、NHKが領海の根拠となる島を沖縄県内で調べたところ、少なくとも4つの島について、管理者がはっきりしないことが分かりました。
専門家は標識を立てるなど管理を徹底する必要があると話しています。
領海は、国連海洋法条約で、干潮時の海岸線から外側に12海里(およそ22キロ)までの海域と定められていて、日本はおよそ43万平方キロメートルの領海を持っています。
NHKは日本の領土や領海について管理の実態を明らかにするため、海上保安庁が作成する海図を基に領海の根拠となっている沖縄県内の島を調べました。
その結果、領海の根拠となっている島は、沖縄本島をはじめ、少なくとも44あり、27は無人島でした。
この27の島の所有者や管理の状況について、国や自治体の関係者を中心に調べたところ、不動産登記がされていたり、国有財産として台帳に記載されるなど、管理が明確なのが14、登記はされていないものの地元の町や村が所有しているとしているのが5、企業や個人など民間が所有していると国が認めているのが4ありました。しかし、久米島の南およそ2.5キロにあり、地元で「トゥンバーラ」と呼ばれ、海図に「飛原岩」と記載されている島など、残りの4つの島については、所有者や実務的な管理者がはっきりしないことが分かりました。
所有者の分からない島は、民法の規定では国有地になると定められていますが、これら4つの島は不動産登記もされておらず、国有財産台帳にも記載されていないということです。
また、与那国島沿岸の2つの島には名前もありませんでした。
政府は、ことし3月までに日本のEEZ=排他的経済水域の根拠となる全国の99の島のうち、所有者が分からない島を国有財産にしたほか、尖閣諸島の4つの島など、これまで名前のなかった島については名前を決定しています。
政府の総合海洋政策本部によりますと、領海の根拠となる島の数は、現時点でははっきり分からないとしており、「所有や名前が明確でない島の洗い出しを進めている」と話しています。
海洋政策に詳しい東海大学海洋学部の山田吉彦教授は「所有者がいないような場合、誰かが不法占拠してもとがめることができないということになりかねず、しっかりとした管理が必要だ。登記もないのでは、国が管理しているとは言えない可能性がある。日本の島であることを登記し、または標識を立てるなどして、内外に示していく必要がある」と話しています。
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