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北陸の経済ニュース 【6月12日02時39分更新】
「どう競えば」戸惑い 富山のサンクス70店、ローソンへ
富山県内のサンクス約70店舗がローソンへの切り替えを始めるまで、あと2週間余り
。仕入れを控える店や看板を外す途中の店を見掛けるようになった。秋までに県内のコン
ビニの半分がローソンになるが、同じ看板、商品でどうやって競争するの?(荒木雄輔)
「ローソンとサンクスは同じコンビニだが、品ぞろえが違う。だから、飽和状態でもす み分けできたのに…」。富山県内のあるローソン店長はこうぼやく。 それもそのはず。北陸経済研究所によると、コンビニ1店の一般的な商圏人口とされる 3千人当たりの店舗数は、石川は1.02店、福井が1.19店なのに対し、富山が1. 26店と最激戦区だ。 その富山で、最大勢力が142店(4月末現在)のサークルKとサンクス勢で、2位の ローソンが約110店。しかし、サンクス約70店がごっそりローソンに移れば、シェア は一気に逆転。ローソンばっかりという地域も出現しそうで、「すみ分けできなくなる」 という既存ローソン店長の不安も当然だ。 「くら替えについて、直前までローソン本部から説明がなかった」とこぼすのは「富山 大学西門前店」の木林一幸店長(36)。周辺ではサンクスの「富山大学前店」と「寺町 店」がローソンに切り替わる。木林店長は「ローソンの存在感が高まるのは歓迎だが、同 じ看板同士のつぶし合いが始まりそう」と心配顔。既存のローソン店長からは、サンクス 勢の「仲間入り」を歓迎する声は少ない。 どうすみ分けを図るのか。本部の回答は「接客で差別化を図ってください」らしい。 ローソンは富山の現サンクス5店舗を臨時の研修店舗に選び、サンクス店長がローソン 式の接客や商品管理の方法を学ぶ場とする。研修店を臨時に複数置くのは「異例中の異例 」(中部ローソン支社)という。 サンクスのオーナーの反応はどうか。そもそも、運営会社サンクス富山(富山市)によ る、ローソンへのくら替えの理由は、商品力の充実や知名度の高さ。ところが、「サンク スでも十分商売は成り立っていた」との声も聞こえてきた。 9年前に脱サラし、現在は県西部で3店舗を運営している滝村務さん(62)=砺波市 =は「サンクスでも十分だった」派。3店舗とも幅広い世代が買い物に訪れ、店員と世間 話もする地域に欠かせない店だという。「看板も大切だが、本部の方針なら従うしかない 。よい店づくりに努めていく」と語る。 富山県朝日町で朝日道下店を営む長井保男さん(59)、香織さん(55)夫婦は、県 内で唯一のサンクス店として営業していくことを決断した。既に近くにローソンが2店あ ることや、サンクスへの愛着が理由。長井さんは「全面移行は個別の店の事情を考慮して いない」と納得がいかない様子だ。 滑川市にある実家近くのサンクス「滑川改養寺店」を訪ねると、まるで震災直後のよう に、菓子やカップ麺が並んでいた棚にほとんど商品がなかった。 営業は17日までで、来月15日にローソンとして営業を再開する。「お弁当類は切ら せられないが、乾物などは極力、仕入れを控えています」と女性店員。仕事帰りによく立 ち寄る富山市のサンクス「水橋小出店」は内装工事が始まっていた。 独身で1人暮らしの自分にとってコンビニは欠かせない存在。お気に入りの弁当、デザ ートを求めてローソン、サンクス、ファミリーマート、セブン―イレブンとコンビニを「 はしご」することも少なくない。色んなコンビニがある方が、はしごのしがいもあるが… 。
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